育成就労制度は、技能実習制度に代わって2027年4月1日(令和9年4月1日)に始まる制度です。人手不足の17分野で、原則3年働きながら、特定技能1号の水準まで育てることを目的にしています。本人が母国の送出機関に払う費用は、月給の2か月分までに抑えられます。
施行前の申請は、すでに始まっています。監理支援機関の許可は2026年4月15日から、育成就労計画の認定は2026年9月1日から受け付けています。
一方で、優良な監理支援機関の基準や、転籍のときに転籍先が負担する初期費用の告示額など、まだ公表されていない事項もあります。この記事は2026年10月7日に入管庁のページで確認した内容です。準備は、公表の状況を確かめながら進めてください。
育成就労制度とは:目的と始まる時期
育成就労制度は、日本で3年間働くことを通じて、特定技能1号の水準の人材を育て、確保するための制度です。技能実習制度は、この制度に置き換わる形で「発展的に解消」されます。
技能実習の目的は、日本で学んだ技能を母国に移す「国際貢献」でした。育成就労の目的は、日本の人手不足の分野で人材を育て、確保することです。目的が変わったため、外国人を労働者として守る仕組みが強められ、本人の意向による転籍(受入れ先を変えること)も一定の条件で認められます。
制度ができるまでの流れは、次のとおりです。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2024年6月21日(令和6年) | 改正法(令和6年法律第60号)が公布 |
| 2025年3月11日(令和7年) | 基本方針を閣議決定 |
| 2025年9月30日(令和7年) | 主務省令が公布 |
| 2026年1月23日(令和8年) | 分野別運用方針を閣議決定(受入れ分野・受入れ見込数など) |
| 2026年4月15日(令和8年) | 監理支援機関の許可の施行日前申請が始まる |
| 2026年9月1日(令和8年) | 育成就労計画の認定の施行日前申請が始まる |
| 2027年4月1日(令和9年) | 施行。育成就労外国人の受入れが始まる |
施行日前申請の窓口は、外国人技能実習機構です。
(出典:出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」、出入国在留管理庁「基本方針・分野別運用方針」、出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」)
技能実習・特定技能との違い(比較表)
一番大きな違いは、目的が「国際貢献」から「人材の育成と確保」に変わったことです。そのため、転籍や監理の仕組み、特定技能への移り方が変わります。
まず、技能実習との違いです。
| 項目 | 技能実習 | 育成就労 |
|---|---|---|
| 目的 | 技能の移転による国際貢献 | 人手不足分野での人材の育成と確保 |
| 計画の区分 | 1号・2号・3号の段階ごとに計画の認定を受ける | 区分はなく、最初から3年間の計画を作って認定を受ける |
| 本人の意向による転籍 | 認められなかった | 一定の条件で認められる(同じ業務区分の中だけ) |
| 監理する機関 | 監理団体 | 監理支援機関(許可の基準が厳しくなった) |
| 前職要件・帰国後従事要件 | あり | なし |
| 受入れ見込数(上限) | 設定がなかった | 分野ごとに設定し、上限として運用 |
| 特定技能1号への移行 | 2号を良好に修了すれば、技能と日本語の試験が免除 | 技能と日本語の試験に合格する必要がある |
次に、特定技能1号との違いです。
| 項目 | 育成就労 | 特定技能1号 |
|---|---|---|
| 想定する人材 | 入国の時点では専門性や技能を求めない | 一定の専門性・技能を持つ「即戦力」 |
| 在留できる期間 | 原則3年 | 原則5年が上限(特定技能2号は上限なし) |
| 受入れ分野 | 17分野 | 19分野 |
| 外国人を守る仕組み | 計画の認定、監理支援機関の許可、送出費用の上限など | 受入れ機関(特定技能所属機関)に支援の義務 |
(出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」、出入国在留管理庁・厚生労働省「分野別運用方針の主要な記載事項」)
対象の17分野と受入れ見込数
