飲食料品製造業の特定技能|対象事業所の判定と外食業との境目(スーパー・弁当)

飲食料品製造業の特定技能|対象事業所の判定と外食業との境目(スーパー・弁当)
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この記事の監修者:安藤祐樹
申請取次行政書士
きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

特定技能の「飲食料品製造業」で外国人を雇えるかは、会社ではなく、外国人が働く事業所(工場・店舗)ごとに決まります。その事業所で売上が最も大きい活動が、告示に書かれた10の産業のどれかに当たることが条件です。弁当・給食・セントラルキッチンは、店舗や施設から独立した事業所か、作ったものを「食べる客」(その場で食べる人のほか、注文に応じて作ったものを持ち帰りや配達で受け取って食べる人も含む)に出すか、「売る相手」に卸すかで、外食業分野との境目が分かれます。

最終的には、食品産業特定技能協議会の加入の審査で確かめられ、対象でないと判断されると雇えません。受け入れる会社と登録支援機関が、申請の前に事業所を確かめる手順をまとめます。分野の全体は、次の記事で説明しています。

→ 特定技能「飲食料品製造業」受入れガイド|対象の事業所・試験・協議会・申請の流れ

内容は、2026年10月17日に、運用要領(飲食料品製造業分野は令和8年8月28日一部改正、外食業分野は令和7年5月30日一部改正)と、農林水産省のFAQ・協議会の案内で確認したものです。

Table of Contents

判定の手順:事業所→主な活動→告示の産業の3段階

告示は、外国人が働く事業所が、日本標準産業分類の決められた産業を「主として」行っていることを求めています。同じ会社でも、工場・店舗ごとに結果が変わります。確かめる順番を図にしました。

対象になるかを確かめる順番。1 働く事業所はどこか、2 売上が最も大きい活動は何か、3 告示の10の産業に当たるか、4 食品産業特定技能協議会の審査。右側に、当たらないときの行き先
対象になるかを確かめる順番。1 働く事業所はどこか、2 売上が最も大きい活動は何か、3 告示の10の産業に当たるか、4 食品産業特定技能協議会の審査。右側に、当たらないときの行き先
出典:編集部作成(運用要領 飲食料品製造業分野 p.14〜18、農林水産省FAQ Q1・Q5 をもとに作成)

1. 事業所の数え方

運用要領は、日本標準産業分類の定義に従い、次の2つがそろう場所を1つの事業所としています。

  • 1つの経営主体(会社や個人事業主)が、一区画を占めて事業をしている
  • その区画に人と設備があり、続けて事業をしている

同じ構内でも、会社が違えば別の区画です。道路などで隔てられた近くの2か所は、それぞれ別の区画とするのが基本です。区画を見分けにくいときは、売上台帳や賃金台帳などの帳簿で区別できる範囲を一区画とみなすことがある、とされています。

2. 主な活動の決め方

1つの事業所で複数の活動をしているときは、主な活動で産業を決めます。主な活動は、作っている製品の直近の売上高で、最も大きな割合を占める活動です。

賃加工(材料を預かって加工すること)と自社製品の製造を両方している場合など、売上高だけで決めるのが適当でないときは、産出額・販売額・その活動の従業員数などを代わりに使います。

3. 「製造業」に当たるか

農林水産省のFAQは、製造業を「製品を製造・加工し、卸売する事業所」と説明しています。ここでいう卸売には、次のものが含まれます。

  • 卸売業・小売業・産業用の事業者に売ること
  • 業務用に使われる商品を売ること
  • 同じ会社の他の事業所に引き渡すこと

包装・洗浄・選別などの軽い加工だけをする事業所は、製造業になりません。店を持たずに通信販売で個人に売るなら製造業ですが、店でその場で売る「製造小売」は小売業に分類されます。小売業のうち対象になるのは、次の見出しの表に入っているものだけです。

自分で作った製品を卸すのは製造業で、対象になりえます。対象外とされている「飲食料品卸売業」は、仕入れた飲食料品を売る事業所のことです。農林水産省のFAQは、野菜を仕入れてキャベツを半分に切る程度の軽微な加工をして売る事業所を、卸売業として対象外の例に挙げています。卸売の会社でも、独立した専用の工場(プロセスセンター)で製造・加工しているなら、その工場は対象になります。反対に、仕入れた商品の卸売や一般の小売の売上がいちばん大きい事業所は、中で製造をしていても対象外になる可能性があります。

(出典:運用要領(飲食料品製造業分野)、農林水産省FAQ、農林水産省 制度説明資料)

