2027年4月1日に育成就労制度が始まっても、技能実習生がその日に一斉に育成就労へ変わるわけではありません。施行日に実習中の人は、そのまま技能実習を続けられます。ただし、3号に進めるのは施行日時点で2号を1年以上行っている人だけで、新しく始められるのは、2027年3月31日までに計画を申請し、6月30日までに入国する人だけです。
この記事では、実習生の状況ごとの扱い、3号に進めるかの数え方、施行直前の期限、育成就労に切り替えられない理由、人数枠と監理団体の扱い、修了後の進路を順に説明します。内容は、2026年10月17日に出入国在留管理庁(入管庁)・外国人技能実習機構(OTIT)のページと資料で確認したものです。
育成就労制度の全体(目的・分野・転籍・日本語の要件など)は、次の記事で説明しています。
→ 育成就労制度とは?技能実習との違い・転籍・日本語要件を全体解説【2027年4月開始】
施行後も技能実習ができるのは3つの場合だけ
育成就労制度の施行後も行える技能実習は、次の3つに限られます。これ以外の人は、施行後に技能実習生として受け入れることはできません。
- 施行の際に現に行っている技能実習:「施行の際」は2027年4月1日の0時です。その時点で、OTITの認定を受けた技能実習計画に基づいて実習をしている人が当たります。
- 施行日前に計画を申請し、施行日から3か月以内に始める技能実習:2027年3月31日までに技能実習計画の認定を申請し、2027年6月30日までに上陸許可を受けて始めるものです。
- 施行後に前の段階を修了した人の、次の段階の技能実習:1号を修了した人は2号へ、2号を修了した人は3号へ進めます。ただし3号に進めるのは、施行日時点で2号を1年以上行っている人だけです。
施行日(2027年4月1日)以降は、技能実習計画の認定申請そのものができなくなります。上の3つに当たらない場合は、育成就労での受入れを考えることになります。
経過措置の資料の図では、技能実習は「施行から3年目途(令和12年3月31日)」までとされ、その後は育成就労制度のみと示されています。これは図に書かれた「めど」で、法律に書かれた期限ではありません。
(出典:出入国在留管理庁「技能実習経過措置Q&A」問1・問2、出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」、改正法(令和6年法律第60号)附則第9条)
自社の実習生はどれに当たる?状況別の早見表
施行日(2027年4月1日)時点の状況ごとに、施行後の扱いをまとめました。結論は、一人ひとりの入国日や許可日で変わります。在留カードと計画の認定通知書を手元に置いて確かめてください。
| 施行日時点の状況 | 施行後の扱い |
|---|---|
| 1号で実習中 | 技能実習を続けられる。1号を修了すれば2号に進める |
| 2号で実習中(2号の期間が1年未満) | 2号を修了するまで続けられる。3号には進めない |
| 2号で実習中(2号の期間が1年以上) | 続けられる。条件を満たせば3号に進める |
| 3号で実習中 | 3号を修了するまで続けられる |
| 困難時届出書を出して中断中(施行日前から中断が続いている) | 技能実習を再開できない |
| 転籍手続の「特定活動」で在留中 | その在留期間内は在留できるが、「技能実習」への変更はできない |
| 施行日前に実習を終えて出国済み | 原則として技能実習生として再入国できない(施行日前に次の段階の計画を申請し、2027年6月30日までに入国・開始する場合を除く。育成就労で入国できる可能性はある) |
| 計画を申請済みで、まだ入国していない | 2027年6月30日までに入国・開始すれば技能実習ができる |
いくつか補足します。
- 中断中の人:施行日前から実習を中断し、施行日時点でも中断が続いている場合は、再開できません。一方、施行日時点で実習を続けていれば、施行後も従来どおり中断と再開ができます。
- 「特定活動」の人:施行日以降に技能実習の在留資格を失った場合(帰国など)も、技能実習生として入国することはできません。
- 出国済みの人:施行日前に次の段階(2号・3号)の計画を申請し、2027年6月30日までに入国して始める場合は、技能実習を続けられます。それ以外は、技能実習生として再入国できません。入管庁は、技能実習の内容によっては、育成就労計画の認定を受けて育成就労外国人として入国できる可能性があると説明しています。
施行日時点で技能実習の在留資格にいる人は、施行後も在留期間の更新と、1号から2号、2号から3号への在留資格の変更を受けられます。ただし、施行日以降に「技能実習」以外の在留資格に変えた人は、「技能実習」に戻ることはできません。
