特定技能「工業製品製造業」受入れガイド|対象の産業分類・17業務区分・試験・JAIM入会

特定技能「工業製品製造業」受入れガイド|対象の産業分類・17業務区分・試験・JAIM入会
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この記事の監修者:安藤祐樹
申請取次行政書士
きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

工場で特定技能の外国人を雇うには、工場が対象の産業分類に当たり、外国人の仕事が17の業務区分のどれかに当たることが必要です。外国人は技能の試験と日本語に合格していることが必要です(技能実習2号を良好に修了した人は、試験の免除があります)。会社は入管に申請する前に、JAIM(工業製品製造技能人材機構)に事業所ごとに入会します。名簿に載るまで平均2〜3か月かかり、年会費(賛助会員)は60,000円〜83,000円です。

この記事では、受け入れる会社と登録支援機関がすることの全体像をまとめます。事業所の判定やJAIMの入会書類などの細かい話は、別の記事で説明する予定です。

内容は、2026年10月15日に、運用要領(工業製品製造業分野、令和8年6月25日一部改正)と、経済産業省・JAIMの案内で確認したものです。

Table of Contents

工業製品製造業分野の特定技能とは:所管・受入れの上限・判断の2つの軸

工場の製造の現場で、即戦力として働く外国人を受け入れる分野です。所管は経済産業省です。分野特有の受入基準は、経済産業省の告示(令和4年経済産業省告示第127号)と運用要領で決められています。

受入れの上限と、いまの在留者数

1号の受入れ見込数は199,500人で、令和10年度末(2029年3月末)までの5年間の上限として運用されます。見込数を超えそうなときは、在留資格認定証明書の交付を停止する仕組みがあります。

令和8年6月末の時点で、この分野の特定技能で在留する外国人は64,419人(1号と2号の合計、速報値)です。

判断は「事業所」と「業務」の2つの軸

受け入れられるかは、次の2つの両方で判断します。

  • ① 外国人が働く事業所が、対象の産業分類に当たるか(1号は76分類、2号は46分類)
  • ② 外国人の仕事が、対象の業務区分に当たるか(1号は17区分、2号は3区分)

事業所が対象でも、業務が業務区分に当たらなければ受け入れられません。図の①と②の両方が必要です。

①事業所の産業分類と②外国人の業務区分の両方を満たすと受入れの対象
①事業所の産業分類と②外国人の業務区分の両方を満たすと受入れの対象
出典:編集部作成(経済産業省の概要説明資料をもとに作成)

(出典:運用要領、分野別運用方針、出入国在留管理庁「工業製品製造業分野」、特定技能制度運用状況(令和8年6月末)、経済産業省 資料)

対象になる事業所:直近1年間の「製造品出荷額等」で判断する

判断の単位は、会社ではなく、外国人が働く事業所(工場)です。その事業所で、直近1年間に、対象の産業の「製造品出荷額等」が出ていることが必要です。

製造品出荷額等は、製造品の出荷額と加工賃の収入額の合計です(消費税などを含む)。同じ会社の別の事業所に引き渡したもの、自分の事業所で使ったもの、委託販売に出したものも、出荷に含みます。

主な事業でなくてもよいが、仕事は対象の製品だけ

対象の産業が、事業所の主な事業でなくてもかまいません。対象の製品の出荷額があれば、分野に当たると判断できます。

ただし、外国人が働けるのは、対象の製品を作る工程だけです。同じ工場・同じラインの中でも、対象外の製品の作業はできません。

対象の産業(大まかな一覧)

