特定技能「介護」から永住許可へ|介護福祉士ルートと令和8年改定ガイドラインの注意点

特定技能「介護」から永住許可へ|介護福祉士ルートと令和8年改定ガイドラインの注意点
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この記事の監修者:安藤祐樹
申請取次行政書士
きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

特定技能1号の期間は、永住許可で求められる「就労資格で5年」に数えられません。そのため、特定技能「介護」の方が永住を目指すなら、介護福祉士に合格して在留資格「介護」に変わり、そこから5年以上在留するのが基本の道筋です。

さらに、永住許可のガイドラインが2026年10月1日(令和8年10月1日)に改定され、世帯年収の水準や日本語能力(B1相当)などの考え方が加わりました。主に2027年4月1日以降の申請から適用されます。永住許可の手数料も、2026年10月1日から200,000円になりました。

この記事は、特定技能「介護」の外国人を雇用する介護施設・登録支援機関の担当者と、永住を考えている本人に向けて、道筋と今からできる準備をまとめたものです。永住許可は個別の事情を総合的に見て判断されるため、年数などを満たしても許可されるとは限りません。

既存の解説:特定技能「介護」とは?制度の概要や従事可能な業務範囲、許可基準について解説

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永住許可の3つの要件と、特定技能「介護」の人がつまずく点

永住許可には、法律で決められた3つの要件があります。特定技能「介護」の人が特につまずきやすいのは、3つ目の「国益要件」の中にある在留年数の考え方です。

  • 素行善良要件:法律を守り、社会的に非難されない生活をしていること
  • 独立生計要件:公共の負担にならず、将来も安定して生活できる収入や資産があること
  • 国益要件:その人の永住が日本の利益になると認められること

国益要件では、税金や社会保険料をきちんと納めているか、入管法の届出義務を守っているかなども見られます。在留年数については、次の3点が考慮されます。

  1. 原則として、引き続き10年以上日本に在留していること
  2. その10年のうち、就労資格または居住資格で引き続き5年以上在留していること
  3. 今持っている在留資格で、最長の在留期間(在留資格「介護」なら5年)が許可されていること

ここで注意が必要なのが2つ目です。ガイドラインでは、次の在留資格は「就労資格」に含めないと定めています。

  • 技能実習
  • 育成就労
  • 特定技能1号
  • 企業内転勤
  • 一部の特定活動

一方、EPA介護福祉士として在留する期間は就労資格に含まれます。ただし、EPA介護福祉士の「候補者」として在留していた期間は含まれません。

つまり、特定技能「介護」で5年働いても、その5年は「就労資格で5年」に数えられません。永住を目指すには、在留資格「介護」などの就労資格に変更してから5年以上在留することが目安になります。

(出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」、出入国在留管理庁「在留資格『介護』」)

令和8年10月1日の改定で何が変わるか(特定技能「介護」に関係するところ)

2026年10月1日に永住許可のガイドラインが改定されました。改定後の考え方は、原則として2027年4月1日以降の申請から適用されます。ただし、収入(世帯年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に継続して達していること)と、公共の負担(公共の負担とならないこと)の考え方は、改定日の6か月前の日以降に申請し、改定日にまだ審査中の案件にも適用されます。

特定技能「介護」から永住を目指す人に関係する点を、改定前と比べると次のとおりです。

項目改定前のガイドライン改定後のガイドライン
収入独立生計要件として、安定した生活が見込めること世帯年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に継続して達しているか
日本語能力考慮要素として書かれていない「日本語教育の参照枠」のB1相当以上か
制度・ルールの理解考慮要素として書かれていない「生活・就労ガイドブック」を中心に理解しているか
学齢期の子考慮要素として書かれていない子が小学校・中学校に通っているか
配偶者の特例婚姻3年以上・在留1年以上婚姻5年以上・在留3年以上

改定後のガイドラインは、2027年4月1日以降の申請から使われます。ただし、収入と公共の負担の考え方は、上で説明した申請中の案件にも使われます。

(出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」、出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」)