(出典:技能実習経過措置Q&A 問3・問4・問13、経過措置について p.3、出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」、改正法附則第8条)
3号に進めるのは「施行日時点で2号を1年以上」の人だけ
施行後に2号から3号へ進むには、2027年4月1日の時点で、「技能実習2号」の在留資格で実習を1年以上行っていることが必要です。そのため、遅くとも2026年4月1日までに2号の実習を始めている必要があります。

出典:編集部作成(出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001456036.pdf)、技能実習3号移行リーフレット(https://www.moj.go.jp/isa/content/001456037.pdf)、技能実習経過措置Q&A(https://www.moj.go.jp/isa/content/001461274.pdf)をもとに作成)
図の上の枠が数え方、下の3つの行が判定の結果です。
1年の数え方
- 数え始め:2号への在留資格変更許可の日です。2号に変わったときに交付された在留カードに「許可年月日」が書かれているので、その日から2027年4月1日までが1年以上かを見ます。
- 数えない期間:「技能実習を行っている期間」は、「技能実習」の在留資格で実習に従事している期間だけです。次の期間は含みません。
- 転籍手続のために「特定活動」で在留していた期間
- 技能実習実施困難時届出書を出して、実習を中断していた期間
- 例外:困難時届出書を出したあと、困難な事由が起きてから1か月以内に理由書(自由様式)を出して再開した場合は、その期間を中断期間から除きます。
許可年月日が2026年4月1日より前でも、数えない期間があると1年に届かないことがあります。途中で転籍や中断があった実習生は、特に注意してください。
入国の時期による目安
OTITは、2025年4月2日以降に新たに技能実習生として入国した人は、3号に移行できない可能性があると注意を呼びかけています。1号の期間は人によって違うため、この日付は「可能性」の目安です。最後は、2号の許可年月日で判断します。
3号のその他の要件
経過措置の条件を満たしても、3号の計画の認定には、これまでどおりの要件が必要です。たとえば、実習実施者が技能等を修得させる能力について「高い水準」を満たしていること(いわゆる優良な実習実施者)です。団体監理型なら、監理団体が一般監理事業の許可を受けていることも必要です。
3号に進めない人の選択肢は、後の「技能実習を終えたあとの進路」で説明します。
(出典:技能実習経過措置Q&A 問7〜9、技能実習3号移行リーフレット、外国人技能実習機構「技能実習計画についてのご案内」、技能実習法 第8条第4項・第9条第10号(e-Gov))
施行直前に新しく技能実習生を受け入れる場合の期限
施行直前に新しく受け入れる場合、最後の期限は2027年6月30日です。入国(上陸許可)も実習の開始も、この日までに終える必要があります。

出典:編集部作成(出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」(https://www.moj.go.jp/isa/content/001456036.pdf)、技能実習経過措置Q&A(https://www.moj.go.jp/isa/content/001461274.pdf)、外国人技能実習機構「技能実習計画についてのご案内」をもとに作成)
図の上から順に、期限を説明します。
- 計画の申請は2027年2月までに:1号の計画の認定申請は2027年3月31日までできます。ただしOTITは、3月以降に申請すると、審査や入国の手続に時間がかかり、6月30日までに上陸許可を受けられない可能性があるとしています。そのため、2027年2月までの申請をお願いしています。
- 実習開始日は6月30日以前:施行日前に申請した計画は、施行日以降に認定されることもあります。この場合も、計画の実習開始日は2027年6月30日以前でなければなりません。
- 入国も6月30日まで:認定証明書を受け取っていても、6月30日を過ぎると「技能実習」で上陸許可を受けられません。実習開始日が7月1日以降に変わった場合も、入国は6月30日までです。
- 認定証明書が施行日後に交付されたとき:施行日前に申請した在留資格認定証明書が施行日後に交付された場合は、交付日から3か月以内に入国する必要があります。
- 2号・3号も同じ:認定証明書を受けて新たに入国し、2号や3号を始める場合も、6月30日までの入国と、6月30日以前の実習開始日が必要です。
OTITは、2号に進めるのは2027年6月30日までに1号を始めている実習生だと案内しています。間に合いそうにない場合は、育成就労を検討してください。育成就労計画の認定申請は、2026年9月1日から施行日前の申請として受け付けています。