告示で決められた産業を、グループごとにまとめました。1号は76分類、2号はそのうち46分類です。

グループ主な産業1号2号
繊維繊維工業(中分類11)○-
木製品・家具造作材・建築用木製組立材料、家具(小分類131)、事務所用・店舗用装備品など○-
紙パルプ、洋紙・板紙、段ボール、紙製品・紙製容器など○-
印刷印刷・同関連業(中分類15)○-
プラスチックプラスチック製品製造業(中分類18)○○
ゴム・かばんゴム製品(中分類19)、かばん(小分類206)○-
セメント・陶磁器・耐火物生コンクリート、コンクリート製品、衛生陶器・食卓用陶磁器・タイルなど、耐火れんが・不定形耐火物○-
鉄鋼・非鉄金属・鋳型製鉄、製鋼・圧延、鉄素形材、アルミ圧延、非鉄金属素形材、鋳型(中子を含む)など○○
電線電線・ケーブル(光ファイバケーブルを除く)○-
金属製品鉄骨、サッシ、製缶板金、金属素形材製品、塗装・めっき・熱処理、ボルト・ナットなど○○(鉄骨系プレハブ住宅を除く)
機械はん用・生産用・業務用機械(一部を除く)○○
電子・電気・情報通信電子部品・デバイス、電気機械(一部を除く)、情報通信機械○○
輸送用機械自動車・同附属品(小分類311)、航空機・同附属品(小分類314)○○
その他運動用具、パレット、工業用模型、RPF・人体保護具○○(RPFを除く)
こん包こん包業(小分類484)○○

対象かどうかは、製品ごとに日本標準産業分類で確かめます。全76分類は運用要領に、製品名から探せる一覧はJAIMのホームページにあります。

迷ったら

経済産業省は、産業分類ごとに、受け入れる業務区分の想定の組合せを公表しています。迷うときは、JAIMの事業者向け相談窓口に聞けます。産業分類に当たるかはJAIMの入会審査で確かめられ、最終的に在留資格が得られるかは入管の審査で判断されます。

なお、食品の工場は別の分野(飲食料品製造業)です。こちらは事業所が対象の産業を「主として」行っているかで判断します。

→ 特定技能「飲食料品製造業」受入れガイド|対象の事業所・試験・協議会・申請の流れ

(出典:運用要領、経済産業省「産業の分類と業務区分で想定する組合せ」、JAIM FAQ)

外国人にさせられる業務:17の業務区分

1号は17の業務区分、2号は3つの業務区分です。外国人は、試験などで確かめた業務区分の仕事に、主として従事します。

業務区分主な仕事(従事する業務の例)2号
機械金属加工鋳造・鍛造、機械加工、金属プレス、板金、仕上げ・検査・保全、プラスチック成形、塗装、溶接、熱処理など○
電気電子機器組立て電子機器・電気機器の組立て、プリント配線板、機械加工、プラスチック成形など○
金属表面処理電気めっき、溶融亜鉛めっき、陽極酸化処理、バフ研磨○
紙器・段ボール箱製造印刷箱打抜き・製箱、貼箱、段ボール箱-
コンクリート製品製造コンクリート製品の製造-
RPF製造破砕・成形など-
陶磁器製品製造ろくろ成形、鋳込み成形、タイル・衛生陶器の成形など-
印刷・製本オフセット印刷、グラビア印刷、製本-
紡織製品製造紡績・織布・ニット、染色、カーペット、製網など-
縫製既製服、寝具、自動車シート、タオル、カーテンなどの縫製-
電線・ケーブル製造電線・ケーブルの製造-
プレハブ住宅製品製造大工工事、溶接、塗装、金属加工など-
家具製造家具手加工・組立て、塗装、マットレスなど-
定形・不定形耐火物製造定形耐火物・不定形耐火物の製造-
生コンクリート製造生コンクリートの製造-
ゴム製品製造成形加工、押出し加工、混練り圧延、複合積層-
かばん製造かばんの製造-

電線・ケーブル製造からかばん製造までの7区分は、分野別運用方針(令和8年1月23日閣議決定)で新しく加わった区分です。もとからある10区分のうち6区分でも、従事する業務が広がりました(表は広がったあとの内容です)。

追加・拡大した部分で申請できるのは、2026年6月1日に経済産業省の告示が施行され、評価試験が実施された段階からです。拡大した技能に対応する技能実習2号を良好に修了した人は、6月1日以降に申請できます。試験の実施状況は、JAIMの試験のページで確かめてください。

付随的な仕事と、区分をまたぐとき

同じ仕事をする日本人がふだん行う関連業務には、付随的に従事できます。たとえば、原材料・部品の調達や運搬、前後の工程、クレーン・フォークリフトの運転、清掃・保守管理です。関連業務だけを専らさせることはできません。