対象になる産業と、対象にならない産業

告示の10の産業は次のとおりです。小売業が6つ入っていますが、どれも「自分で製造すること」が前提です。

分類の番号産業小売でも対象になる理由・条件
中分類09食料品製造業製造して卸す事業所
小分類101清涼飲料製造業同上
小分類103茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)同上
小分類104製氷業同上
小分類583食肉小売業食料品製造を行うものに限る。令和8年4月15日の告示改正で追加
細分類5621総合スーパーマーケット食料品製造を行うものに限る。製造部門のバックヤードだけが対象
細分類5811食料品スーパーマーケット同上
細分類5861菓子小売業(製造小売)作った製品をその店で売る、製造と小売が一体の形
細分類5863パン小売業(製造小売)同上
細分類5896豆腐・かまぼこ等加工食品小売業豆腐・かまぼこ等の製造を行うものに限る

運用要領は、食肉小売業と菓子・パン・豆腐かまぼこ等の製造小売を、自分で作った製品をその店で消費者に売る、製造と小売が一体の形なので対象にする、と説明しています。一方、これ以外の小売業の店が店内の一区画で製造・加工をしても、主な活動が製造ではないため対象になりません。

対象にならないのは、酒類・塩・医薬品・香料の製造、飲食料品の卸売、百貨店などの各種商品小売(総合スーパーを除く)、一般の飲食料品小売、ペットフードなどの飼料の製造です。

なお、農林水産省のFAQ(令和8年3月更新)の一覧には、まだ食肉小売業が入っていません。この記事は、改正後の運用要領と制度説明資料(令和8年5月更新)に合わせています。

(出典:運用要領(飲食料品製造業分野)、告示(令和8年4月15日一部改正)、農林水産省 制度説明資料)

業態別の判定:スーパー・精肉や鮮魚・野菜・卵・請負など

FAQと運用要領から、迷いやすい業態の判定をまとめました。「条件つき」の多くは、その製造・加工の売上が、事業所の売上の中で最も大きいことも条件です。

業態判定理由・条件
スーパーのバックヤード条件つきスーパーが自分で製造する部門(青果物加工・鮮魚加工・食肉加工・ベーカリー・そう菜)だけ。レジ・接客、自社で作った物以外の陳列・品出しはできない。軽微な加工だけなら対象外
スーパーのテナント、コンビニ・百貨店・ドラッグストアのバックヤード対象外テナント・コンセ契約で一区画で作って売るのは料理品小売業(5895)
プロセスセンター対象小売・卸に納める精肉加工・水産物加工・そう菜製造など
精肉加工・食鳥処理・内臓肉条件つき小売・卸に納める加工。と畜場は対象外(併設のと畜場の食用にする作業は、原料の調達として付随的になら可)
刺身・切り身条件つき小売・卸に納めるなら対象。消費者に直接売る鮮魚小売(5841)は対象外
魚の血抜き・活〆・内臓の除去条件つき生鮮品を売る事業所が鮮度を保つためにするだけなら対象外。製造・加工が目的なら対象(簡易な加工だけの仕事は不可)
牡蠣の殻むき条件つき加工用の処理なら対象になる場合がある
卵のGPセンター条件つき洗浄(・消毒)してから選別・パック詰めし、小売・卸に納めるなら対象。選別・包装だけのパッキングセンターは対象外
カット野菜条件つきすぐ調理に使えるカット、玉ねぎの皮むきなどは対象。キャベツを半分に切るなどの軽微な加工は野菜卸売業(5213)で対象外。栽培と同じ事業所で軽微な加工をするだけなら農業(対象外)
健康食品条件つき食品扱いなら対象。医薬品・医薬部外品・食品添加物は対象外
製造請負条件つき請け負った先の事業所が主として製造をしていて、業務請負契約があり、請負側の責任者が指示・命令すること。箱詰め・荷役などの付随業務だけ、派遣、偽装請負は対象外
食品工場に併設の直売所販売は不可工場で働く外国人を直売所の販売に就かせることはできない

スーパーと直売所の販売の仕事

スーパーでは、関連業務としても販売の仕事はできないと運用要領に書かれています。食品工場に併設の直売所での販売もできません。菓子・パン・豆腐かまぼこ等の製造小売で、1つの事業所で製造と販売が一体になっている場合だけ、関連業務として付随的に販売をしてよいと、協議会のよくある質問は説明しています。

食肉小売業(令和8年に追加)の店での販売の仕事の扱いは、執筆時点で農林水産省のFAQに個別の説明が見当たりませんでした。精肉店で受け入れるときは、加入申請の前に農林水産省に確かめてください。

