「家族滞在ビザ」とは?外国人が日本に家族を呼び寄せるための制度の仕組みを解説

「家族滞在ビザ」とは?外国人が日本に家族を呼び寄せるための制度の仕組みを解説
  • URLをコピーしました!
この記事の監修者:安藤祐樹
申請取次行政書士
きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

外国人が日本で就労する中で、「家族を日本に呼び寄せたい」と考える人は少なくありません。しかし、どのような条件で家族を呼べるのか、どの在留資格を取得すればよいのかが分からず、不安を感じる方も多いでしょう。特に「家族滞在ビザ」とはどのような制度なのか、就労や在留期間に関するルールを正しく理解しておくことが大切です。

この記事では、「家族滞在ビザとは何か」をテーマに、対象となる家族の範囲、在留期間や就労の可否、申請手続きの種類などを詳しく解説します。制度の仕組みを理解し、家族を安心して日本に迎えるための準備に役立ててください。

Table of Contents

家族滞在ビザとは

家族滞在ビザとは

家族滞在ビザとは、日本に在留する外国人が、その家族を日本に呼び寄せるための在留資格です。

家族を呼ぶための在留資格には家族滞在以外にも、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」「特定活動」などがありますが、ここでは「家族滞在ビザ」に焦点を当てて解説します。

家族滞在の対象者は配偶者と子供

家族滞在ビザの対象は、日本に在留している外国人の配偶者と子どもに限られます
この在留資格で親や兄弟姉妹を呼び寄せることはできません。

また、家族滞在ビザの取得者は、日本に入国後は扶養者となる外国人の扶養を受けて生活することが前提となり、独立して生計を立てる予定の配偶者や子どもは対象外です。

どのような在留資格で家族を日本に呼び寄せできるのか

日本に在留する外国人は、それぞれの活動内容に応じた在留資格を持っています。
このうち、家族滞在ビザで配偶者や子どもを呼び寄せることができるのは、特定の在留資格に限られます。

具体的には、就労系在留資格15種類と、非就労系在留資格2種類です。

ここからは、それぞれの在留資格について詳しく解説します。

就労系在留資格

家族滞在ビザで家族を呼ぶことができる就労系の在留資格は、以下の15種類です。

「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能2号」

就労系の在留資格は収入を得る活動が前提となっており生活基盤が安定しているため、家族の呼び寄せも比較的認められやすい傾向にあります。

なお、「特定技能1号」や「技能実習」で在留する外国人の配偶者や子どもは、家族滞在ビザの対象外です。

非就労系在留資格

非就労系の在留資格のうち、家族滞在ビザで配偶者や子どもを呼び寄せることができるのは「文化活動」と「留学」の2種類です。

これらは収入を伴う活動を行わない在留資格であるため、家族を呼び寄せる際には生活資金や扶養能力などが比較的厳しく審査されます。

留学ビザの場合、大学・短期大学・大学院・高等専門学校・専修学校の専門課程に通う留学生のみが対象であり、日本語学校や専修学校の一般課程に在籍する場合は家族を呼ぶことはできません。

なお、非就労系在留資格のうち、「研修」と「短期滞在」は家族滞在ビザの対象がとなります。

日本人や永住者、定住者

日本人と結婚した外国人配偶者やその子どもを日本に呼び寄せる場合は、「日本人の配偶者等」という在留資格を取得することができます。

永住者が外国人配偶者を日本に呼び寄せる場合は「永住者の配偶者等」が取得可能です。また、日本で出生し、そのまま日本に滞在し続ける永住者の子どもも、同様に「永住者の配偶者等」の在留資格を得ることが可能です。

海外にいる永住者の子どもを呼び寄せる場合や、定住者がその配偶者や子どもを日本に住まわせる場合には「定住者」の在留資格の対象となります。

家族滞在ビザで認められる活動内容

家族滞在ビザで認められる活動内容

家族滞在ビザで日本に在留する外国人は、入管法で定められたルールに沿って日本に滞在する必要があります。
許可範囲外の就労や活動を行う場合は、事前に入管庁の許可を得なければなりません。