同じ業務区分の中なら、複数の技能の仕事に就けます。新しい技能の仕事をさせるときは、必要に応じて、安全衛生教育を含む訓練・研修をします。別の業務区分の仕事をさせるには、その区分の試験の合格(技能実習から移った人は対応する区分)と、在留資格の手続が必要です。

雇い方は直接雇用だけ

雇い方は直接雇用だけです。外国人を派遣することも、派遣された人を受け入れることもできません。派遣をすると、以後5年間は特定技能の外国人を受け入れられなくなります。

在籍型の出向や、関連会社への異動もできません。構内請負は、条件を満たせば受け入れられます(直接雇用であること、請負会社もJAIMの会員であること、偽装請負でないことなど)。

業務区分の範囲内なら、外国人は会社を移ることができます。一方で、経済産業省とJAIMは、ほかの会社で働く外国人を積極的に引き抜くことを控えるよう求めています。

→ 特定技能の転職手続き|在留資格変更の流れと審査期間、申請中は働ける?

→ 特定技能の転職ガイド|本人・新しい会社・前の会社の手続と順番を一覧で解説

(出典:出入国在留管理庁「工業製品製造業分野」、運用要領、経済産業省 資料、JAIM FAQ)

外国人の要件:試験と日本語、技能実習2号からの移行

1号の外国人は、技能と日本語の両方を証明します。技能実習2号を良好に修了した人は、証明の一部または全部が要りません。

外国人のルート技能の証明日本語の証明
試験に合格した人製造分野特定技能1号評価試験(業務区分ごと)JFT-Basic(A2.2相当以上)又はJLPT N4以上
関係する職種・作業の技能実習2号を良好に修了した人不要不要
関係しない職種の技能実習2号を良好に修了した人1号評価試験に合格が必要不要

製造分野特定技能1号評価試験

試験は業務区分ごとに17の区分があり、JAIMが実施します。パソコンで受けるCBT方式で、言語は日本語です。学科と実技があり、合格の基準は学科65%以上、実技60%以上です。

受験料は8,000円です。国内のほか、海外5か国(インド・インドネシア・フィリピン・ミャンマー・ベトナム)でも受けられます。2026年度以降は、合格の証明に「結果通知書」を使います(合格証明書は原則発行しません)。

運用要領では、技能検定3級と育成就労評価試験(専門級)も、1号の技能の証明として挙げられています。

日程・申込み・出題範囲は、別の記事で説明する予定です。

技能実習2号から移る人

「良好に修了」とは、技能実習を2年10か月以上修了し、技能検定3級などの実技試験に合格しているか、評価調書で良好と認められることです。免除になる職種・作業は、運用要領の別表に載っています。

関係する職種・作業なら、令和9年4月1日以降も当面の間、技能と日本語の証明が要りません。関係しない職種の修了者も、日本語の証明は要りませんが、技能の試験の合格は必要です。技能実習3号の途中では、特定技能に移れません。

(出典:運用要領、経済産業省 資料、JAIM「製造分野特定技能評価試験」、JAIM FAQ)

受入れ機関に求められること:分野で上乗せされる条件

特定技能の受入れ機関に共通の基準(雇用契約や支援の体制など)に加えて、この分野だけの条件があります。

条件中身
JAIMの構成員になる入管の申請の前にJAIMに入り、行動規範を守る
生産性向上と国内人材確保の取組取組をしていることについて、JAIMの確認を受ける
協議会で決まった措置繊維工業・印刷・こん包業の事業所だけ(下の表)
経済産業省への協力経済産業省や委託先が行う指導・報告の求め・現地調査などに協力する
訓練・研修育成就労で従事した仕事と違う仕事をさせるときや、安全を確保するときは、必要に応じて訓練・研修をする
実務経験の証明書外国人に求められたら、実務経験を証明する書面を渡す(退職した人を含む)
事業所の産業分類外国人が働く事業所が、対象の産業を行っている