収入:世帯の年収水準が考慮される

改定後は、申請する人の世帯の年収が、世帯の人数に応じた「日本人世帯の平均収入を上回る水準」に、継続して達しているかが考慮されます。具体的な金額は、ガイドラインには書かれていません。

介護の仕事をしている方にとって大事なのは、次の2点です。

  • 「家族滞在」の家族の収入は合算しない:配偶者が「家族滞在」で資格外活動許可を受けてアルバイトをしていても、その収入は世帯年収に入りません。
  • 国外に住む扶養親族も世帯人数に数える:母国の親などを扶養している場合、一緒に住んでいなくても世帯人数に加えます。年収の水準は、この世帯人数に応じて見られます。

なお、この収入の考え方は、改定日の6か月前の日以降に申請し、改定日にまだ審査中の案件にも適用されます。

日本語能力:B1相当以上

改定後は、申請時点で「日本語教育の参照枠」のB1相当以上の日本語能力があるかが考慮されます。どの試験で確認するかは、ガイドラインには書かれていません。

ただし、日本で小学校・中学校などの教育を通算6年以上受けた人などは、この考慮要素の対象外です。

制度・ルールの理解、子の就学

日本の制度やルールを理解しているかも見られます。入管庁長官が指定する方法で、「生活・就労ガイドブック」の内容を中心に確認されます。2026年10月5日の時点で、入管庁の公表資料には具体的な確認の方法は見当たりません。

また、小学校・中学校の年齢の子を育てている人は、子が学校に通っているかが考慮されます。

最長の在留期間:2027年4月1日から在留期間「3年」の扱いが変わる

在留資格「介護」の在留期間は、5年・3年・1年・3月のどれかです。永住許可では、最長の在留期間(「介護」なら5年)が許可されていることが考慮されます。

在留期間「3年」の扱いには経過措置があります。これは今回の改定で新しくできたものではなく、改定前のガイドラインにも同じ内容が書かれています。

  • 2027年3月31日までの申請:在留期間「3年」でも、最長の在留期間をもっているものとして扱われます。
  • 2027年4月1日以降の申請:「3年」が最長として扱われるのは、次の条件をすべて満たす場合だけです。
  • 2027年3月31日の時点で在留期間「3年」を持っている
  • 2027年4月1日以降に行う初回の永住許可申請である
  • その「3年」の在留期限までに、申請の結果(処分)が出る

この条件に当てはまらない人は、在留期間「5年」が許可されてから申請することを考えましょう。最長の在留期間は審査の考慮要素の一つです。

(出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」、出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」、出入国在留管理庁「在留資格『介護』」)

改定の全体像は、次の記事で詳しく説明しています。

在留年数の数え方(10年と5年)を年表で確認する

「10年」と「就労資格で5年」は、別々に確認します。

ガイドラインで「10年」の期間に数えない例として挙げられているのは、一部の特定活動(就職活動中など)です。技能実習や特定技能1号は、「就労資格の5年」から外れることははっきり書かれていますが、「10年」から外す例には挙がっていません。

次の例は、この考え方で数えた場合の目安です。実際には、在留資格が途切れていないかや、出国の期間などで結論が変わります。自分の場合の数え方は、専門家に確認してください。

例在留の流れ通算就労資格の期間考え方
例1技能実習3年 → 特定技能「介護」5年 → 在留資格「介護」5年13年5年10年と5年の両方の目安を満たす
例2特定技能「介護」4年 → 在留資格「介護」5年9年5年就労資格は5年あるが、10年に届かない
例3留学2年 → 特定技能「介護」4年 → 在留資格「介護」4年10年4年10年はあるが、就労資格が5年に届かない

例2と例3のように、どちらか片方だけでは足りません。例3の場合は、在留資格「介護」での在留が5年以上になるまで待つのが基本です。

出国の期間にも注意する

基本的に日本に住んでいることが求められます。申請時点から過去10年以内に、合理的な理由なく次のような出国があると、原則として消極的に評価されます。

  • 1回の出国で半年以上日本を離れていた
  • 出国の合計が2年6月以上になる

一時帰国が長くなりそうなときは、理由を説明できる資料を残しておきましょう。

(出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」)

