介護分野の特定技能外国人の国籍別在留者数の推移

介護分野の特定技能外国人の国籍別在留者数の推移
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監修者:申請取次行政書士 安藤祐樹

介護分野における特定技能外国人の受け入れは、深刻化する人手不足を背景に拡大を続けています。
なかでもアジア諸国を中心とした多様な国籍の人材が各地の介護現場で活躍しており、在留者数は年々増加する傾向にあります。

本記事では、出入国在留管理庁の最新データをもとに、特定技能「介護」の国籍別在留者数の推移を詳しく解説します。どの国からの受け入れが多いのか、またその増減の背景にある要因を読み解くことで、今後の採用計画や支援体制の整備に役立つ視点を提供します。

Table of Contents

特定技能「介護」在留者総数の推移

特定技能「介護」在留者総数の推移

介護分野における特定技能の在留者数の推移は以下の通りです。
2019年の制度開始以降、特定技能「介護」で就労する外国人の数は年々増加を続けています。
2024年末時点では、特定技能「介護」の在留者数は44,367人に達しました。

日本政府は、今後も介護分野の人手不足が一層深刻化すると見込んでおり、2029年までに約13万5,000人の受け入れを想定しています
こうした見通しからも、特定技能「介護」の在留者数は今後数年間にわたり増加傾向を維持すると考えられます。

以下に、特定技能「介護」の在留外国人数の推移を示す表とグラフを掲載します。

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Year201920202021202220232024
Number199395,15516,08128,40044,367
特定技能「介護」在留者総数推移 Trend in the Total Number of SSW Care Workers

特定技能「介護」国籍別就労者数の推移

特定技能「介護」国籍別の推移 Trends in SSW Care Workers by Nationality

2024年時点において、介護分野の特定技能で最も在留者数が多いのはインドネシア国籍の外国人です。
2023年まではベトナム国籍が最多でしたが、現在はインドネシアとミャンマー出身者が上位を占めています。

ここからは、特定技能「介護」における国籍別の在留者数の推移を詳しく見ていきましょう。

ベトナム

特定技能「介護」におけるベトナム出身者の在留者数は、2019年の制度開始以降、継続的に増加してきました。
2023年までは全ての国籍の中で最多でしたが、直近では新規就労者数の伸びが鈍化しており、2024年時点ではインドネシア、ミャンマーに次ぐ第3位となっています。

ベトナムの大きな特徴として、技能実習から特定技能へと移行する人材が多い点が挙げられます。

以下に、特定技能「介護」で就労するベトナム国籍者の在留者数の推移を示した表とグラフを掲載します。

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Year201920202021202220232024
Number23682,7305,9587,9378,910
特定技能「介護」在留者総数推移(ベトナム) Trend in the Total Number of SSW Care Workers(Vietnam)

インドネシア

人口約2億8,000万人を擁するインドネシアは、介護分野における特定技能人材の在留者数が最も多い国となっています。
2024年には、それまで最多であったベトナムを追い抜き、以降も新規就労者数は着実に増加を続けています

以下に、特定技能「介護」で就労するインドネシア国籍者の在留者数推移を示した表とグラフを掲載します。

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Year201920202021202220232024
Number32175743,2867,41112,242
特定技能「介護」在留者総数推移(インドネシア) Trend in the Total Number of SSW Care Workers(Indonesia)

フィリピン

介護人材の送り出し国として世界的に知られるフィリピンは、日本においても多くの介護人材を供給しています。
2024年時点での特定技能「介護」の就労者数は4,538人と多く、受け入れ企業からの評価も高い傾向にあります。

フィリピンの特徴としては、政府による人材送り出しのルールが厳格であり、他国で見られる借金問題や失踪といったリスクが比較的少ない点が挙げられます。

一方で、受け入れに際しては手続きが煩雑で、特に初めてフィリピン人材を受け入れる場合、受け入れ企業がフィリピン政府の厳格な審査を通過する必要があります。

以下に、特定技能「介護」で就労するフィリピン国籍者数の推移を示した表とグラフを掲載します。

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Year201920202021202220232024
Number141165352,0493,4974,538
特定技能「介護」在留者総数推移(フィリピン) Trend in the Total Number of SSW Care Workers(Philippines)

ミャンマー

介護分野における特定技能のミャンマー出身者数は、2024年時点で11,717人に達しています。
これは、特定技能「介護」における全在留者数の約4分の1を占める規模であり、インドネシアに次いで2番目に多い国籍となっています