(出典:技能実習経過措置Q&A 問10〜13・問18、経過措置について p.1、外国人技能実習機構「育成就労制度について」、改正法附則第8条・第9条)
技能実習から育成就労には切り替えられない
技能実習の途中で、育成就労に切り替えることはできません。施行後に技能実習を行っている人は、技能実習のまま修了まで進むことになります。
育成就労をするには一度出国が必要
2027年4月1日以降に技能実習を行った人が育成就労をするには、出国が必要です。再入国許可(みなし再入国許可を含む)を受けて出国した場合は、出国に当たりません。ただし、出国中に再入国許可が失効した場合は出国に含みます。
技能実習の期間は育成就労の期間とみなされる
元技能実習生が育成就労をする場合、技能実習をしていた期間は、基本的に育成就労をしていた期間とみなされます。育成就労は通算3年までです。入管庁は、2年以上技能実習をした人が、技能実習と異なる分野で育成就労をすることは基本的にできないと説明しています。
例外:技能実習の期間を数えない場合
技能実習の目標だった試験と同じか相当する試験が、育成就労の目標として定められていない場合などは、技能実習の期間を考えずに育成就労をさせることができます。どの試験が対応するかは、分野ごとに別途示すとされています。
育成就労の対象にならない職種
技能実習2号の移行対象職種でも、次の3つは育成就労の分野(業務区分)の対象になっていません。
- クリーニング職種(一般家庭用クリーニング作業)
- 空港グランドハンドリング職種
- ボイラーメンテナンス職種(ボイラーメンテナンス作業)
(出典:技能実習経過措置Q&A 問17、経過措置について p.2、育成就労制度Q&A、育成就労制度運用要領 第4章 p.4-212〜4-217、改正法附則第11条)
受入れ企業・監理団体の実務:人数枠・届出・許可の更新
技能実習と育成就労を同じ時期に受け入れる会社は、人数枠の数え方に注意が必要です。
人数枠
- 施行後も技能実習を行う1号と2号の実習生は、育成就労外国人の数として数えます。3号の実習生は数えません。
- 人数枠の基準になる「常勤の職員」には、経過措置で技能実習を行っている人を含めません。
- 反対に、育成就労外国人は、技能実習の人数枠の計算には入りません。
例として、常勤の職員(技能実習生を除く)が35人の会社が、監理型で育成就労外国人を受け入れる場合を考えます。基本人数枠は12人です。施行後も2号の実習生が5人残っていれば、その5人を差し引いて、新しく受け入れられる育成就労外国人は7人が目安です(優良な場合の枠などは別)。3号の実習生は、この計算に入りません。
届出と罰則
経過措置で行う技能実習では、技能実習法令の届出を引き続き行います。施行後にした行為への罰則も、従前の例(技能実習法)によります。
在留手続と計画の変更
在留期間の更新や、1号から2号・2号から3号への在留資格の変更は、施行後もできます。病気やけがで実習を中断したときなど、施行後に計画の変更が必要になった場合も、変更の認定を受けられます。
監理団体
施行後も技能実習の監理事業を行う監理団体は、許可の有効期間の更新や事業区分の変更ができます。監理支援機関の許可を受けた団体は、技能実習の一般監理事業の許可を受けたものとみなされるため、監理団体の許可を別に更新する必要はありません。監理支援機関の許可を受けた団体は、技能実習の監理団体としても活動できます。
(出典:技能実習経過措置Q&A 問5・問6・問14・問16、育成就労制度Q&A、育成就労制度運用要領 p.4-107〜4-108、経過措置について p.2〜3、改正法附則第10条・第13条・第22条)
技能実習を終えたあとの進路(本人向け)
3号に進めない人も、技能実習を終えたあとに日本で働き続ける道があります。
特定技能1号に移る
育成就労制度が始まったあとも、当分の間は、技能実習2号を良好に修了し、これからする仕事と2号の職種・作業に関連性があれば、特定技能1号に移ることができます。
これに対し、育成就労から特定技能1号に移るときは、技能の試験と日本語の試験の合格が必要になります。技能実習から移る場合とは条件が違うので、混同しないようにしてください。
特定技能1号の準備が在留期限に間に合わないときは、働きながら準備できる特定活動があります。
→ 特定活動(特定技能1号移行準備)とは|対象・要件・申請の流れ、転職中の使い方と注意点
介護分野に移る場合の試験の免除は、次の記事で説明しています。
→ 技能実習から特定技能「介護」に移行するときに免除になる試験の種類と要件
帰国後に育成就労で来日する