育成就労で働けるのは、特定技能の19分野のうち17分野です。自動車運送業と航空は、特定技能だけの分野で、育成就労の対象ではありません。
分野ごとの「転籍制限期間」(本人の意向で転籍するまでに、今の受入れ先で働く必要がある期間)と、育成就労の受入れ見込数は次のとおりです。
| 分野 | 所管 | 業務区分 | 転籍制限期間 | 受入れ見込数(育成就労) |
|---|---|---|---|---|
| 介護 | 厚生労働省 | 介護 | 2年 | 33,800人 |
| ビルクリーニング | 厚生労働省 | ビルクリーニング | 1年 | 7,300人 |
| リネンサプライ | 厚生労働省 | リネンサプライ | 1年 | 3,400人 |
| 工業製品製造業 | 経済産業省 | 機械金属加工、電気電子機器組立てなど17区分 | 2年 | 119,700人 |
| 建設 | 国土交通省 | 土木、建築、ライフライン・設備 | 2年 | 123,500人 |
| 造船・舶用工業 | 国土交通省 | 造船、舶用機械、舶用電気電子機器 | 2年 | 13,500人 |
| 自動車整備 | 国土交通省 | 自動車整備、車体整備 | 2年 | 9,900人 |
| 宿泊 | 国土交通省 | 宿泊 | 1年 | 5,200人 |
| 鉄道 | 国土交通省 | 軌道整備、電気設備整備、車両整備、車両製造、運輸係員、駅・車両清掃 | 1年 | 1,100人 |
| 物流倉庫 | 国土交通省 | 物流倉庫 | 1年 | 6,900人 |
| 農業 | 農林水産省 | 耕種農業、畜産農業 | 1年 | 26,300人 |
| 漁業 | 農林水産省 | 漁業、養殖業 | 1年 | 2,600人 |
| 飲食料品製造業 | 農林水産省 | 飲食料品製造業、水産加工業 | 2年 | 61,400人 |
| 外食業 | 農林水産省 | 外食業 | 2年 | 5,300人 |
| 林業 | 農林水産省 | 林業 | 1年 | 500人 |
| 木材産業 | 農林水産省 | 木材産業 | 1年 | 2,200人 |
| 資源循環 | 環境省 | 廃棄物処分業(中間処理) | 2年 | 3,600人 |
受入れ見込数は、2029年3月末(令和11年3月末)までの数です。育成就労は合計426,200人、特定技能1号は805,700人で、両方を合わせると1,231,900人です。これは今の在留者数に足す人数ではなく、受入れの上限の合計です。
ある分野で上限を超えそうになると、その分野では育成就労計画の認定が一時的に止まります。すでに雇用契約を結んでいても、原則として新しく育成就労で入国することはできなくなります。ただし、在留期間の更新は、原則として通常どおり審査されます。
ほかの注意点です。
- 技能実習2号の職種のうち、クリーニング(一般家庭用クリーニング作業)、空港グランドハンドリング、ボイラーメンテナンスは、育成就労の対象になっていません。
- 化粧品製造は、厚生労働省の一覧(2026年7月29日時点)では技能実習2号に移行できる職種ですが、育成就労の業務区分の一覧にも、入管庁が示す技能実習の職種と業務区分の対応表にも出てきません。育成就労で受け入れられるかは、今後の発表を確かめてください。
- 豆腐製造も技能実習2号に移行できる職種ですが、飲食料品製造業分野で個別の「主たる技能」には挙がっていません。業務区分「飲食料品製造業」(飲食料品の製造・加工)の中で、主たる技能「飲食料品製造業全般」として扱われると考えられますが、対象となる事業所の範囲は分野の告示と運用要領で確かめてください。
- 「夏は農業、冬は漁業」のように、分野をまたいで働くことはできません。
- 派遣の形で受け入れられるのは、農業と漁業だけです。
- 働く時間の3分の1以上は、身に付ける技能(主たる技能)に必要な「必須業務」に充てます。
- リネンサプライ・物流倉庫・資源循環は新しく加わった分野です。受入れは、分野の基準(告示)が施行され、準備が整いしだい始まる予定とされています。
(出典:出入国在留管理庁・厚生労働省「分野別運用方針の主要な記載事項」、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」、出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」、厚生労働省「技能実習制度 移行対象職種・作業一覧」、出入国在留管理庁「技能実習2号移行対象職種と育成就労における分野(業務区分)との関係性について」、出入国在留管理庁「分野別運用方針 別紙15 飲食料品製造業」)