ここからは、在留期間や就労の可否など、家族滞在ビザの具体的な在留のルールを解説します。

在留期間

家族滞在ビザの在留期間は、「5年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間」です。

この期間は扶養者の在留資格に連動しており、扶養者の在留期間の満了日を基準として設定されます。

そのため、扶養者の在留期間が短い場合には、家族滞在の期間も同様に短くなります。

許可を受ければ週28時間まで就労できる

家族滞在ビザを持つ人は、原則として就労することは認められていません。

ただし、入管庁から資格外活動許可を受けた場合に限り、週28時間以内の範囲で働くことが可能です

この就労時間の制限は、1週間を何曜日で区切っても28時間を超えないように調整しなければなりません。

月や年をまたいでもリセットされないため、アルバイトをする際は事前に雇用主に伝えるようにしましょう。

家族滞在ビザで就労可能な業種

家族滞在ビザで資格外活動許可を得る場合は、基本的に業種の制限が少なく自由に職場を選択できる「包括許可」が適用されます。

そのため、コンビニや飲食店など、幅広い業種でアルバイトをすることが可能です

ただし、風俗営業や違法行為に関わる仕事は禁止されており、従事した場合は資格外活動違反として処分の対象となります。

無許可就労や時間オーバーは不法就労になる

家族滞在ビザで資格外活動の許可を受けずに働いた場合や、週28時間の上限を超えて就労した場合は、不法就労に該当します。

たとえば、意図的に時間制限を超えて働いた場合などは、刑事処分や行政処分の対象になることもあります。

悪質なケースでは在留資格の取消しや退去強制処分が行われる可能性もあるため注意が必要です。

家族滞在ビザの許可要件

家族滞在ビザの許可要件

家族滞在ビザを取得し、在留を継続する間は、常に定められた許可要件を満たし続ける必要があります。

ここからは、家族滞在ビザの主な許可要件について詳しく解説します。

扶養を受けていること

家族滞在ビザを取得するためには、申請者(配偶者や子ども)が呼び寄せを行う外国人(扶養者)の扶養を受けていることが前提となります。

この「扶養」とは、生活費や住居費などの経済的支援を受けて生活している状態を指します。

そのため、扶養者となる外国人には、家族の生活を支えるだけの安定した収入または十分な貯蓄が求められます。

配偶者または子供であること

家族滞在ビザを取得できるのは、扶養者の配偶者または子どもである場合に限られます。

子どもには、実子のほかに非嫡出子や養子も含まれ、成人していても親の扶養を受けている場合は対象となります

一方で、扶養者の親や兄弟姉妹はこの在留資格の対象外です。

配偶者とは、法的に有効な婚姻関係が継続している者を指し、離婚・死別した者や事実婚の相手、外国で成立した同性婚の相手は含まれません。

日常的な活動を行うこと

家族滞在ビザで認められる活動は、「扶養を受ける配偶者または子どもとしての日常的な活動」です。
日常的な活動とは家族としての生活や学校への通学など、扶養者と共に安定した生活を送るための行動を指します。

原則として収入を伴う仕事を行うことは認められておらず、就労を希望する場合は資格外活動許可を取得しなければなりません。

この許可を得ずに働いた場合は、不法就労とみなされるおそれがあります。

扶養者側に十分な資力があること

家族滞在ビザで家族を呼び寄せる場合、扶養者の経済的な資力が重要な審査項目です。

審査では主に収入や職業が確認され、生活を維持できるだけの経済的基盤があるかどうかが判断されます。

必要とされる金額は扶養する家族の人数によって異なり、日本国外に扶養家族がいる場合もその人数が考慮されます。

明確な基準は設けられていませんが、一般的には年収300万円程度を目安に、家族が1人増えるごとに約80万円が追加の基準とされています。

ただし、預金や生活コスト、住居の状況などによっても判断が変わるため、安定した生活が可能であることを具体的に示すことが大切です。

家族滞在ビザを取得する手続きの種類

家族滞在ビザを取得する手続きの種類

家族滞在ビザを取得するための手続きには、申請者の状況に応じて3つの方法があります。

日本国外から家族を呼び寄せる場合、日本国内で在留資格を変更する場合、そしてすでに滞在している家族が更新する場合です。

ここからは、それぞれの手続きの流れと注意点を解説します。

在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書交付申請は、日本国外にいる配偶者や子どもを日本へ呼び寄せる際に必要な手続きです。