運用要領は、これらを行わない場合は基準に合わず、受け入れられないとしています。

繊維工業・印刷・こん包業の上乗せ

産業協議会で決まった措置
繊維工業国際的な人権基準に適合して事業を行う、勤怠管理を電子化する、パートナーシップ構築宣言をする、外国人の給与を月給制にする
印刷・同関連業全日本印刷工業組合連合会、全国グラビア協同組合連合会、全日本製本工業組合連合会、全日本金属印刷工業協同組合連合会のどれかに所属する
こん包業日本梱包工業組合連合会に所属する

これらは、JAIMの入会のときに追加の書類で確かめられます。

また、JAIMの賛助会員は、生産性向上の取組(賃上げの実績)の報告が必要です。特定技能の外国人を雇っていない事業所は、報告は要りません。

(出典:運用要領、協議会決定第1号、JAIM 入会ページ、JAIM 入会マニュアル)

JAIMへの入会:入管の申請より先に、2〜3か月を見込む

協議会とJAIMの関係

「協議会に加入する」と書かれた古い案内がありますが、いま会社が入るのはJAIMです。JAIMは、2025年6月25日に経済産業大臣の登録を受けた法人です。

2025年7月以降、協議会(製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会)は主にルールづくりをし、JAIMは受入れ事業所の管理・支援と評価試験の運営をしています。会社はJAIMに入り、JAIMが代表して協議会に入っています。

入会の流れと期間

入会は、原則として事業所(工場)ごとです。特定技能の外国人を受け入れるなら「賛助会員」で入ります(育成就労だけなら「育成就労会員」も選べます)。

  1. 様式と証明書類を準備する
  2. JAIMのポータルサイトで申請する
  3. 審査のあと、年会費を払う(初年度は銀行振込、次年度からは口座振替)
  4. 名簿に掲載される

申請から名簿に載るまでは、平均2〜3か月です。書類に不備があるときや、年会費の支払のタイミングによっては、さらにかかります。

出す書類

  • 行動規範に係る誓約書(様式2)
  • 反社会的勢力でないことの表明・確約に係る誓約書(様式3)
  • 生産性向上及び国内人材確保のための取組に係る誓約書(様式4、賛助会員だけ)
  • 製造品の情報を書く証明書類(テンプレート)
  • 繊維工業・印刷・こん包業などは、上乗せの要件の書類
  • 年会費の割引を受けるときは、その証拠の書類

年会費

会社の規模正会員団体に所属正会員団体に未所属
中小企業60,000円63,000円
大企業80,000円83,000円

賛助会員の年会費です。年度の途中で入会したときは、入会月によって月割になります。特定技能の名簿には、年会費の支払が確かめられるまで載りません。

入管に出すのは名簿の印刷

会員証はありません。入管には、JAIMのホームページの名簿を印刷して出します。会社の名前と、外国人が働く場所の名前が載っているものが必要です。

止まりやすいところ

  • 新しい製品のラインで働かせるときは、JAIMへの申請が要ります
  • 国内の別の工場に出張させるときは、出張先の工場もJAIMの会員であることが必要です(入管への届出も要ります)
  • 休会の制度はありません。退会したあとにまた受け入れるときは、もう一度入会の審査を受けます

入会の書類の書き方は、別の記事で説明する予定です。

(出典:運用要領、経済産業省 資料、JAIM 入会ページ、JAIM 入会マニュアル、JAIM FAQ)

入管に出す分野の書類:第3表の4(1号)と第3表の2(2号)

共通の書類に加えて、分野の書類を出します。1号は「第3表の4」、2号は「第3表の2」の一覧表で、在留資格認定証明書と在留資格の変更で同じ書類です。

1号(第3表の4)

書類試験に合格した人技能実習2号を良好に修了した人
技能の証明1号評価試験の合格証明書又は結果通知書の写し技能実習評価試験(専門級)又は技能検定3級の実技試験の合格証明書の写し、又は評価調書
日本語の証明JLPT N4以上の合格証明書、又はJFT-Basicの判定結果通知書の写し省略できる(良好に修了したことの証明は必要)
誓約書(分野参考様式第3-1号)必要必要
JAIMの名簿を印刷したもの必要必要