ミャンマー出身者は、2022年までは第5位にとどまっていましたが、近年は急速に増加しており、注目すべき送り出し国の一つとなっています。

以下に、特定技能「介護」で就労するミャンマー国籍者数の推移を示した表とグラフを掲載します。

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Year201920202021202220232024
Number0674101,9274,73011,717
特定技能「介護」在留者総数推移(ミャンマー) Trend in the Total Number of SSW Care Workers(Myanmar)

中国

2024年時点で、日本に在留する中国国籍の方は84万4,187人と、すべての国籍の中で最も多い人数となっています。
しかし、特定技能「介護」で就労している中国出身者は、わずか1,103人にとどまっています。

特定技能制度では、通常、日本と相手国との間で二国間協定を締結し、その上で受け入れに関するルールを定めますが、2024年現在、中国とはこの協定が締結されていません。

そのため、中国国籍の特定技能人材の多くは、新規に入国した人ではなく、技能実習からの移行や留学生からの在留資格変更といった形で就労しているケースが大半を占めていると考えられます。

以下に、特定技能「介護」で就労する中国国籍者数の推移を示した表とグラフを掲載します。

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Year201920202021202220232024
Number0922936821,0321,103
特定技能「介護」在留者総数推移(中国) Trend in the Total Number of SSW Care Workers(China)

カンボジア

2024年時点において、介護分野の特定技能で就労しているカンボジア国籍者は320人となっています。
現時点では人数は多くありませんが、特定技能の送り出し国は徐々に多様化しており、新興国からの人材も増加傾向にあることから、今後の伸びが期待される国のひとつです

以下に、特定技能「介護」で就労するカンボジア国籍者数の推移を示した表とグラフを掲載します。

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Year201920202021202220232024
Number01219182290320
特定技能「介護」在留者総数推移(カンボジア) Trend in the Total Number of SSW Care Workers(Cambodia)

タイ

2024年時点において、介護分野の特定技能で就労しているタイ国籍者は334人と、現時点では多くありません。
同年のタイ出身の特定技能全体の在留者数は5,563人ですが、その約8割が「産業機械製造業」「農業」「飲食料品製造業」の3分野に集中しており、介護分野に従事する人は限られています

以下に、特定技能「介護」で就労するタイ国籍者数の推移を示した表とグラフを掲載します。

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Year201920202021202220232024
Number042299237334
特定技能「介護」在留者総数推移(タイ) Trend in the Total Number of SSW Care Workers(Thailand)

ネパール

2024年時点において、特定技能「介護」で就労するネパール国籍者の数は3,602人となっており、全体の中で第5位の規模です。
ベトナムやフィリピンなど一部の国で新規就労者数の伸びが鈍化している一方で、ネパール国籍の就労者は引き続き増加傾向にあります。

ネパールの特徴としては、日本に滞在する留学生が多い点が挙げられます。
今後は、これらの留学生が特定技能へ移行し、介護分野で活躍するケースがさらに増えると見込まれます

以下に、特定技能「介護」で就労するネパール国籍者数の推移を示した表とグラフを掲載します。

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Year201920202021202220232024
Number028400138122823602
特定技能「介護」在留者総数推移(ネパール) Trend in the Total Number of SSW Care Workers(Nepal)

その他の国籍

介護分野において、特定技能で在留する外国人のうち、前述した国々以外の国籍者の合計は、2024年時点で1,601人となっています。
特定技能制度では、日本国外での試験実施は一部の国に限られますが、日本国内で試験を受けて合格すれば、どの国籍の方でも在留資格を取得することが可能です

以下に、特定技能「介護」で就労するその他国籍者数の推移を示した表とグラフを掲載します。

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Year201920202021202220232024
Number0351725179841601
特定技能「介護」在留者総数推移(その他の国) Trend in the Total Number of SSW Care Workers(Other nationalities)

まとめ

介護分野では、介護業務に必要とされる高い日本語能力が一つの壁となり、人手不足が深刻であるにもかかわらず、外国人材の受け入れに慎重な事業者が依然として多く存在します。
しかし近年は、日本語能力の高い人材が増加しており、介護福祉士国家試験に合格する特定技能外国人の数も年々伸びています。

今後は、単なる特定技能人材の受け入れにとどまらず、いかに人材を育成し、成長を支援していくかが重要な課題となるでしょう。
特定技能の在留中に介護福祉士の資格を取得すれば、永住許可の可能性が大きく広がります。これは、事業者にとっては人材の長期定着につながり、外国人本人にとっても永住者として安定した生活を築けるという、双方にとって大きなメリットとなります。

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監修者

安藤祐樹のアバター 安藤祐樹 申請取次行政書士

きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

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