日本語と技能の目標:入国前から特定技能1号まで
日本語は、3年間で少しずつ上げていく仕組みです。入国の時点で決まった日本語の資格は求められませんが、働き始める前に一定の条件があります。求められる水準は分野によって違います。
一般的な水準は、次のとおりです。日本語のレベルは「日本語教育の参照枠」という国の基準で表します。
| 時点 | 技能 | 日本語 |
|---|---|---|
| 働き始める前 | なし | A1相当以上の試験に合格、またはA1相当の講習を100時間以上受ける |
| 1年たったとき | 育成就労評価試験(初級)など | A1相当以上 |
| 本人の意向で転籍するとき | 育成就労評価試験(初級)など | A2.1相当以上 |
| 育成就労の終わり(特定技能1号) | 特定技能1号評価試験、技能検定3級など | A2.2相当以上 |
「A2.2」は参照枠のA2に当たるレベルです。「A2.1」は、A1に届き、A2.2に向けて学習が進んでいるレベルです。参考として、入管庁の資料では、A1の試験の例に日本語能力試験(JLPT)のN5、A2.2の試験の例にN4を挙げています。
分野によっては、もっと高い水準が決められています。たとえば介護は、1年たったときにA2.2相当以上(あわせて日本語学習プラン。B1相当以上なら不要)、転籍するときもA2.2相当以上です。鉄道の運輸係員も、1年たったときと転籍するときにA2.2相当以上です。自分の分野の水準は、分野ごとの資料で確かめてください。
日本語の講習について、主な決まりは次のとおりです。
- 働き始める前のA1相当の講習は、原則として認定日本語教育機関の「就労」課程で受けます。一部を母国で受けることもできます。当分の間は、登録日本語教員による一定の要件を満たした講習でもよいとされています。
- A1相当の試験に合格していなくても、講習を受ければ入国できます。
- 受入れ機関は、3年間のうちに、A2相当の講習を100時間以上受けられる機会を用意する必要があります。
- 講習の費用は、受入れ機関か監理支援機関が負担を含めて対応します。
- 講習の時間を労働時間として扱う義務まではありません。
(出典:出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」、出入国在留管理庁・厚生労働省「分野別運用方針の主要な記載事項」、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」)
転籍(受入れ先の変更)のルール
育成就労では、暴力やハラスメントなど「やむを得ない事情」がある場合の転籍に加えて、本人の意向による転籍も認められます。どちらの場合も、転籍できるのは同じ業務区分の中だけです。
本人の意向で転籍するには、主に次の条件があります。
- 今の受入れ先で、分野ごとの転籍制限期間(1年または2年)を超えて働いていること
- 分野ごとに決められた技能と日本語の水準を身に付けていること(試験に合格)
- 民間の職業紹介事業者による紹介などを受けていないこと
- 転籍先が「優良な育成就労実施者」で、同じ業務区分の仕事をさせ、受入れ人数枠を超えていないこと
- 転籍先で、本人の意向で転籍してきた人の割合が一定以内であること
- 転籍先が転籍元に、一定の金額を払うこと
転籍制限期間が2年の分野でも、受入れ機関の判断で1年にすることができます。2年のままにする場合は、分野ごとに決められた待遇の向上(処遇の改善)が必要です。また、一度転籍したあと、もう一度転籍するときも、転籍制限期間を過ぎている必要があります。
5の割合は、転籍しようとする人を含めて計算し、転籍先の育成就労外国人全体の3分の1以内です。転籍先が大都市圏にあり、地方から受け入れる場合は、6分の1以内です。ただし、転籍者を含めて6名未満の小さな受入れ機関は、3分の1以内を守れば1名まで受け入れられます。
ここでいう「地方」は、告示で決められた「指定区域」です。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県以外の道県と、この8都府県の一部の地域が当たります。指定区域かどうかは、受入れ機関の本店の場所で判断します。