道筋1:介護福祉士に合格して在留資格「介護」に変更する

特定技能「介護」から永住を目指す場合、もっとも基本になるのが、介護福祉士に合格して在留資格「介護」に変更する道筋です。

特定技能1号は通算5年まで

特定技能1号で在留できる期間は、原則として通算5年までです。介護分野は特定技能2号の対象ではありません。そのため、5年を超えて介護の仕事を続けるには、在留資格「介護」への変更などを考えることになります。

通算の期間は、特定技能1号の許可を受けた日から数えます。再入国許可を受けて一時帰国している期間も含まれます。

(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」)

介護福祉士の受験資格(実務経験ルート)

特定技能1号や技能実習で働いている人は、「実務経験ルート」で受験します。必要なのは次の2つです。

  • 実務経験:試験を行う年度の3月31日までに、従業期間3年以上(1,095日以上)かつ従事日数540日以上
  • 実務者研修の修了:研修期間は原則6か月以上(初任者研修などを修了している人は短くなる場合があります)

従業期間は在籍していた期間、従事日数は実際に介護の業務をした日数です。両方を満たす必要があります。3月31日までに満たす見込みがあれば、「実務経験見込み」として受験の申込みができます。

受験できる回数に制限はありません。外国籍の人は、申込みのときに申請すると、すべての漢字にふりがなが付いた問題用紙で、試験時間が通常の1.5倍になります。

また、不合格でも、合格したパートはその後の試験で受験が免除されます(パート合格)。有効期限は翌年・翌々年までです。

(出典:社会福祉振興・試験センター「受験資格:実務経験+実務者研修」、社会福祉振興・試験センター「よくある質問」)

合格後は在留資格「介護」に変更する

在留資格「介護」は、日本の機関との契約にもとづき、介護福祉士の資格を持つ人が介護や介護の指導を行うための在留資格です。2020年4月1日からは、介護福祉士の資格をどのルートで取ったかに関係なく認められています。

在留資格「介護」は、配偶者と子を「家族滞在」で呼べる在留資格の一つです。特定技能1号では原則として家族を呼べないため、生活の面でも大きな違いがあります。

在留資格「介護」の期間は、永住で必要な「就労資格で5年」に数えられます。

(出典:出入国在留管理庁「在留資格『介護』」、出入国在留管理庁「在留資格『家族滞在』」、出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」)

道筋2:ほかの就労資格(技術・人文知識・国際業務など)に変更する

大学などで学んだ内容や職歴を活かして、「技術・人文知識・国際業務」などの就労資格に変更する道筋もあります。ただし、学歴・職歴と仕事の内容の関連が必要で、許可のハードルは低くありません。

この在留資格は、専門的な知識を使う仕事のためのものです。身体介護などの現場の仕事は、この在留資格の活動とは別のものと考えられます。

施設の事務や通訳などに配置を変更して申請する場合も、実際にどんな仕事をするかで判断されます。永住のために形だけ配置を変更することはすすめられません。個別の判断が必要なので、専門家に相談してください。

(出典:出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」。学歴・職歴の基準は同ページの「該当する活動・上陸許可基準」)

道筋3:日本人・永住者の配偶者などになった場合

日本人や永住者などと結婚して「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」になった場合は、10年の原則に特例があります。ただし、改定で年数が変わりました。

  • 2027年3月31日までの申請:実体のある婚姻生活が3年以上続き、かつ引き続き1年以上日本に在留していること
  • 2027年4月1日以降の申請:実体のある婚姻生活が5年以上続き、かつ引き続き3年以上日本に在留していること

日本人・永住者などの配偶者や子は、素行善良要件と独立生計要件に適合することは求められません。ただし、世帯が現に公共の負担になっている場合などは、特別な事情がなければ消極的に評価されることがあります。

結婚は、永住のための手段ではありません。実体のある婚姻生活があることが前提です。

(出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」、出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」)

