会社の倒産や解雇など、本人の責任によらない理由で就労を継続できなくなった外国人のための在留資格があります。入管庁が「特定活動(就労継続支援)」として案内しているものです。3か月探しても次の雇用先が見つからず、特定技能の試験に未合格の人は、要件を満たす受入れ機関と雇用契約を結べば、試験に合格するまでその受入れ機関で就労できる場合があります。在留期間は1年で、一定の場合に2回まで更新できます。
内容は、2026年10月19日に出入国在留管理庁(入管庁)のページと様式で確認したものです。実際に対象となるかは個別の事情で変わるので、申請の前に地方出入国在留管理局(地方入管)か専門家に確認してください。
この記事では、離職した外国人本人が確認することと、その外国人を雇用する受入れ機関が満たす要件を分けて説明します。特定技能の転職の全体は、次の記事にまとめています。
特定活動(就労継続支援)とは:試験に合格するまで次の受入れ機関で就労できる特例
この特定活動は、やむを得ない事情で就労を継続できなくなった人が特定技能1号への移行を目指すときに、試験に合格するまで就労できる在留資格です。就労先は、特定技能1号への移行後に就労する予定の受入れ機関です。
入管庁は、この特例を次のように説明しています。
- 会社の経営上の都合や、労使の問題などのやむを得ない事情で、就労を継続できなくなった人が対象です。
- 特定技能への移行を目指す人が、技能試験や日本語試験を受けるまでの間、移行後に就労する予定の受入れ機関で就労できるようにする措置です。
- 在留資格は「特定活動(就労可)」で、今の在留資格からの変更を申請します。
- 在留期間は1年で、一定の場合に限り2回まで更新できます。
全体の流れは次の図のとおりです。図の①〜③が申請までの段階、④⑤が特定活動で就労する期間、⑥が特定技能1号への変更です。②の「3か月」は型1・型2(技能実習・就労の在留資格の人)の条件で、型3(内定を取り消された留学生など)にはありません(型は次の章で説明します)。

出典:編集部作成(出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(『特定活動』(就労継続支援))」(https://www.moj.go.jp/isa/10_00213.html))
なお、新型コロナの時期にあった「雇用維持支援」の特定活動とは別の制度です。古い解説と混同しないよう注意してください。
(出典:出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(『特定活動』(就労継続支援))」、やむを得ない事情により活動継続が困難な外国人に対する特例措置について)
対象になる人:3つの型と共通の条件
対象になるのは、次の型1〜型3のどれかに当てはまり、特定技能1号への変更を希望しているが、試験に未合格の人です。
共通の条件:特定技能1号への変更を希望しているが、申請の時点で、その分野の技能試験か日本語試験、またはその両方に合格していないこと。
| 型 | 今の在留資格 | やむを得ない事情の例 | 3か月の条件 | 事情を示す資料 |
|---|---|---|---|---|
| 型1 | 技能実習 | 実習先の経営上の都合、実習認定の取消し、暴行・ハラスメントなどの人権侵害、重大な法令違反・契約違反 | 監理団体が実習先を探しても、3か月経過して新たな実習先がない | 監理団体が作成する説明書など |
| 型2 | 就労の在留資格(特定技能、技術・人文知識・国際業務など) | 倒産・事業縮小による解雇、暴行・ハラスメントなどの人権侵害、重大な法令違反・契約違反 | 就労を継続できなくなってから3か月経過しても、新たな雇用先がない | 前の勤務先などが作成する、解雇などの事情を示す資料 |
| 型3 | 留学(卒業した人・卒業見込みの人) | 就職先の都合による内定の取消しなど | なし | 内定の取消しなどを示す資料 |
型ごとの細かい点は次のとおりです。
- 型1(技能実習生):人権侵害などを理由に、監理団体の支援を受けることを避けた事情があるときは、外国人技能実習機構の実習先変更支援を受けても3か月経過して見つからない場合も対象です。
- 型2(就労の在留資格の人):外交・公用・技能実習は除きます。特定活動の人は、就労が認められているものに限ります。倒産などで離職したあと、就職活動のための特定活動に変更した人も含みます。
- 型3(留学生):卒業後の就職活動や、内定後に採用まで待つための特定活動の人で、同じような事情(会社の都合による内定取消しなど)がある人も含みます。
一方、特定技能1号の人が、すでに試験に合格している同じ分野で転職するときは、試験の未合格という共通の条件に当てはまりません。その場合は、新たな受入れ機関で特定技能1号への変更を申請するのが基本です。準備が間に合わないときの特定活動は、次の記事で説明しています。