製造請負は、発注元が外国人に直接指示を出す「偽装請負」だと派遣に当たり、認められません。契約の名前が請負でも、実態が違えば対象外です。

(出典:農林水産省FAQ、運用要領(飲食料品製造業分野)、協議会のよくある質問、加入申請ガイドブック)

外食業との境目:セントラルキッチン・弁当・給食はどちらか

境目の考え方は、作ったものを誰に出すかと、店舗や施設から独立した事業所かの2つです。外食業分野の運用要領は、外食業の「客」を、飲食料品を自分で食べる特定の人(集団給食のように代わりの人が注文・受取りをする場合を含む)としています。不特定の消費者に売る目的で仕入れる相手に出すのは、B to B の卸売で、外食業には当たりません。

ただし、給食やセントラルキッチンは、食べる人に届く場合でも、店舗や施設から独立した調理・製造の事業所なら、飲食料品製造業の対象になります(下の表)。

もう1つの違いは、売上の扱いです。飲食料品製造業は、事業所で売上が最も大きい活動が、告示の10の産業に当たることが条件です。外食業は、飲食サービスの部門の売上が事業所全体の主なものである必要はなく、ホテルの中の飲食部門や病院・福祉施設の中の給食部門でも働けます。

項目飲食料品製造業分野外食業分野
誰に出すか卸・小売・業務用の相手に卸す(店舗・施設から独立したセントラルキッチン・給食センターを含む)食べる特定の客に出す(その場・持ち帰り・配達・施設に併設の給食)
売上事業所で売上が最も大きい活動が、告示の10の産業に当たること飲食サービスの売上が主でなくてもよい
セントラルキッチン店舗から独立した事業所なら対象店舗と同じ敷地にあれば外食業として扱われる
店内の調理場対象外(セントラルキッチンとはみなさない)外食業
弁当・そう菜作って小売・卸に卸す事業所注文を受けてその場で作る持ち帰り弁当、仕出し・デリバリー
給食センター方式で調理だけをする独立した施設学校の自校方式の調理室、病院・福祉施設に併設の厨房
協議会の加入の単位事業所ごと(スーパーは本社で可)本社(本店)で可

セントラルキッチン

外食業の店舗での調理の代わりに、料理や材料を作る独立した事業所は、飲食料品製造業分野の対象です。ただし、店舗と同じ敷地にあれば、店舗と同じ事業所として外食業とみなされ、対象外になります。反対に、外食業のセントラルキッチンでは、外食業分野の特定技能外国人は働けない、とFAQは説明しています。

弁当・給食

弁当やそう菜を作って小売・卸に卸す事業所は、対象です。注文を受けてその場で作る持ち帰り弁当、仕出し・デリバリー、決まった多人数に食事を出す給食施設は、外食業に当たります。弁当を仕入れて売るだけなら小売業で、どちらの分野にも当たりません。

同じ会社で両方の分野の外国人を雇うとき

協議会には、分野ごとに加入申請が必要です。外国人も、外食業の試験に合格した人と飲食料品製造業の試験に合格した人では、分野が違います。外食業で働く人を工場で雇うには、分野を変える手続が要ります。

→ 特定技能で別の分野に転職するには|試験の合格・業務区分・在留資格変更の流れ

→ 特定技能の転職ガイド|本人・新しい会社・前の会社の手続と順番を一覧で解説

外食業分野の1号の受入れ停止

外食業分野では、受入れの上限(5万人)を超える見込みとなったため、2026年4月13日に在留資格認定証明書の一時的な交付停止の措置がとられました。農林水産省の案内では、4月13日以降に受理した外食業の1号の認定証明書の申請は不交付、1号への在留資格の変更は原則不許可です。外食業の1号で在留中の人の転職などは、通常どおり審査されます。外食業の1号評価試験は当面実施されず、再開は未定です(2026年10月17日時点)。

事業所がどちらの分野かは、その事業所の実態で決まり、協議会が審査します。外食業の店舗の厨房や、店舗と同じ敷地のセントラルキッチンは、飲食料品製造業の対象になりません。

(出典:運用要領(外食業分野)、運用要領(飲食料品製造業分野)、農林水産省FAQ、協議会のよくある質問、外食業分野の受入れ上限の運用について、同Q&A)

協議会の審査で見られること:対象外と判断されると雇えない

受け入れる会社は、入管に申請する前に、食品産業特定技能協議会に加入します。運用要領は、協議会で対象でないと判断されると外国人を雇えないので、迷うときは加入申請の前に問い合わせるよう案内しています。書類を出してから加入証が届くまで、おおむね2〜3か月かかります。