6の金額は、受入れにかかった初期費用を転籍先が負担するものです。告示で決める額に、転籍元で働いた期間に応じた割合をかけて計算します。割合は、1回目の転籍で、1年以上1年6か月未満なら6分の5、2年6か月以上なら4分の1などです。ただし、元になる告示の額は、2026年10月7日の時点でまだ出ていません。
手続の流れと書類は、2026年8月に改正された育成就労制度運用要領(第4章第3節)に示されています。おおまかには、次の順に進みます。
- 本人が「育成就労実施者の変更希望の申出書」で、受入れ機関・監理支援機関、または外国人育成就労機構に申し出る
- 申出を受けた側が受理し、機構への届出や関係者への通知をする(機構に直接申し出た場合は、機構から関係者に通知される)
- 転籍先が新しい育成就労計画を作り、技能・日本語の試験の合格証明書の写しなどをそろえて、機構に認定を申請する
- 認定を受けたあと6か月以内に、転籍先が初期費用を払ったことを証明する書類を機構に出す
転籍先に必要な「優良な育成就労実施者」の基準も、同じ運用要領(第4章第2節第12)に示されています。点数制で、受入れの実績に応じた総得点の7割以上を取り、一部を除く各項目で6割以上を取る必要があります。優良かどうかは、計画の認定申請のときに優良要件適合申告書を出し、機構の確認を受けます。
転籍は、ハローワークが監理支援機関や機構と連携して支援します。
(出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」、出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領 第4章」、出入国在留管理庁・厚生労働省「分野別運用方針の主要な記載事項」、出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」)
関係する機関:監理支援機関・外国人育成就労機構・送出機関
受入れ機関と外国人のほかに関わる、主な機関の役割は次のとおりです。
| 機関 | 主な役割 |
|---|---|
| 外国人育成就労機構 | 育成就労計画の認定、計画どおりに行われているかの実地検査、指導・助言 |
| 監理支援機関 | 外国人と受入れ機関の雇用関係の成立のあっせん、受入れ機関の監査、外国人の支援・保護、転籍の連絡調整 |
| 送出機関(母国) | 育成就労をしたい外国人の募集や事前研修、求職の申込みの取次ぎ |
| ハローワーク | 監理支援機関や機構と連携して、転籍を支援 |
受入れの形は2つです。外国の支店や子会社の社員などを受け入れる「単独型」と、監理支援機関が関わる「監理型」です。技能実習と違い、外国の取引先企業の社員は「監理型」で受け入れます。
監理支援機関は許可制
監理支援機関は許可制で、今の監理団体も、新しく監理支援機関の許可を受ける必要があります。許可の基準は、監理団体より厳しくなりました。主に次の基準が新しく加わっています。
- 外部監査人を置いていること
- 債務超過がないこと
- 監理支援をする受入れ機関が、原則として2者以上であること
- 実務をする常勤の役職員が2人以上で、受入れ機関の数を8で割った数と、外国人の数を40で割った数のどちらも上回っていること
外部監査人には、講習の受講のほか、弁護士・社会保険労務士・行政書士など育成就労の知見がある人であること、受入れ機関と密接な関係がないことなどが求められます。優良な監理支援機関の具体的な基準は、まだ公表されていません。
送出しは原則として協力覚書(MOC)の国から
外国人を受け入れられるのは、原則として、日本と二国間の取決め(協力覚書、MOC)を作った国からだけです。外国人が送出機関に払う費用の上限は、受入れ機関から払われる月給(所定内の月額)の2か月分までです。これを超える費用は、受入れ機関か監理支援機関が負担します。
また、一部の国からの受入れでは、母国の公的機関が作る「推薦状」が、申請のときに1人ずつ必要です(単独型と、取引先企業の社員を監理型で受け入れる場合を除く)。2026年10月7日の時点で、推薦状を出すとされている国は、インドネシア、カンボジア、キルギス、ベトナム、ラオスです。
(出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」、出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」、出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」)
受入れ機関(育成就労実施者)の主な要件