別の分野への転職を希望し、その分野の試験に未合格の人は、型2のやむを得ない事情と3か月の条件も満たせば、この特定活動の対象になりうるでしょう。別の分野への転職の流れは、次の記事にまとめています。
(出典:出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(『特定活動』(就労継続支援))」、「特定活動(就労継続支援)」用 説明書)
「やむを得ない事情」とは
入管庁のページでは、会社の倒産・事業縮小を理由とする解雇、暴行や各種ハラスメントなどの人権侵害、会社の重大で悪質な法令違反・契約違反、就職先の都合による内定取消しが、例として挙がっています。
自己都合で退職した場合や、本人の責任による解雇は、この例には挙がっていません。対象になるかどうかを入管庁ははっきり書いていないので、自分の事情が当てはまるか迷うときは、申請の前に地方入管に確認してください。どの型でも、事情は資料で説明する必要があります(次の「申請の手順と提出書類」で説明します)。
「3か月」の数え方
「3か月」は、就労を継続できなくなった(現在の活動を継続できなくなった)時点から数えます。3か月を過ぎても次の雇用先が決まっていないことが条件です。技能実習生は、監理団体などが実習先を探しても3か月経過して見つからないことが条件です。
この3か月の間も、在留資格の扱いに気をつけてください。在留資格に応じた活動を、正当な理由なく3か月以上していないと、在留資格の取消しの対象になりえます。求職中の期間は、求人への応募や面接の記録を残しておくと安心です。求職中の生活に関する手続(失業の給付など)は、ハローワークなど公的な窓口で相談できます。
また、退職したら、本人は14日以内に出入国在留管理庁へ届出をします。届出のしかたは、親記事の「本人がすること」の節(「先に辞めた場合の注意」)で説明しています。
(出典:出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(『特定活動』(就労継続支援))」、特定技能制度に関するQ&A、出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索))
就労できる範囲と期間:どこで、どの業務に、何年
就労できるのは、申請時に雇用契約を結んだ新たな受入れ機関だけです。従事する業務は、特定技能1号で目指す分野(特定産業分野)と業務区分の業務です。分野と業務区分は、受入れ機関が作成する説明書に記載します。
- 技能実習から移行する人:原則として、技能実習で従事していた職種(特定技能に移行できる職種に限る)に関連した分野・業務区分でしか就労できません(やむを得ない事情がある場合を除く)。また、同じ職種の技能実習生を受け入れている受入れ機関では、この特定活動で就労できません。
- 報酬:日本人が同じ仕事をする場合と同じかそれ以上でなければいけません。受入れ機関は「賃金の支払に関する書面」に、基本給・手当・税や社会保険などの控除・手取りの額を記載して提出します。
- 在留期間:1年です。一定の場合に限り、2回まで更新できます。
- 技能実習から移行する人の期限:更新できるのは、更新後の期限が、本来予定していた技能実習2号までの在留期限を超えない場合に限られます。
1年に2回の更新を足すと、長くて3年が目安です。ただし、更新は下の条件を満たしたときだけで、技能実習から移行する人はもっと短くなることがあります。
更新できる条件
更新は、申請のときの条件に加えて、次の両方を満たす場合に限られます。
- 受入れ機関での勤務状況が良好であること
- 試験に合格するための十分な支援を受けたのに、技能試験・日本語試験に合格できなかったと認められること
2回目の更新では、技能試験か日本語試験のどちらかに合格している必要があります。つまり、2回目の更新までに少なくとも1つの試験に合格しておくことが大切です。
特定技能1号の「通算5年」との関係
すでに特定技能1号で就労したことがある人は、別の分野で特定技能1号になるときも、前の特定技能1号の期間が通算5年に足されます(受入れ機関が作成する説明書の注記)。入管庁は、残りの期間を本人と受入れ機関の双方で確認してから申請するよう求めています。この特定活動を申請する前に、特定技能1号の残りの年数を確認してください。
(出典:出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(『特定活動』(就労継続支援))」、「特定活動(就労継続支援)」用 説明書、「特定活動(就労継続支援)」用 賃金の支払に関する書面)
受入れ機関の要件(受入れ機関の担当者向け)
この特定活動で外国人を受け入れられる機関は限られます。最も大きな要件は、特定技能外国人を通算1年以上受け入れた実績があり、現在も特定技能外国人を受け入れられる機関であることです。説明書には、過去に受け入れた特定技能外国人1名の情報(雇用期間など)を記載します。
ほかの要件は次のとおりです。
- 育成の意思と指導:本人に技能を習得する意思があることを確認したうえで雇用し、必要な指導・助言をすること。