永住許可申請の費用

永住許可の手数料は、許可されるときに200,000円です(2026年10月1日から)。収入印紙で納めます。

  • 2026年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降でも、改定前の10,000円です。
  • 生活に困っているなど一定の要件を満たす人は、手数料が20,000円に減額される場合があります。ただし、永住許可で減額の対象になるのは、日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子などに限られます。
  • 許可のときに特定在留カードの交付を受ける人は、その手数料が加わる場合があります。

ほかの在留手続の手数料は、次の記事でまとめています。

→ ビザ更新・変更の手数料が最大7万5千円に

(出典:出入国在留管理庁「永住許可申請」、出入国在留管理庁「手数料の減額について」)

受入れ施設・登録支援機関が今からできる準備

永住許可の審査では、何年も前からの在留状況が見られます。本人が永住を考え始めたときに慌てないよう、施設や登録支援機関が早めに支援できることをまとめます。

  1. 在留の年表を作る:入国日、在留資格を変更した日、在留期間、一時帰国の期間を一覧にしておきます。
  2. 税・社会保険料・年金を期限内に納める:過去に納付が遅れたことも、原則として消極的に評価されます。給与から天引きされない住民税や国民健康保険などがある場合は、特に注意が必要です。
  3. 入管法の届出を守る:住居地の届出など、決められた届出を期限内に行っているか確認します。
  4. 日本語の学習を続ける:改定後はB1相当の日本語能力が考慮されます。介護福祉士の試験対策とあわせて学習を支援しましょう。
  5. 「生活・就労ガイドブック」を紹介する:制度・ルールの理解の確認は、このガイドブックの内容が中心です。
  6. 介護福祉士の受験計画を立てる:実務者研修を受ける時期と、従業期間・従事日数の管理を早めに始めます。
  7. 家族を呼ぶときの収入を考える:「家族滞在」の配偶者の収入は世帯年収に入りません。扶養する家族は、国外に住んでいても世帯人数に数えます。

(出典:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」、出入国在留管理庁「生活・就労ガイドブック」)

よくある質問

Q1. 特定技能「介護」のまま永住許可を申請できますか?

申請自体はできますが、許可は難しいと考えられます。特定技能1号の期間は「就労資格で5年」に数えられず、特定技能1号は原則通算5年までだからです。入管庁のQ&Aでも、特定技能1号から永住者への変更は難しいと説明されています。

Q2. 介護に特定技能2号はありますか?

ありません。介護分野は特定技能2号の対象分野から除かれています。5年を超えて介護の仕事を続けるときは、介護福祉士に合格して在留資格「介護」に変更するのが基本です。

Q3. 技能実習の期間は10年に数えますか?

技能実習が「就労資格で5年」に含まれないことは、ガイドラインにはっきり書かれています。一方、「10年」の期間から外す例としては挙げられていません。年表の例は、この考え方で数えています。個別の数え方は専門家に確認してください。

Q4. 育成就労が始まったらどうなりますか?

改定後のガイドラインでは、育成就労も「就労資格」に含めない在留資格として挙げられています。育成就労制度の全体像は、別の記事で説明する予定です。

Q5. 日本語能力試験のN2がないと永住できませんか?

ガイドラインに書かれているのは「日本語教育の参照枠」のB1相当以上で、特定の試験の名前は書かれていません。2026年10月5日の時点で、どの試験や方法で確認するかは入管庁の公表資料に見当たりません。

(出典:出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」、出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」)

まとめ

  • 特定技能1号の期間は「就労資格で5年」に数えません。介護福祉士に合格して在留資格「介護」に変わり、そこから5年以上が基本の目安です。
  • 2026年10月1日の改定で、世帯の年収水準、日本語B1相当、制度・ルールの理解、子の就学が考慮されるようになりました。主に2027年4月1日以降の申請から適用されます。
  • 在留期間「3年」を最長とみなす扱いは、2027年4月1日以降は条件付きになります(改定前から決まっている経過措置です)。
  • 永住許可の手数料は200,000円です(2026年10月1日から)。
  • 永住許可は個別の事情を総合的に見て判断されます。自分の場合にいつ申請できるか迷ったら、専門家に相談してください。

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