技能実習を終えて帰国した人が、育成就労で再び来日することもできます。ただし、技能実習の期間は育成就労の期間とみなされ、通算3年までです。2年以上技能実習をした人は、基本的に別の分野では育成就労ができません。
3号に進めない人は、2号を修了する時期と特定技能1号の準備を、早めに会社と相談してください。
(出典:育成就労制度Q&A、外国人技能実習機構「技能実習計画についてのご案内」)
会社が今やることチェックリスト
施行日までに、実習生ごとに次のことを確かめておくと安心です。
- 実習生ごとに在留カードの許可年月日を見て、3号に進めるかを一覧にした
- 転籍手続の「特定活動」の期間や、中断していた期間がある実習生を確認した
- 施行日時点で中断している実習生がいないか確認した(中断が続くと再開できない)
- 2027年4月以降に新しく受け入れる予定があれば、2027年2月までに1号の計画を申請するか、育成就労にするかを決めた
- 技能実習と育成就労を同時に受け入れる場合の人数枠を計算した
- 修了予定の実習生と、特定技能1号への移行や帰国などの進路を話し合った
- 監理団体と、監理支援機関の許可の申請状況、技能実習の許可の有効期間を確認した
実習生の状況によって、3号に進めるかや、取るべき手続が変わります。判断に迷う場合は、早めに専門家に相談してください。
よくある質問
Q. 2027年4月1日に、技能実習生はみんな育成就労に変わりますか? A. 変わりません。施行日に実習中の人は、技能実習のまま続けられます。技能実習の途中で育成就労に切り替えることもできません。
Q. 2号の途中で施行日を迎えたら、3号に進めますか? A. 施行日時点で、2号の期間が1年以上なら進める可能性があります。在留カードの許可年月日から数え、「特定活動」の期間や中断していた期間は除きます。
Q. 2027年3月に計画を申請しても間に合いますか? A. 申請はできますが、2027年6月30日までに入国し、実習を始める必要があります。OTITは、間に合わない可能性があるとして、2月までの申請をお願いしています。
Q. 施行日前に帰国した元実習生を、もう一度技能実習で呼べますか? A. 原則として呼べません。例外は、2027年3月31日までに計画を申請し、6月30日までに入国して実習を始める場合です(2号・3号を新たに入国して始める場合も同じ)。それ以外は、技能実習の内容によって、育成就労で入国できる可能性があります。
Q. 技能実習生は、育成就労の人数枠に入りますか? A. 1号と2号の実習生は、育成就労外国人の数として数えます。3号の実習生は数えません。
まとめ
- 施行後も技能実習ができるのは、施行日に実習中の人、3月31日までに申請し6月30日までに入国して始める人、その人たちが次の段階に進む場合の3つだけです。
- 3号に進めるのは、施行日時点で2号を1年以上行っている人だけです。在留カードの許可年月日から数え、特定活動や中断の期間は除きます。
- 新しく受け入れるなら、入国と実習開始の期限は2027年6月30日です。OTITは2027年2月までの申請をお願いしています。
- 技能実習から育成就労には途中で切り替えられません。育成就労をするには出国が必要で、技能実習の期間は育成就労の期間とみなされます。
- 施行後も続く1号・2号の実習生は、育成就労の人数枠に数えます。
- 経過措置の技能実習は、施行から3年(2030年3月31日)をめどに終わる見込みです。
経過措置のQ&Aや運用要領は、今後も改正や追加が続く可能性があります。手続の前に、入管庁とOTITのページで最新の情報を確かめてください。
→ 育成就労制度とは?技能実習との違い・転籍・日本語要件を全体解説【2027年4月開始】
記事作成で参照した一次情報
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の施行に伴う技能実習の経過措置について」
- 出入国在留管理庁・厚生労働省・外国人技能実習機構「技能実習3号移行リーフレット」
- 出入国在留管理庁「技能実習経過措置Q&A」(2026年4月22日掲載)
- 出入国在留管理庁「外国人技能実習制度について」
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
- 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和6年法律第60号)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領」
- 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(e-Gov法令検索)
- 外国人技能実習機構「育成就労制度について」
- 外国人技能実習機構「技能実習計画についてのご案内」

