特定技能で別の分野に転職するには|試験の合格・業務区分・在留資格変更の流れ

特定技能で別の分野に転職するには|試験の合格・業務区分・在留資格変更の流れ
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この記事の監修者:安藤祐樹
申請取次行政書士
きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

特定技能1号で、今と違う分野の仕事に移ることはできます。ただし、分野が変わる転職には在留資格変更許可が必要で、許可が出るまで新しい会社では働けません。

移る先の分野の技能試験に合格し、その分野が求める日本語の水準を証明するのが原則です。技能実習2号を良好に修了した人は、試験が免除されることがあります。外食業へは、ほかの分野からの変更も原則として許可されないなど、分野ごとの例外もあります。

この記事の内容は、2026年10月17日に出入国在留管理庁(入管庁)の資料で確認したものです。同じ分野の中での転職の全体は、特定技能の転職ガイド|本人・新しい会社・前の会社の手続と順番を一覧で解説にまとめています。

Table of Contents

まず確認:業務区分だけ変わるのか、分野が変わるのか

分野が変わるなら、会社が同じでも在留資格変更許可が必要です。同じ会社で、同じ分野の中の業務区分だけが変わるなら、届出で済みます。

理由は「指定書」です。在留カードと一緒に渡される指定書には、働ける会社(所属機関)と分野(特定産業分野)が書かれています。運用要領は、転職で会社を変える場合と、分野を変える場合のどちらも、在留資格変更許可を受けなければならないとしています。特定技能2号も同じです。

「業務区分」は、分野の中を仕事の内容で分けたものです。例えば工業製品製造業分野には、複数の業務区分があります。政府の基本方針では、転職できるのは「同じ業務区分の中」か「試験などで技能の水準が共通すると確認されている業務区分の間」とされています。

変わるもの手続試験
同じ会社・同じ分野で、業務区分だけ特定技能雇用契約に係る届出(参考様式第3-1号)変更後の業務区分の技能試験の合格証明書を添付
会社だけ(同じ分野・同じ業務区分)在留資格変更許可原則、追加の試験は不要
分野(会社が同じでも)在留資格変更許可移る先の分野の技能試験と日本語(免除の場合あり)
会社と分野の両方在留資格変更許可移る先の分野の技能試験と日本語(免除の場合あり)

同じ分野の中で会社を変える場合の手続・審査期間・申請中の働き方は、特定技能の転職手続き|在留資格変更の流れと審査期間、申請中は働ける?で説明しています。

(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」p.12・13・47、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q13)

別の分野に移るために必要な試験と日本語

原則として、移る先の分野・業務区分の技能試験に合格し、その分野が決めた日本語の水準を試験で証明します。日本語の水準は分野によって違います。

技能試験 試験の名前と対象の業務区分は、分野ごとの運用要領と提出書類一覧表(第3表)に書かれています。日本国内の試験は、在留資格を持って日本にいる人なら受けられます(一部の国籍の人は国内で受験できません)。試験に合格しても、許可が約束されるわけではありません。

日本語 多くの分野は、日本語能力試験(JLPT)N4以上か、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格です。次の分野・業務区分は、求められる水準が違います。

移る先求められる日本語技能実習2号の良好修了で免除されるか
多くの分野N4以上かJFT-Basic職種・作業にかかわらず免除
介護上の試験に加えて、介護の日本語の試験介護の日本語の試験は、介護職種・介護作業の修了者だけ免除
自動車運送業(タクシー・バス運転者)原則N3以上N3が必要な場合は免除されない
鉄道(運輸係員)N3以上免除されない

介護の日本語の試験は、2026年4月実施分から「介護特定技能評価試験(日本語)」という名前です(それまでは介護日本語評価試験)。介護へ移る人の試験の受け方は、介護特定技能評価試験(技能・日本語)とはを見てください。

タクシー・バス運転者は、貸切バスでないこと、日本語の学習計画をつくること、日本語を手伝う人が一緒に乗ることなどの条件を満たせば、N4などでもよいとされています。この場合は、技能実習2号を良好に修了していれば日本語の証明は要りません。なお運用要領には、2027年4月1日以降はN3にあたる水準(B1相当以上)が求められ、扱いは別に知らせるとの注記があります。トラック運転者はN4以上かJFT-Basicです。

技能実習2号を良好に修了した人 「良好に修了」とは、技能実習を2年10か月以上修了し、技能検定3級などの実技試験に合格しているか、実習先の評価で良好と認められることです。

  • 修了した職種・作業と、移る先の業務に関連性がある:技能試験も日本語試験も免除
  • 関連性がない:技能試験は必要。日本語(N4レベル)は免除(上の表の例外を除く)

技能実習法の施行前に技能実習などを修了した人は、2027年4月1日以降、技能と日本語の試験の両方に合格する必要があります。

(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」p.18・19・21、同「自動車運送業分野」p.7〜8、同「鉄道分野」p.8、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q50、厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)

すでに提出した証明は使える?

