特定技能の届出は、期限を過ぎても出せます。遅れた理由を書いた「理由書」を付けて、できるだけ早く出してください。
期限は、定期届出が毎年5月31日まで、随時届出が事由が生じた日から14日以内です。出さないままにすると、受入れができなくなる、罰金や過料の対象になる、といったリスクが大きくなります。
内容は、2026年10月8日に出入国在留管理庁(入管庁)の資料で確認したものです。
届出の種類・期限・書類の全体は、親記事で説明しています。
→ 特定技能の届出 年間ガイド|定期届出(4〜5月)と随時届出(14日以内)の全体像
結論:遅れても届出は出せる。理由書を付けてすぐ出す
期限を過ぎても、届出を出すことはできます。大切なのは、遅れた理由を書面で説明し、すぐに出すことです。
| 項目 | 定期届出 | 随時届出 |
|---|---|---|
| 期限 | 毎年5月31日まで(4月1日から提出できる) | 事由が生じた日から14日以内 |
| 遅れたときに付けるもの | 期間内に出せなかった理由を書いた理由書 | 遅れた理由を説明する文書(理由書) |
| 様式 | 任意(決まった様式はない) | 任意(決まった様式はない) |
| 出し先 | 電子届出、または会社の住所(法人は登記上の本店所在地)を管轄する地方入管 | 同じ |
| 入管庁の資料 | 定期届出の提出資料一覧表 | 随時届出Q&A(Q1-4)、各届出の提出資料一覧表 |
随時届出について、入管庁のQ&Aは、14日以内に出せなかった場合も提出できるとしています。そのうえで、速やかに出すこと、遅れた理由を説明する文書を必ず付けることを求めています。
定期届出も、提出資料一覧表で、届出期間内に届出ができなかった場合は、理由を書いた理由書を付けるとされています。
もう1つ大事な点があります。外国人が「特定技能」で在留している間に起きた事由は、その人が退職した後や、別の在留資格に変わった後、出国した後でも届出が必要です。辞めた人の届出を忘れていた場合も、今から出します。
(出典:出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」、出入国在留管理庁「特定技能所属機関による定期届出 提出資料一覧表」、出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」)
まず確認:本当に遅れているか
あわてる前に、本当に期限を過ぎているかを確かめます。次の点を見てください。
- 定期届出:期限は毎年5月31日までです。入管庁のページでは、5月31日が土日祝日なら翌開庁日までとされています。2027年の5月31日は月曜日です。
- 随時届出:14日は、事由が生じた日から数えます。基準不適合の届出だけは、事由が生じたことを知った日から14日以内です。
- 郵送の場合:14日以内に入管に届いている必要があります。消印の日付では足りません。
- そもそも届出が要るか:対象期間に受入れがなかった年の定期届出や、届出が要らない変更もあります。親記事で確認してください。
→ 特定技能の届出 年間ガイド|定期届出(4〜5月)と随時届出(14日以内)の全体像
(出典:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」、随時届出Q&A、出入国管理及び難民認定法施行規則(e-Gov))
遅れに気づいたら今日やること(手順)
遅れに気づいたら、次の順番で進めます。
① 何が・いつから遅れているかを書き出す
届出の種類、事由が起きた日、本来の期限を書き出します。随時届出は、退職した人や在留資格が変わった人の分も含めて、漏れがないか見直します。1人分の遅れに気づいたときは、ほかにも出していない届出がないかを確かめる機会です。
② 届出書と添付書類をそろえる
様式は、入管庁の「特定技能関係の申請・届出様式一覧」にあります。添付書類は、届出の種類ごとの提出資料一覧表で確認します。
③ 理由書を作る
理由書の様式は任意です。入管庁の資料に、書く項目の決まりは見当たりません。たとえば、次のような内容を書くことが考えられます。
- どの届出が、いつから遅れたか
- 遅れた経緯と理由
- 今後、同じことが起きないようにする対策
④ 出す
電子届出で出すか、会社の住所(法人は登記上の本店所在地)を管轄する地方出入国在留管理局・支局に、郵送か持参で出します。随時届出も、電子届出で出せます。
⑤ 控えを残す
出した届出書と理由書の写しを、会社で保管しておくと、あとで経緯を説明しやすくなります。
自分の会社だけでは判断がつかないときは、提出先の地方入管に問い合わせてください。入管庁のQ&Aでは、報酬を得て届出書の作成を引き受けられるのは、行政書士または弁護士とされています。遅れた事情によって対応が変わることもあるので、迷う場合は専門家に相談してください。
(出典:出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」、随時届出Q&A、定期届出 提出資料一覧表)
定期届出の書類の一部だけ間に合わないとき
書類の一部が間に合わないときも、届出そのものを止めないことが大切です。出せない書類とその理由は、届出書で伝えます。
出せない理由は備考欄か別紙で伝える
入管庁の運用要領では、定期届出の届出書の備考欄に、必要な添付書類を出せない理由など、入管に伝えたいことを書くとされています。書ききれない場合は、別紙(任意の様式)を付けます。