技能実習2号の良好な修了を示す書類(合格証明書や評価調書)は、受け入れる会社がその人を技能実習生として受け入れていて、過去1年以内に改善命令(旧制度の改善指導を含む)を受けていないときは省略できます。1号評価試験の合格証明書・結果通知書は、この省略の対象ではありません。

関係しない職種の技能実習2号の修了者は、1号評価試験の合格の証明が要ります。前の申請で出していて内容が変わっていない書類は、省略できます。

2号(第3表の2)

  • 2号評価試験の合格証明書又は結果通知書と、ビジネス・キャリア検定3級(生産管理プランニング又は生産管理オペレーション)の合格証明書の写し
  • 又は、技能検定1級の合格証明書の写しと、実務経験に係る証明書(分野参考様式第3-2号)
  • 誓約書(分野参考様式第3-1号)
  • JAIMの名簿を印刷したもの

在留期間の更新

1号の在留期間の更新でも、分野の書類として、JAIMの名簿を印刷したものが必要です(第3表の1)。

共通の書類と、申請する人

雇用契約書・雇用条件書や支援計画書は、分野によらない共通の書類です。入管への申請を誰が取り次げるかは、下の記事で説明しています。

→ 特定技能1号の雇用契約書・雇用条件書・賃金の支払|記入例と手当・控除などの注意点

→ 特定技能1号の支援計画書の書き方|全部委託・自社支援の記載例で欄ごとに解説

→ 申請等取次者証明書の取り方・更新|申出書と提出書類、登録支援機関が取次できる範囲【改正行政書士法対応】

(出典:出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」(提出書類一覧表)、第3表の4(認定)、第3表の2(認定)、第3表の1(更新)、運用要領)

受入れまでの流れと逆算スケジュール

経済産業省の資料では、次の順番で進みます。

  1. 受入れの検討(事業所の産業分類と業務区分を確かめる)
  2. JAIMへの入会
  3. 外国人の候補を探す
  4. 支援計画を作る
  5. 雇用契約を結ぶ
  6. 入管に申請する(海外から呼ぶ人は在留資格認定証明書、日本にいる人は在留資格の変更)
  7. 海外から呼ぶ人は、在外公館で査証(ビザ)を申請する
  8. 働き始める

JAIMの入会をいちばん先に始めるのは、期間が長く、名簿に載らないと入管の申請に添付できないからです。運用要領が入会を求めているのは「在留資格の申請の前」なので、採用や雇用契約の準備は並行して進められます。図の赤い段が、順番を入れ替えられないところです。

入社日から逆算した準備の順番。確認、JAIMへの入会申請(名簿掲載まで平均2〜3か月)、採用・雇用契約、名簿に載ったら入管に申請、入社
入社日から逆算した準備の順番。確認、JAIMへの入会申請(名簿掲載まで平均2〜3か月)、採用・雇用契約、名簿に載ったら入管に申請、入社
出典:編集部作成(JAIM「新規入会手続マニュアル」などをもとに作成)

入管の審査期間と、技能実習から移る人

入管庁は、在留資格の変更の標準処理期間を1か月〜2か月としています。技能実習から特定技能に移る人については、働き始める予定日の2か月以上前に申請するようお願いしています。

在留期限までに書類がそろわないときは、特定技能1号に移る準備のための特例措置(特定活動)があります。入管庁の案内で条件を確かめてください。

受け入れたあと

入管への届出と支援を続けます。外国人に求められたら、実務経験の証明書を渡します。

→ 特定技能の届出 年間ガイド|定期届出(4〜5月)と随時届出(14日以内)の全体像

(出典:経済産業省 資料、JAIM 入会マニュアル、出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」、出入国在留管理庁 技能実習生の移行のご協力依頼、出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動(『特定技能1号』への移行を希望する場合)」)

特定技能2号:2つのルートと「製造業の現場で3年」

2号の対象は、機械金属加工・電気電子機器組立て・金属表面処理の3区分だけです。事業所も46分類に限られます。

試験ルート技能検定ルート
技能製造分野特定技能2号評価試験とビジネス・キャリア検定3級(生産管理プランニング又は生産管理オペレーション)業務区分に対応する技能検定1級(学科と実技の両方)
実務経験日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場で3年以上同じ
実務経験の確かめ方試験の申込みのときに確かめる(受験資格確認番号)実務経験に係る証明書(分野参考様式第3-2号)