すでに特定技能の申請で出した日本語試験の合格証明書は、もう一度出さなくてよい場合があります。ただし、移る先の分野の技能試験の合格証明書は、新しく必要です。

入管庁の提出書類一覧表(第3表)では、試験の合格証明書などについて「申請人に係る過去の在留諸申請において提出済み」で、内容に変更がなく有効期限内なら省略できる、と書かれています。前の分野でN4の合格証明書を出していれば、N4を求める分野へ移るときは省略できる、ということです。介護の日本語の試験やN3が要る区分へ移るなら、その証明が新しく必要です。

住民税・健康保険・年金の書類(第1表)も、過去1年以内の申請で出していて内容が変わっていなければ、省略できます。

提出書類一覧表では、省略できる書類の行の「提出確認欄」の中で、提出の有無に○を付ける所の右側に、「過去に提出した申請情報」(申請年月日・受付番号)を書く欄があります。省略するときはこの欄に、過去に提出したときの申請の年月日と受付番号を記載する必要があります。前の申請の控えなどで、申請日と受付番号を確かめておきましょう。

(出典:出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」(提出書類一覧表)、第1表(変更、令和8年10月9日改定)、第3表の1(介護)、第3表の4(工業製品製造業))

分野をまたぐ転職の流れ(本人と新しい会社)

基本は「今の会社で働きながら試験に合格し、新しい会社が準備を整えてから変更許可を申請する」ことです。許可が出るまでは、新しい会社では働けません。

別の分野へ転職するときの流れ。①移る先の分野・業務区分と必要な試験を調べる ②今の会社で働きながら試験に合格する ③新しい会社を探して内定 ④新しい会社が分野の協議会に入るなどの準備 ⑤雇用契約・支援計画をつくって在留資格変更許可を申請 ⑥許可が出てから新しい会社で働く、の順番を示した図
別の分野へ転職するときの流れ。①移る先の分野・業務区分と必要な試験を調べる ②今の会社で働きながら試験に合格する ③新しい会社を探して内定 ④新しい会社が分野の協議会に入るなどの準備 ⑤雇用契約・支援計画をつくって在留資格変更許可を申請 ⑥許可が出てから新しい会社で働く、の順番を示した図
出典:編集部作成(出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001468647.pdf))
  1. 移る先を決め、必要な試験を調べる 分野の運用要領で、業務区分・技能試験・日本語の水準を確かめます。
  2. 試験を受ける 今の会社で働きながら受けるのが安全です。休みの取り方は会社と相談してください。
  3. 新しい会社を探す 入管庁のQ&Aでは、試験の合格前に内定を出すことも法律上は禁止されていない、とされています。
  4. 新しい会社の準備 受け入れる会社は、申請の前に分野の協議会の構成員になる必要があります。分野ごとの準備は次の見出しで説明します。
  5. 契約と申請 雇用契約と支援計画をつくり、在留資格変更許可を申請します。書類は第1表(本人)・第2表(会社)と、移る先の分野の第3表を使います。
  6. 許可後に入社 許可が出てから、新しい会社で働き始めます。

(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」p.12、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q14・Q17)

分野ごとの注意点:外食業・建設・自動車運送業・介護・飲食料品製造業

分野をまたぐときは、移る先の分野だけの決まりに注意してください。主なものは次のとおりです。

外食業へ移る 入管庁は、2026年4月13日以降に受理した外食業分野への変更申請は、原則として不許可としています。通常どおり審査される例外は、外食業分野で特定技能1号として働いている人の転職などに限られています。ほかの分野の特定技能1号の人は、この例外に挙げられていません。状況は変わることがあるので、申請の前に入管庁の「審査状況」のページ(2026年9月10日掲載)を確認してください。

建設へ移る すでに日本で働いている特定技能の人を転職者として雇う場合も、国土交通大臣による「建設特定技能受入計画」の認定が必要です。くわしくは建設特定技能受入計画とはを見てください。

自動車運送業へ移る トラックは日本の第一種運転免許、タクシー・バスは第二種運転免許が必要です。タクシー・バスは、新任運転者研修の修了も必要です。

介護へ移る 介護の技能試験と日本語の試験に加え、新しい会社が介護分野の協議会の構成員である証明書を出します。訪問系サービスの条件などは特定技能「介護分野」受け入れの条件と流れにあります。

飲食料品製造業へ移る 2027年4月1日から、水産加工業の業務区分が飲食料品製造業全般の業務区分から切り分けられます。水産加工業の業務区分で採用する会社は、転職できる範囲(原則として同じ業務区分の中)を説明して同意を得ることになっています。くわしくは特定技能「飲食料品製造業」受入れガイドを見てください。

業務区分が多い分野へ移る 工業製品製造業のように業務区分が多い分野では、どの区分の試験に合格したかが大切です。特定技能「工業製品製造業」受入れガイドで確かめてください。

(出典:出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」、出入国在留管理庁「特定技能1号(外食業分野)の在留諸申請の審査状況」、出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(建設分野)」p.23、同「自動車運送業分野」p.6〜8、同「飲食料品製造業分野」p.18、第3表の1(介護))