受入れ機関の要件は、技能実習の要件を引き継いだうえで、新しい要件が加わりました。主なものは次のとおりです。
- 過去1年以内に、受入れ機関などの責任で外国人の行方不明者を出していないこと
- 過去1年以内に、同じ種類の仕事をしていた労働者を、自分から辞めた場合などを除いて離職させていないこと
- 労働・社会保険・税の法令を守っていること
- 送出機関などから、常識を超える金品や接待を受けていないこと
- 雇用契約を結ぶときに、労働条件などを直接またはオンラインで説明していること
- 分野別の協議会に加入していること(工業製品製造業は、一般社団法人工業製品製造技能人材機構(JAIM)への入会)
受け入れられる人数には、常勤職員の数に応じた上限(受入れ人数枠)があります。経過措置で残る1号・2号の技能実習生も、この枠に数えます。優良な受入れ機関は枠が広がります(基準は転籍の章で説明した点数制)。
育成就労責任者に加えて、育成就労指導員と生活相談員も、過去3年以内に養成講習を受けることが義務になりました。当分の間は、技能実習制度の養成講習で代わりにできる予定です。
さらに、分野ごとに上乗せの基準(告示)があり、分野別の運用要領で必要な書類が案内されます。2026年10月17日に確認した時点(10月16日の公表分まで)の公表状況は、次のとおりです。
- 分野別運用要領が公表済み:ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、自動車整備、宿泊、鉄道、物流倉庫、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環
- 審査基準が公表済み:ビルクリーニング、リネンサプライ、自動車整備、宿泊、鉄道、飲食料品製造業、物流倉庫、林業、木材産業、資源循環
- 協議会などの加入手続が開始済み:介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、造船・舶用工業、自動車整備、鉄道、飲食料品製造業、林業、木材産業
これ以外の分野は「準備中」です。書類がそろわないまま申請すると、追加の提出が必要になり、その間は審査が保留されます。
(出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」、出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領 第4章」、出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」)
育成就労で働く外国人が知っておきたいこと
働く人にとって大事な点をまとめます。
- 家族:原則として、家族を日本に呼んで一緒に住むことはできません。
- 送出機関に払う費用:月給の2か月分までです。これを超える分は、受入れ機関か監理支援機関が負担します。
- 税金:育成就労の給与は、技能実習と違い、原則として租税条約の免税の対象になりません。所得税と住民税がかかります。
- 妊娠・出産:続けるのが難しくなっても、育成就労を中断して、あとで再開することができます。
- 一時帰国:農業と漁業では、毎年同じ時期に最大6か月、母国に帰って休む計画を作れます。帰っている期間は3年に数えず、日本で働く期間が合計3年になるようにします。
- ほかの在留資格から:今ほかの在留資格で日本にいる人が、「育成就労」に変更できる場合があります。ただし、特定技能1号で上限まで在留した人など、特定技能に移る余地がない人はなれません。
(出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」、国税庁「育成就労外国人が育成就労実施者から支払を受ける給与の課税関係について」)
特定技能1号・永住との関係
育成就労を終えたあとは、特定技能1号に移ることが想定されています。移るには、技能の試験(技能検定3級など、または特定技能1号評価試験)と、日本語A2.2相当以上の試験(JFT-BasicのA2.2相当、JLPTのN4など)の合格が必要です。技能実習2号の良好な修了のような、試験の免除はありません。
3年たっても試験に合格できなかった場合は、最長1年の範囲で、一定の在留の継続が認められる方針です。育成就労の途中で特定技能1号に移ることは、試験に合格したうえで、今の受入れ先で働いた期間が一定の長さを超えている場合に限って認める方針です。その期間の長さは、この記事の時点で確認できていません。