2号評価試験は実技だけで80分、正答率60%以上で合格です。受験料は15,000円です。溶接は技能検定1級がないため、2号評価試験のルートになります。

実務経験の数え方

「製造業の現場」は、食料品製造業と飲料・たばこ・飼料製造業を除く製造業の事業所です。技能実習の期間や、複数の会社での経験も合算できます。働いていない期間は除きます。

日本語の扱い

運用要領は、2号の日本語としてJLPT N3以上(CEFRのB1相当以上を判定された場合に限る)を挙げています。令和9年4月1日以降はB1相当以上が求められ、取扱いは別途知らせるとしています。

一方、いまの提出書類一覧表(第3表の2)には、日本語の書類の欄がありません。申請の前に、地方出入国在留管理局や専門家に確かめてください。

2号の試験合格に届かなかったとき

2号の試験で合格基準点の8割以上を取ったなどの条件を満たすと、1号の通算在留期間を超えて、最長1年在留できる措置があります。

2号の詳しい要件は、別の記事で説明する予定です。

(出典:運用要領、第3表の2(認定)、経済産業省 資料、JAIM「製造分野特定技能評価試験」、JAIM FAQ)

育成就労(2027年4月から)との関係

2027年4月に始まる育成就労でも、工業製品製造業は対象の分野です。育成就労の受入れ見込数は、令和9年度から2年間で119,700人です。

JAIMは、2026年6月30日に、育成就労の実施法人としても経済産業大臣の登録を受けました。特定技能と育成就労の両方を使う事業所は、賛助会員として入会します。

育成就労から特定技能1号に進むときは、育成就労評価試験(専門級)も技能の証明になります。

→ 育成就労制度とは?技能実習との違い・転籍・日本語要件を全体解説【2027年4月開始】

(出典:分野別運用方針、経済産業省「工業製品製造業分野の外国人材制度」、JAIM 入会マニュアル)

よくある質問

Q. 主力製品は対象外ですが、一部の製品は対象です。受け入れられますか? A. 対象の製品の出荷額等があれば、分野に当たります。ただし、働けるのは対象の製品の工程だけです(JAIMのFAQ)。

Q. 溶接の技能実習を修了した人に、機械加工もさせられますか? A. できます。溶接の技能実習2号を良好に修了した人は、特定技能1号では機械金属加工区分に移れます。機械加工も同じ機械金属加工区分の技能なので、同じ職場の日本人と同じように、機械加工の仕事もさせられます。

ただし、溶接とは違う新しい技能の仕事をさせるときは、労働災害を防ぐため、日本人の従業員に行うのと同等の訓練や研修(安全衛生教育を含む)を、会社が行う必要があります。訓練・研修の内容に決まった型はなく、事業所ごとに必要なものを行います。実施の証明書や記録は求められていません。必要な訓練・研修を行わないと、分野の基準に合わず、受入れができなくなります(JAIMのFAQ、運用要領)。

まとめと相談先

  • まず、工場が対象の産業分類に当たるか、外国人の仕事がどの業務区分かを確かめます。
  • JAIMへの入会は入管の申請より先で、名簿に載るまで平均2〜3か月かかります。
  • 入管には、共通の書類に加えて、誓約書とJAIMの名簿の印刷を出します。
  • 2号は3区分だけで、製造業の現場で3年以上の実務経験が必要です。

困ったときの公的な問合せ先は、次のとおりです。

  • JAIMの入会・評価試験:JAIM 事業者向け相談窓口 0120-777-544(10時〜17時30分、土日・祝日・年末年始を除く)
  • 働く外国人本人の相談:JAIM 外国人向け相談窓口 050-2018-6773(日本語・英語・ベトナム語・インドネシア語・ミャンマー語)
  • 制度全般:経済産業省 製造産業局 製造産業戦略企画室 03-3501-1511(内線3648)
  • 在留資格の申請:地方出入国在留管理局

会社や工場の状況によって、対象になるかや必要な書類が変わることがあります。判断に迷う場合は、専門家に相談してください。

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