通算5年と、複数の分野で働く方法

特定技能1号の通算5年は、分野を問わずに数えます。分野を変えても、0から数え直しにはなりません。

運用要領では、「通算」とは分野を問わず特定技能1号で日本にいた期間のことで、過去の期間も含むとされています。仕事をしていない期間、変更・更新の申請中の特例期間、移行準備の特定活動の期間も含まれます。残りが短い人は、試験と申請にかかる時間を考えて、早めに準備してください。

分野を「変える」のではなく「足す」方法もあります。本人と会社(所属機関)の両方が、2つの分野それぞれの条件を満たしている場合です。本人は、それぞれの分野の技能試験と日本語の水準に合格していること(免除を含む)。会社は、それぞれの分野の基準に合っていることで、例えば宿泊分野なら旅館・ホテル営業の許可を受けていることが求められます。

この場合、主に働く分野(主たる分野)と、それ以外の分野(従たる分野)の両方について許可を受け、1つの会社で両方の仕事をする方法があります。申請書の「従事すべき業務の内容」の欄は3つあり、主に働く分野をいちばん上に、それ以外の分野を2段目以降に書きます。ただし、両方の条件を満たしていても、許可されるかどうかは審査によります。

特定技能2号の人が分野を変えるときも、在留資格変更許可が必要です。2号で受け入れる分野は11分野で、介護・リネンサプライ・自動車運送業・鉄道・物流倉庫・林業・木材産業・資源循環は対象外です。2号の技能の水準は試験の合格などで判断されるので、移る先の分野で2号の水準を満たしているかを確かめてください。

(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」p.12・13・14・25、出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領(宿泊分野)」p.14、出入国在留管理庁「通算在留期間」)

試験の前に仕事を失ったとき・試験の後に準備が間に合わないとき

会社の都合などで働けなくなり、移りたい分野の試験にまだ合格していないときは、特定活動(就労継続支援)を使える場合があります。

対象は、会社の倒産や解雇、ハラスメントなど、やむを得ない事情で働けなくなり、3か月たっても次の仕事が見つからない人などです。試験を受けるまでの間、移る予定の会社で働けます。在留期間は1年で、一定の場合に2回まで更新できます(2回目は技能か日本語のどちらかの合格が必要)。受け入れる会社は、特定技能の人を通算1年以上受け入れた実績が必要です。

試験には合格したのに、新しい会社の準備が間に合わないときは、特定活動(特定技能1号移行準備)があります。こちらは試験の合格(免除を含む)が条件なので、試験の前には使えません。くわしくは特定活動(特定技能1号移行準備)とはを見てください。

自分の判断で先に辞めると、これらに当たらないことがあります。在職中に試験と申請を進めるのが基本です。自分の場合にどうすればよいか迷ったら、専門家に相談してください。

(出典:出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(『特定活動』(就労継続支援))」、出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動(『特定技能1号』への移行を希望する場合)」)

よくある質問

Q. 試験は今の会社で働きながら受けてもいいですか? A. はい。日本国内の試験は、在留資格を持って日本にいれば受けられます(一部の国籍を除く)。休みの取り方は会社と相談してください。(運用要領 p.18)

Q. 技能実習2号を修了した職種と関係のない分野に移れますか? A. 移る先の分野の技能試験に合格すれば、申請はできます(許可されるかは審査によります。外食業へは現在、原則として不許可とされています)。日本語(N4レベル)は免除されますが、介護の日本語の試験と、N3が必要な場合(タクシー・バス運転者、鉄道の運輸係員)は免除されません。(Q&A Q50、運用要領 p.21)

Q. 外食業から、ほかの分野に移ることはできますか? A. 入管庁の外食業の案内は、外食業「へ」の変更についてのもので、外食業「から」移る申請を制限する記載はありません。ほかの分野と同じく、移る先の試験などが必要です。(03_00001、10_00259)

Q. 分野を変えたら、通算5年は数え直しになりますか? A. なりません。通算5年は分野を問わずに数えます。(運用要領 p.25)

Q. 会社は同じで、分野だけ変える場合も申請が必要ですか? A. 必要です。分野が変わるときは在留資格変更許可を受けます。同じ分野の中で業務区分だけ変わるなら届出です。(運用要領 p.12・47)

(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」、出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」、出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」)

まとめ

  • 分野が変わる転職は、会社が同じでも在留資格変更許可が必要です。許可が出るまで、新しい会社では働けません。
  • 移る先の分野の技能試験と、その分野の日本語の水準の証明が原則です。介護の日本語の試験と、N3が必要な場合は、技能実習2号の免除が効きません。
  • 外食業へは、ほかの分野からの変更も原則として不許可とされています。建設・自動車運送業・介護などにも分野だけの決まりがあります。
  • 通算5年は分野を変えても続けて数えます。試験の前に仕事を失ったときは、特定活動(就労継続支援)を使える場合があります。

特定技能の転職の全体は、特定技能の転職ガイド|本人・新しい会社・前の会社の手続と順番を一覧で解説にまとめています。

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監修者

安藤祐樹のアバター 安藤祐樹 申請取次行政書士

きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

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