特定技能1号の在留期間の決まり方は、次の記事で説明しています。
→ 特定技能1号の在留期間はどう決まる?会社のカテゴリー別の上限と、1か月の差で変わる手数料
永住許可では、2026年10月1日に改定されたガイドラインで、育成就労は「就労資格」から外されています。永住許可では原則として、引き続き10年以上の在留のうち、就労資格または居住資格で引き続き5年以上の在留が求められます。この「就労資格で5年」には、育成就労の期間は入りません。
→ 永住許可ガイドライン改定で何が変わる?年収水準・日本語B1・適用時期を新旧比較
(出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」、出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」)
いま技能実習生がいる会社・技能実習中の人はどうなる?(経過措置)
技能実習は、2027年4月1日で一度に終わるわけではありません。一定の人は、施行後も技能実習を続けられます。ただし、技能実習から育成就労に切り替えることはできません。
| ケース | 施行後の扱い |
|---|---|
| 2027年4月1日の時点で、日本で技能実習をしている | 原則として、認定された計画に基づいて引き続き技能実習ができる |
| 2027年3月31日までに技能実習計画の認定を申請し、原則として2027年6月30日までに技能実習を始める | 技能実習生として入国し、技能実習ができる場合がある(計画の認定が施行日以後になることもある) |
| 施行日前に技能実習を終えて出国した | 技能実習生として再び入国することはできない(期間や職種によっては、育成就労で入国できる場合がある) |
施行後の扱いは、次のとおりです。
- 2027年4月1日の時点で1号の人は、施行後も2号に進めます。
- 3号に進めるのは、2027年4月1日の時点で2号を1年以上行っている人だけです。
- 当分の間は、技能実習2号を良好に修了し、仕事の内容に関連性があれば、技能実習から特定技能1号に移れます。
- 過去の技能実習の期間は育成就労の期間とみなされます。2年以上技能実習をした人が、別の分野で育成就労として再び来日することは、基本的にできません。
- 施行後も技能実習生を受け入れる監理団体は、許可の有効期間の更新が必要です。ただし、監理支援機関の許可を受けていれば、更新は不要です。
外国人技能実習機構は、1号の技能実習計画の認定申請を2027年2月までに行うよう案内しています。
経過措置は、一人ひとりの入国日や段階で結論が変わります。自社の技能実習生がどれに当たるか迷うときは、専門家に相談してください。
(出典:出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」、外国人技能実習機構「育成就労制度について」)
施行までに企業・監理団体が準備すること
立場ごとの準備です。
監理団体
- 監理支援機関の許可を申請する(2026年4月15日から受付)。外部監査人や常勤の役職員の人数など、新しい基準を満たしているか確かめる
- 介護・工業製品製造業・自動車整備・物流倉庫・漁業を扱う場合は、分野ごとの上乗せ基準(告示)と運用要領を確認する
- 契約する送出機関の国が、MOCを作った国か、協議中の国かを確かめる
受入れ企業
- 自社の分野と業務区分が、育成就労の17分野に入っているか確かめる
- 分野別の協議会(工業製品製造業はJAIM)に加入する
- 分野の運用要領・審査基準の公表状況を確かめ、育成就労計画の施行日前申請(2026年9月1日から受付)の書類をそろえる
- 推薦状が必要な国から受け入れる場合は、推薦状を取得する
- A1・A2の日本語講習を受けられる日本語教育機関を探す
- 育成就労責任者・指導員・生活相談員の養成講習を受ける
なお、監理型の育成就労で監理と支援をするのは監理支援機関です。登録支援機関は特定技能の制度で支援をする機関で、関わるのは、育成就労から特定技能1号に移り、受入れ機関から支援を任された場合です。
計画の作り方や許可の基準は、会社や団体の状況で必要な対応が変わります。申請の準備で迷うときは、専門家に相談してください。
(出典:出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」)
よくある質問
Q1. 育成就労はいつから始まりますか?