事業所を確かめるために出す書類

書類出す場面
登記事項証明書、定款の写し、売上高が分かる決算書類、保健所長の営業許可の写しなど協議会が求めたとき(運用要領)
営業許可証の写しスーパー以外。外国人が働く事業所のもの
外国人を販売業務に就かせない誓約書総合スーパー・食料品スーパー
業務請負契約書・注文仕様書・請負工程組織図製造請負の事業者

このほか、誓約書(分野参考様式第13-1号)などを全員が出します(詳しくは親記事)。開業前・稼働前の事業所は、事業の実態を確かめられないため加入できません。

加入の単位

状況協議会の手続
1つの工場で初めて受け入れるその工場の名称・代表者・所在地で加入申請
同じ会社の別の工場でも受け入れるその工場で新しく加入申請(事業所ごと)
スーパーの複数の店舗で受け入れる本社(本店)で加入できる(雇用管理・支援を本社が担う前提)
プロセスセンターで加入済みで、スーパーの店舗のバックヤードでも受け入れるスーパーの誓約書と加入証明書を、件名「スーパーマーケット追加」でメール
外食業でも受け入れる外食業分野として新しく加入申請

2人目からの受入れで、再加入は要りません。

(出典:運用要領(飲食料品製造業分野)、協議会のよくある質問、加入申請ガイドブック、農林水産省「食品産業特定技能協議会について」)

迷ったときの確かめ方:申請前に聞く先とチェックリスト

申請の前に、次の点を確かめておきます。

  • 外国人が働く場所は、独立した事業所か(外食業の店舗と同じ敷地ではないか)
  • その事業所で売上が最も大きいのは何か。決算書類などで説明できるか
  • 作ったものを誰に出すか(卸・小売・業務用の相手か、食べる客か)
  • 営業許可証の名称・所在地が、申請する事業所と同じか
  • 外国人の仕事は製造・加工が中心か(販売・品出し・包装だけになっていないか)
  • 請負なら、外国人に指示を出すのは自社の責任者か

公的な問合せ先

  • 事業所が対象か(協議会の加入申請の前):農林水産省 新事業・食品産業部 新事業・国際グループ 03-6744-2397
  • 業務が飲食料品製造業分野に当たるか:農林水産省 食品製造課 03-6744-1869
  • 水産加工業:水産庁 加工流通課 加工振興班 03-6744-2349
  • 外食業分野に当たるか:農林水産省 外食・食文化課 03-6744-2053
  • 制度全般の無料相談:特定技能外国人材制度相談窓口(農林水産省の補助事業)03-6630-8179(10時〜17時30分、土日・祝日・年末年始を除く)

実際の判定は事業所の実態によって変わります。判断に迷う場合は、専門家に相談してください。

(出典:運用要領(飲食料品製造業分野)、運用要領(外食業分野)、農林水産省 分野のページ)

よくある質問

Q 本業は卸売ですが、製造している工場があります。 A 判定は工場ごとです。その工場で売上が最も大きい活動が製造なら、対象になりえます(運用要領)。

Q スーパーに入っているテナントのそう菜店で雇えますか。 A 対象外です。テナント・コンセ契約で作って売るのは料理品小売業です(FAQ Q3・Q14)。

Q 外食チェーンのセントラルキッチンが、店舗と同じ敷地にあります。 A 店舗と同じ事業所として外食業とみなされ、飲食料品製造業の対象になりません(FAQ Q5)。

Q 精肉店で雇えますか。 A 食料品製造を行う食肉小売業は、令和8年4月15日の告示改正で対象に加わりました(運用要領)。販売の仕事の扱いは、申請前に農林水産省に確かめてください。

Q 工場の直売所で店番をしてもらえますか。 A できません(協議会のよくある質問【19】)。

まとめ

  • 判定は会社ではなく、外国人が働く事業所ごとです。
  • その事業所で売上が最も大きい活動が、告示の10の産業に当たるかを見ます。
  • 食べる客に出す店(店内の調理場・持ち帰り・仕出し・施設に併設の厨房)は外食業です。売る相手に卸す事業所と、店舗や施設から独立したセントラルキッチン・給食センターは、飲食料品製造業の対象になりえます。店舗と同じ敷地のセントラルキッチンは外食業です。
  • 最後は協議会の審査で確かめられます。迷ったら加入申請の前に農林水産省に問い合わせます。

→ 特定技能「飲食料品製造業」受入れガイド|対象の事業所・試験・協議会・申請の流れ

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監修者

安藤祐樹のアバター 安藤祐樹 申請取次行政書士

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