この申請は、原則として日本に住む扶養者が代理人として地方出入国在留管理局に行います。

交付された在留資格認定証明書を海外の家族に送付し、本人が現地の日本大使館または総領事館で査証(ビザ)の発給申請を行います。

査証が発給されたら日本に入国し、入国審査官から上陸許可を得ると同時に家族滞在の在留資格が与えられます。

在留資格変更許可申請

在留資格変更許可申請は、日本に滞在している外国人が現在の在留資格を別の在留資格に切り替える際に行う手続きです。

この申請は、在留目的が変更された場合に必要となり、地方出入国在留管理局で審査を受けます。

たとえば、留学ビザで滞在していた外国人が日本で結婚し、配偶者として家族滞在ビザに変更する場合などが典型例です。

許可が下りると、新しい在留資格に基づいて引き続き日本での滞在が認められます。

在留期間更新許可申請

在留期間更新許可申請は、現在持っている家族滞在ビザの有効期間を延長するための手続きです。

家族滞在ビザには在留期間が定められており、期限を過ぎる前に更新を行わなければ、滞在を継続することはできません。

更新時には、扶養者との家族関係が継続しているか、扶養者の年収や生活状況が安定しているかなどが審査されます。

生活状況が変化した場合などは、その理由を説明する資料の提出が求められることもあります。

家族滞在の在留資格該当性に注意

家族滞在の在留資格該当性に注意

家族滞在ビザは、扶養者との家族関係を前提として滞在が認められる在留資格です。

そのため、扶養の関係が継続できなくなった場合は、在留資格の該当性を失うおそれがあります。

ここからは、家族滞在ビザの維持に関する注意点を解説します。

扶養者が死亡した場合

扶養者が死亡した場合、家族滞在ビザの在留資格はその前提となる扶養関係が失われるため、配偶者や子は在留資格該当性を失うことになります。

この場合、引き続き日本での生活を希望する場合は、就労や留学など他の在留資格への変更を検討する必要があります。

また、扶養者の死亡があった際には14日以内に地方出入国在留管理局へ届出を行う必要があります

在留資格の該当性を失った後、3カ月以内に他の在留資格へ変更しない場合、家族滞在ビザが取り消される可能性があるため、早めの対応が求められます。

扶養者が永住者になった場合

扶養者が永住者となった場合、永住者は家族滞在ビザの扶養者としての立場を有していないため、配偶者や子も家族滞在での在留継続はできません。

この場合、配偶者は「永住者の配偶者等」への在留資格変更を申請することが可能であり、夫婦関係が継続している限り日本での滞在を続けられる可能性が高いといえます。

しかし、子どもの在留資格は年齢や在留状況によって異なります。

日本で出生し継続的に滞在している子どもであれば、「永住者の配偶者等」への変更が認められる可能性が高いです。

日本国外で出生した子どもの場合は、日本の高校をすでに卒業または卒業見込みで、就職先が内定している場合には、「定住者」や「特定活動」へ変更可能なルートもあります。

18歳以上で日本の高校を卒業していない場合は、「留学」や「特定技能」などへの変更を検討する必要があります。

このように、扶養者が永住者になった際の対応は、子どもの年齢やその他の状況に応じて異なります。

扶養者と離婚した場合

扶養者と配偶者が離婚した場合、家族滞在ビザの根拠である扶養関係が消滅するため、そのままの在留資格で滞在を続けることはできません。

離婚後3カ月以上経過すると、在留資格取消の対象となるため、早めに他の在留資格への変更を検討することが必要です。

一方で、子どもが引き続き扶養者の扶養を受けて生活する場合には、家族滞在ビザの該当性を維持できます。

離婚による影響は配偶者と子で異なるため、状況に応じた適切な手続きを取ることが重要です。

収入が大幅に増加した場合

家族滞在ビザでは、「扶養を受けていること」が在留資格の根拠となるため、自らの収入で生活できるほどの経済的自立がある場合には、在留資格該当性を失うおそれがあります

扶養とは、税法や社会保険制度において、扶養を受ける者の年間収入が一定額(103万円、130万円、150万円など)以下の場合に扶養者の税金や保険料の控除が受けられる仕組みを指します。

そのため、家族滞在ビザで在留する者がアルバイトを行う場合、所得が扶養控除の範囲を超えないよう調整することが一般的です。

ただし、資格外活動許可を取得していれば、週28時間以内の就労は合法的に認められており、扶養控除の枠を超えたとしても直ちにビザが取り消されるわけではありません

もっとも、自ら生計を立てられるほどに収入が増加し、扶養関係が実質的に失われたと判断される場合には、家族滞在ビザを維持できなくなる可能性があるため注意が必要です。

まとめ

家族滞在ビザは、日本で働く外国人が配偶者や子どもと共に生活するための在留資格であり、扶養関係や生活基盤の安定が重要な要件となります。取得方法や在留資格変更、更新の手続きは状況によって異なり、扶養者の収入や家族構成、生活環境の変化が審査に大きく影響します。

家族を日本に呼び寄せたい、あるいは今後の在留資格変更を検討している場合は、要件や必要書類を早めに確認し、手続きを計画的に進めることが大切です。不安があるときは、専門の行政書士など入管手続きに詳しい専門家に相談し、最適な申請方法を選ぶことで安心して日本での生活を続けることができます。

監修者コメント

日本で働く外国人にとって、家族を呼び寄せることは充実した生活を実現する上でとても大切です。
家族滞在ビザは、資格外活動許可を得ることで一定の範囲でアルバイトも可能となり、家計を支える手段としても役立つ在留資格です。

申請には多くの書類や条件の確認が必要で手続きが複雑ですが、家族と安心して日本で暮らすためには避けて通れません。
不明点や不安がある場合は、早めに専門家へ相談し、正確な情報に基づいてビザ取得を進めることをおすすめします。

記事作成で参照した一次情報

この記事を作成する際に、参照した一次情報は以下の通りです。

e-GOV法令検索|出入国管理及び難民認定法
(URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319/

e-GOV法令検索|出入国管理及び難民認定法施行規則
(URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/356M50000010054

e-GOV法令検索|出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令
(URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/402M50000010016/

出入国在留管理庁|在留資格「家族滞在」
(URL:https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/dependent.html

出入国在留管理庁|資格外活動許可について
(URL:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00045.html

出入国在留管理庁|定住者告示
(URL:https://www.moj.go.jp/isa/policies/bill/nyukan_hourei_h07-01-01.html

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

監修者

安藤祐樹のアバター 安藤祐樹 申請取次行政書士

きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

Table of Contents