2027年4月1日(令和9年4月1日)に始まります。施行日前申請は、すでに受付が始まっています。
Q2. 技能実習制度はすぐになくなりますか?
すぐにはなくなりません。2027年4月1日に技能実習をしている人などは、経過措置で技能実習を続けられます。施行後に新しく技能実習生として入国できるのは、2027年3月31日までに計画の認定を申請し、原則として6月30日までに始める人に限られます。
Q3. 転職(転籍)は自由にできますか?
自由ではありません。本人の意向による転籍は、同じ業務区分の中で、転籍制限期間を過ぎ、技能と日本語の試験に合格しているなどの条件を満たす場合に限られます。手続の流れは運用要領に示されていますが、転籍先が負担する初期費用の元になる告示額は、まだ公表されていません。
Q4. 家族を日本に呼べますか?
原則として、家族を呼んで一緒に住むことはできません。
Q5. どこの国からでも受け入れられますか?
原則として、日本と協力覚書(MOC)を作った国からだけです。作成された国は、外国人技能実習機構のホームページで公開されます。
Q6. 受入れの人数に上限はありますか?
あります。育成就労の受入れ見込数は、2029年3月末までに合計426,200人で、分野ごとに上限として運用されます。上限を超えそうになると、その分野の育成就労計画の認定が一時的に止まります。
(出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」、出入国在留管理庁・厚生労働省「分野別運用方針の主要な記載事項」)
まとめ
- 育成就労制度は、技能実習に代わって2027年4月1日に始まります。目的は、人手不足の分野で人材を育て、確保することです。
- 対象は17分野で、原則3年の就労を通じて、特定技能1号の水準をめざします。
- 本人の意向による転籍が、同じ業務区分の中で、条件つきで認められます。転籍制限期間は分野ごとに1年か2年です。
- 日本語は、働き始める前のA1相当から、終わるときのA2.2相当まで段階的に求められます。分野によって水準が違います。
- 今いる技能実習生は経過措置で技能実習を続けられますが、技能実習から育成就労には切り替えられません。
- 優良な受入れ機関の基準は、2026年8月の運用要領の改正で示されました。本人の意向による転籍の手続も、運用要領に示されています。優良な監理支援機関の基準と初期費用の告示額は、2026年10月7日の時点で公表されていません。入管庁と外国人技能実習機構のページで、公表の状況を確かめてください。
- 自社や自分の場合にどう準備すればよいか迷ったら、専門家に相談してください。
記事作成で参照した一次情報
- 出入国在留管理庁「育成就労制度」
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の制度概要・関係法令」
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「分野別運用方針の主要な記載事項(特定産業分野・育成就労産業分野及び業務区分一覧)」
- 出入国在留管理庁「特定技能制度及び育成就労制度に係る基本方針・分野別運用方針」
- 出入国在留管理庁「分野別運用方針 別紙15 飲食料品製造業」
- 出入国在留管理庁「技能実習2号移行対象職種と育成就労における分野(業務区分)との関係性について」
- 厚生労働省「技能実習制度 移行対象職種・作業一覧(令和8年7月29日時点)」
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」
- 出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領」
- 出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領 第4章 育成就労計画の認定等(令和8年8月5日改正)」
- 外国人技能実習機構「育成就労制度について」
- 国税庁「育成就労外国人が育成就労実施者から支払を受ける給与の課税関係について」
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」