- 法令を守っていること:労働・社会保険・税の法令を守っていること。受入れ機関や役員が、法令違反で刑を受けていない、暴力団と関係がない、技能実習の認定を取り消されていない、5年以内に出入国・労働の法令で不正や著しく不当な行為をしていない、などの要件があります。
- 支援:支援の担当者を役員や職員から選任し、職業生活・日常生活の支援をすること。登録支援機関に委託することもできます。
- 帰国の旅費:本人が帰国旅費を負担できないときは、受入れ機関が負担し、出国が円滑にできるようにすること。
- 報告:受入れの継続が困難になったら、本店の所在地を管轄する地方入管に速やかに報告すること。
- 技能実習生を受け入れるとき:同じ職種の技能実習生を受け入れていないこと、実習の職種に関連した業務区分の業務に従事させること。
支援の中身は、説明書のチェック項目で確かめます。主なものは次のとおりです。
- 雇用契約や在留の条件などの説明
- 空港・港での送迎
- 住居の確保、銀行口座や携帯電話の契約の支援
- 生活オリエンテーション(行政手続、医療、防災など)と、関係機関への同行
- 日本語を学ぶ機会の提供
- 相談や苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 本人の責任によらない理由で雇用契約を解除するときの、転職支援
- 定期的な面談と、法令違反を知ったときの通報
(出典:出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(『特定活動』(就労継続支援))」、「特定活動(就労継続支援)」用 説明書)
申請の手順と提出書類:誰が何を用意するか
申請は、本人の住居地を管轄する地方入管に、在留資格変更許可申請として提出します。申請するのは本人ですが、書類の多くは新たな受入れ機関が作成します。書類と作成者は次の表のとおりです。
| 書類 | 作成者 | 変更 | 更新 |
|---|---|---|---|
| 申請書・写真 | 本人 | 要 | 要 |
| 旅券(パスポート)と在留カード | 本人(窓口で見せる) | 要 | 要 |
| 受入れ機関が作成した説明書 | 新たな受入れ機関 | 要 | - |
| 雇用契約書・雇用条件書などの写し | 新たな受入れ機関 | 要 | 要 |
| 賃金の支払に関する書面 | 新たな受入れ機関 | 要 | 要 |
| 型1:実習先変更の措置の実施状況の説明書 | 監理団体 | 要 | - |
| 型1(特段の事情):監理団体の支援を受けられなかった事情の説明書と、技能実習機構の個別支援開始決定通知書の写し | 本人か新たな受入れ機関/技能実習機構 | 要 | - |
| 型2:解雇などの事情を示す資料 | 前の勤務先など | 要 | - |
| 型3:内定の取消しなどを示す資料 | 記載なし(下の注) | 要 | - |
| 就労継続支援に係る勤務状況等報告書 | 受入れ機関 | - | 要 |
| 試験のどちらかに合格したことを示す資料 | 本人 | - | 2回目 |
型3の資料を誰が作成するかは、入管庁のページに書かれていません。内定の取消しを知らせる書面など、手元の資料で何を提出できるかを地方入管に確認してください。
前の勤務先と連絡が取れないとき
型2の「解雇などの事情を示す資料」は、前の勤務先などが作成するものです。前の勤務先が倒産して連絡が取れないときは、その事情を客観的に示す資料を提出するよう、入管庁は案内しています。どんな資料なら足りるかは事情によって違うので、手元にある書類は捨てずに保管し、地方入管か専門家に相談してください。
申請のときの注意
- 書類がそろっていないと、審査が大幅に遅れたり、不利な結果になったりすることがあります。
- 日本で発行される証明書は、発行日から3か月以内のものを提出します。
- 外国語の書類には、日本語の訳を付けます。
- 審査の途中で、ほかの資料を求められることもあります。
- 申請書の書き方や書類の質問は、外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904、IP電話・海外からは03-5796-7112)で受け付けています。
手数料
在留期間1年の在留資格変更・在留期間更新の手数料は、2026年10月1日以降の受付分で、窓口33,000円、オンライン27,000円です。この特定活動の申請をオンラインでできるかは、入管庁の案内で確認してください。
(出典:出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(『特定活動』(就労継続支援))」、出入国在留管理庁「手数料の改定について」)
許可のあと:更新の準備と、受入れ機関・本人の届出
許可のあとは、本人の届出、受入れ機関の報告、更新の準備の3つが大切です。
本人がすること
- 住居地を変更したら、住居地の届出をします。