公的機関の証明書が届かない
2026年は、証明書の発行の申請が集中しました。入管庁は2026年5月20日のお知らせで、公的機関の証明書を5月31日までに出せない場合、後から追加で出すことを認めました。
- 証明書は、発行を受けたらすぐに、お知らせの別紙を添えて出す
- 証明書以外の書類は、5月31日までに出す
- 社会保険料納入状況回答票の代わりに、健康保険・厚生年金保険料の領収証書または領収済み通知書の写しを出してもよい
これは2026年のお知らせによる扱いです。2027年も同じ扱いになるかは、2026年10月8日の時点で発表されていません。提出の前に、入管庁のお知らせを確認してください。
登録支援機関の書類がそろわない
支援を登録支援機関に全部委託している場合、会社は支援の実施状況を取りまとめて出します。登録支援機関からの書類が遅れても、定期届出を出すのは会社です。登録支援機関が、会社の代わりに定期届出を出すことはできません。
書類を省略するつもりだったのに利用者登録が終わっていない
「一定の基準」を満たす会社は、オンラインで出す場合に限り、添付書類の一部を省略できます。ただし、電子届出の利用者登録が終わっていないと、基準を満たせず、省略が認められない場合があります。郵送や窓口で出すと、省略はできません。
(出典:運用要領、出入国在留管理庁「特定技能制度における定期届出の添付書類の提出について(お知らせ)」、出入国在留管理庁「定期届出でよくある誤り集」、定期届出 提出資料一覧表)
出した後に誤りや出し漏れに気づいたとき
出した後に誤りに気づいたら、補正した届出書を出し直します。出し方は、紙で出したか、電子届出で出したかで違います。
| 場面 | すること |
|---|---|
| 紙で出した定期届出に誤りがあった | 補正した届出書を出す必要がある。実際に提出した地方入管に問い合わせる |
| 電子届出で出した定期届出に誤りがあった・追加の書類がある | 会社の住所(法人は登記上の本店所在地)を管轄する地方入管に、理由書(任意様式)と補正した届出書など(紙)を、窓口か郵送で出す |
| 出した随時届出に誤りがあった | 補正した届出書を出す必要がある。実際に提出した地方入管に問い合わせる |
| 随時届出の出し漏れに後から気づいた | 遅れた届出として、理由書を付けて速やかに出す |
どの書類をどう直すかは、届出の内容によって違います。直し方に迷うときは、出す前に提出先の地方入管に確認すると安心です。
(出典:出入国在留管理庁「定期届出に関連してお問合せの多い事項について(Q&A)」、随時届出Q&A)
出さないままにするとどうなるか(リスクの段階)
届出を出さないままにすると、段階を追って重い扱いになるおそれがあります。気づいた時点で早く出し、理由を説明することが大切です。
受入れへの影響
定期届出が出ていない場合、特定技能の外国人の受入れは原則として認められません。入管庁のページでも、届出が適正に行われていない会社は、特定技能の外国人を受け入れることができなくなるとされています。
指導・助言から改善命令へ
届出の内容から基準に合わないことが分かると、入管は是正するよう指導・助言をします。従わない場合は、改善命令の対象になります。
改善命令を受けると、そのことが公示されます。改善命令に違反すると、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です(入管法第71条の3)。
特定技能所属機関になれなくなる場合がある
届出をしない、または虚偽の届出をする行為は、特定技能所属機関になれない事由(欠格事由)の1つに挙げられています。特定技能の雇用契約を結ぶ日の前5年以内か、結んだ日より後にこの行為があると、当たり得ます。
ただし、当たるかどうかは、個別の事案の重大性に応じて判断されると運用要領に書かれています。例として挙げられているのは、次のような場合です。
- 外国人が行方不明になったのに届け出ず、入管の摘発などで初めて分かった
- 活動状況や支援の実施状況の届出をするよう、何度も指導を受けたのに出さない
既存の解説:特定技能外国人が失踪した場合に企業側が負う責任は?行方不明の原因別に生じる不利益やペナルティについて解説
罰金と過料
届出をしない、または虚偽の届出をした場合の罰則は、届出の種類で分かれます。
| 届出 | 罰則 | 根拠 |
|---|---|---|
| 雇用契約の変更・終了・締結の届出 | 30万円以下の罰金 | 入管法第71条の4第1号 |
| 定期届出のうち、受け入れている外国人の氏名・活動内容などの届出 | 30万円以下の罰金 | 入管法第71条の4第1号 |
| 支援計画の変更、支援委託契約、受入れ困難、基準不適合の届出 | 10万円以下の過料 | 入管法第77条の2 |
| 定期届出のうち、支援の実施状況などの届出 | 10万円以下の過料 | 入管法第77条の2 |
罰金の対象になる違反(改善命令違反を含む)を、会社の代表者や従業員が会社の業務として行った場合は、行為をした人のほか、会社にも罰金刑が科されます(両罰規定、入管法第76条の2)。
実地調査
地方入管は、会社を訪ねる実地調査や、電話・郵送での調査をすることがあります。入管からの報告の求めや立入検査を拒んだり、うその回答をしたりすると、30万円以下の罰金の対象です(入管法第71条の4第2号)。
「何日遅れたら罰則」という基準はない