- 在留カードの住居地以外の記載事項(氏名など)が変わったら、変更の届出をします。
- 技能試験・日本語試験を受け、更新のときに結果を示せるようにします。
受入れ機関がすること
- 受入れの継続が困難になったとき(経営上の都合や、本人が行方不明になったときなど)は、「受入れ困難に係る報告書」(就労継続支援用)で地方入管に報告します。この報告書には、移行を予定していた分野・業務区分や、受入れが困難になった理由を記載します。
- 説明書で約束した支援を続けます。
更新に備えて記録しておくこと
更新では「就労継続支援に係る勤務状況等報告書」を提出します。この報告書には、次の事項の記載欄があります。
- 月ごとの出勤日数・出勤率・欠勤日数・有給休暇の日数
- 技能試験・日本語試験の試験名、受験日、合否と、受入れ機関が行った支援の内容
- 不合格のときは、今後の受験の予定と支援の予定。受験していないときは、その理由
- 受入れ機関と支援担当者の所見(技能や日本語の伸び、生活の様子など)
このため、受入れ機関は、試験の申込み、日本語学習の支援、面談などを日ごろから記録しておくとよいでしょう。記録すること自体は入管庁の要件ではありませんが、報告書を正確に書くために役立ちます。
両方の試験に合格したら、特定技能1号への変更申請に進みます。手続の流れは次の記事で説明しています。
(出典:出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(『特定活動』(就労継続支援))」、受入れ困難に係る報告書(「特定活動(就労継続支援)」用))
似た特定活動との違い(移行準備との比較)
特定技能1号に関係する特定活動には、もう1つ「移行準備」のための特定活動があります。いちばんの違いは、試験に受かっているかどうかです。
| 項目 | 就労継続支援 | 特定技能1号への移行準備 |
|---|---|---|
| 対象者 | やむを得ない事情で就労を継続できなくなり、試験に未合格の人 | 試験に合格していて、書類の準備が在留期限に間に合わない人 |
| 試験 | 技能試験・日本語試験の一方か両方が未合格 | 両方に合格していること(免除を含む) |
| 在留期間 | 1年 | 6月 |
| 更新 | 一定の場合に2回まで(2回目は試験1つの合格が必要) | やむを得ない事情があるとき1回だけ |
| 受入れ機関の要件 | 特定技能外国人を通算1年以上受け入れた実績など | 特定技能1号で受け入れる予定の機関 |
| 特定技能1号の通算5年 | 入管庁のページに記載なし(入管に確認) | 含まれる |
就労継続支援の期間が通算5年に含まれるかは、入管庁のページや運用要領で確認できませんでした。残りの年数に関わるので、気になる人は地方入管に確認してください。移行準備の特定活動の詳しい条件は、次の記事にまとめています。
(出典:出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動(『特定技能1号』への移行を希望する場合)」、出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(『特定活動』(就労継続支援))」、特定技能外国人の受入れに関する運用要領)
まとめ
- 本人:①やむを得ない事情で就労を継続できなくなった、②3か月経過しても次の雇用先がない、③試験に未合格である、の3つを確認します。事情を示す書類は捨てずに保管し、要件を満たす受入れ機関を探します。
- 受入れ機関:特定技能外国人を通算1年以上受け入れた実績と、支援体制を確認します。説明書と賃金の支払に関する書面を用意し、受入れ後は試験の支援と記録、受入れが困難になったときの報告をします。
- 期間:在留期間は1年で、一定の場合に2回まで更新できます。2回目の更新には、試験のどちらかの合格が必要です。
対象となるか、どんな資料を提出すればよいかは、個別の事情で変わります。判断に迷う場合は、地方入管か専門家に相談してください。
記事作成で参照した一次情報
- 出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な場合(『特定活動』(就労継続支援))」
- 出入国在留管理庁「やむを得ない事情により活動継続が困難な外国人に対する特例措置について」
- 出入国在留管理庁「『特定活動(就労継続支援)』用 説明書(在留資格変更許可申請)」
- 出入国在留管理庁「『特定活動(就労継続支援)』用 賃金の支払に関する書面」
- 出入国在留管理庁「受入れ困難に係る報告書(『特定活動(就労継続支援)』用)」
- 出入国在留管理庁「特定技能関係の特定活動(『特定技能1号』への移行を希望する場合)」
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」
- 出入国在留管理庁「手数料の改定について」
- 出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索)