入管庁の資料には、「何日遅れたら罰則」という日数の基準は示されていません。罰金・過料の対象として条文に書かれているのは、届出をしないこと、または虚偽の届出をすることです。遅れた理由や日数、その後の対応によって扱いが変わり得るので、心配な場合は専門家に相談してください。
(出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」、出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」、運用要領、特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(e-Gov)、出入国管理及び難民認定法(e-Gov)、出入国在留管理庁「実地調査への協力・特定技能制度における届出について(お知らせ)」)
登録支援機関が気をつけること
登録支援機関の書類が遅れると、会社の定期届出も遅れます。会社の締切より前に、自分たちの締切を決めておくと安心です。
- 定期届出の書類:支援の実施状況と、必要な場合は署名欄(別紙2)を、早めに会社に渡します。
- 代わりに出せない:会社の定期届出を、登録支援機関が代わりに出すことはできません。
- 自分の届出が遅れたとき:登録事項の変更(14日以内)などの届出が遅れた場合も、提出資料一覧表では理由書を付けるとされています。
- 登録の取消し:入管庁のページでは、支援状況が提出されない場合、登録支援機関の登録が取り消されることがあるとされています。
(出典:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」、定期届出でよくある誤り集)
来年遅れないための準備
遅れを防ぐには、届出の予定を社内の仕組みにすることが近道です。
- 利用者登録は早めに:運用要領では、電子届出の提出期限の3か月前には利用者登録の申請をするよう求めています。
- 証明書は早めに取り寄せる:2026年は証明書の申請が集中しました。
- 随時届出のきっかけを拾う:退職、契約の変更、支援の委託先の変更などがあったら、担当者に知らせる流れを作ります。
1年の予定は、親記事の年間カレンダーにまとめています。
→ 特定技能の届出 年間ガイド|定期届出(4〜5月)と随時届出(14日以内)の全体像
よくある質問
Q 理由書に決まった様式はありますか。 A ありません。提出資料一覧表では「任意様式」とされています。
Q 何日遅れたら罰則になりますか。 A 入管庁の資料に、日数の基準は示されていません。罰金・過料の対象は、届出をしないこと、または虚偽の届出をすることです。遅れに気づいたら、すぐに出してください。
Q 退職した人の届出を忘れていました。 A 特定技能で在留している間に起きた事由は、退職や出国の後でも届出が必要です。理由書を付けて、今から出します。
Q 遅れて出したことは、次の受入れに影響しますか。 A 定期届出が出ていないと、受入れは原則として認められません。遅れて出した場合の扱いについて、入管庁の資料に具体的な記載は見当たりません。個別の事情は、専門家に相談してください。
Q 2026年の証明書の後日提出は、来年も使えますか。 A 2026年10月8日の時点で、2027年の扱いは発表されていません。入管庁のお知らせを確認してください。
(出典:定期届出 提出資料一覧表、随時届出Q&A、定期届出作成要領、添付書類のお知らせ)
まとめ
- 定期届出・随時届出は、期限を過ぎても出せます。
- 遅れたときは、理由書(任意様式)を付けて、すぐに出します。書類の一部が間に合わないときは、備考欄か別紙で理由を伝えます。
- 出さないままにすると、受入れができなくなる、改善命令や罰金・過料の対象になる、といったリスクがあります。
届出の全体像と1年の流れは、親記事で確認してください。
→ 特定技能の届出 年間ガイド|定期届出(4〜5月)と随時届出(14日以内)の全体像
記事作成で参照した一次情報
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関からの随時届出に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」
- 出入国在留管理庁「特定技能所属機関による定期届出 提出資料一覧表」
- 出入国在留管理庁「定期届出に関連してお問合せの多い事項について(Q&A)」
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れ・活動・支援実施状況に係る届出(定期届出)作成要領」
- 出入国在留管理庁「特定技能制度における定期届出の添付書類の提出について(お知らせ)」
- 出入国在留管理庁「定期届出でよくある誤り集」
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」
- 出入国在留管理庁「実地調査への協力・特定技能制度における届出について(お知らせ)」
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の申請・届出様式一覧」
- 出入国管理及び難民認定法(e-Gov)
- 出入国管理及び難民認定法施行規則(e-Gov)
- 特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(e-Gov)

