この記事は、NIPPON VISA & LIFE編集部が、国や自治体などの公的機関の情報をもとに作成しています。ルールや料金は、お住まいの市区町村によって違うことがあります。
日本の会社で働くと、給料日に「給与明細」(給料の内訳を書いた紙やデータ)を受け取ります。給料からは、税金や社会保険料が法律にもとづいて引かれるので、振り込まれる金額は給料の合計より少なくなります。給与明細の欄の意味と、何が引かれているかの確かめ方を説明します。
まず結論:給与明細の3つの欄
給与明細の形は会社によって違いますが、多くは次の3つの欄に分かれています。
- 勤怠(きんたい):出勤した日数、働いた時間、残業の時間、休んだ日数など
- 支給:会社が払う給料の内訳(基本給、手当、残業代など)。合計を「総支給額」といいます
- 控除(こうじょ):給料から引かれるもの(社会保険料、税金など)。合計を「控除合計」といいます
総支給額から控除合計を引いた金額が、実際に受け取る金額です。「差引支給額」と書かれ、一般に「手取り」といいます。
給与明細を受け取ったら、次の順に確かめると分かりやすいです。
- 勤怠の欄の日数・時間が、自分の記録と合っているか
- 支給の欄の基本給・手当が、雇用契約書や労働条件通知書(働く条件を書いた書類)と合っているか
- 控除の欄に、何がいくら引かれているか
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給与明細の見本(項目の例)
次の表は、給与明細によくある項目の例です。金額は入れていません。実際の項目の名前や並び方は、会社によって違います。
| 欄 | よくある項目 | 意味 |
|---|---|---|
| 勤怠 | 出勤日数・欠勤日数 | 働いた日と、休んだ日の数 |
| 勤怠 | 有給休暇 | 使った年次有給休暇の日数、残りの日数 |
| 勤怠 | 時間外労働・休日労働・深夜労働の時間 | 残業や休日・夜の仕事をした時間 |
| 支給 | 基本給 | 給料のもとになる金額 |
| 支給 | 各種の手当 | 会社が決めた手当(通勤手当、住宅手当、家族手当など) |
| 支給 | 時間外手当(残業代) | 残業・休日・深夜に働いた分の給料 |
| 控除 | 健康保険料 | 病院の費用を助ける医療保険の保険料 |
| 控除 | 介護保険料 | 40歳以上65歳未満の人だけ。医療保険の保険料に上乗せされる(健康保険料に含めて書かれることもある) |
| 控除 | 厚生年金保険料 | 会社員が入る年金の保険料 |
| 控除 | 雇用保険料 | 仕事を失ったときなどの国の保険の保険料 |
| 控除 | 所得税 | 国に納める税金 |
| 控除 | 住民税 | その年の1月1日に住所があった都道府県と市区町村に納める税金 |
| 控除 | その他 | 会社と労働者の代表が協定を結んだもの(寮費、食事代など) |
| 合計 | 差引支給額(手取り) | 総支給額 − 控除合計 |
給料から引いてよいもの
日本の法律(労働基準法)では、給料は原則として全額を払わなければなりません。ただし、次のものは給料から引くことができます。
- 所得税や社会保険料など、法令で定められているもの
- それ以外で、会社が、労働組合または労働者の過半数を代表する人と、書面で協定を結んでいるもの
ほかにも、給料の払い方には、次のルールがあります。
- 原則として通貨(お金)で払う。働く人が同意すれば、銀行振込もできる
- 働く人本人に直接払う
- 毎月1回以上、決まった日に払う(ボーナスなどは例外)
控除の欄に、意味の分からない項目があるときは、会社に「これは何ですか」と聞いて確かめてください。
(出典:出入国在留管理庁「生活・就労ガイドブック」第3章 2-1 賃金の支払われ方、労働基準法 第24条(e-Gov法令検索))
控除の欄の見方
社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険・雇用保険)
会社で働く人は、条件に当てはまると、健康保険と厚生年金保険に入ります。正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトでも、働く時間などの条件に当てはまれば入ります。
- 健康保険料:原則として、会社と働く人が半分ずつ払います。扶養されている家族(被扶養者)の保険料はかかりません
- 厚生年金保険料:会社と働く人が半分ずつ払います。本人の分は「毎月の給与(標準報酬月額)× 保険料率 ÷ 2」で計算されます。ボーナス(賞与)からも同じように引かれます
- 介護保険料:40歳以上65歳未満の人は、医療保険の保険料に上乗せして払います。そのため、40歳になると健康保険料と一緒に引かれるようになります。給与明細では、別の行に書かれていることも、健康保険料に含まれていることもあります
- 雇用保険料:1週間の決められた労働時間(所定労働時間)が20時間以上で、31日以上雇われる見込みがある人は、雇用保険に入ります。派遣社員・契約社員・パート・アルバイトでも同じです。ただし、昼間の学校に通う学生は入りません。保険料は、働く人と会社の両方が払います
社会保険料の欄が空いていて、自分が入っているか分からないときは、会社に確かめてください。会社を辞めたときにもらえる雇用保険のお金については 日本で仕事を辞めたときの雇用保険(失業手当)|離職票・ハローワークの手続・もらえる条件と期間 で説明しています。
(出典:出入国在留管理庁「生活・就労ガイドブック」第6章 2-1 健康保険、第7章 1-2 厚生年金保険・2 介護保険、第3章 4-4 雇用保険)
所得税
- 給料をもらっている人は、会社が給料を払うときに、所得税を先に引きます。これを「源泉徴収」(げんせんちょうしゅう)といいます
- その年の最後の給料のときに、1年分の所得税を計算し直して、払いすぎや足りない分を調整します。これを「年末調整」といいます。そのため、12月ごろの給与明細は、所得税の金額がいつもと違うことがあります
- 会社からは、1年間に払った給料の金額などを書いた「源泉徴収票」がもらえます。確定申告など、あとの手続で使うので、なくさないようにしてください
- 出身国と日本の間に租税条約(税金についての国どうしの約束)があると、条件を満たせば、所得税が軽くなったり、かからなかったりすることがあります
(出典:出入国在留管理庁「生活・就労ガイドブック」第8章 1-4 源泉徴収と年末調整、1-5 租税条約による特例)
住民税
- 住民税は、1月1日に住所がある(あった)都道府県と市区町村に納める税金です。前の年の1月1日から12月31日までに受け取った給料などで計算される「所得割」と、収入に関係なく決まった額を納める「均等割」があります
- 会社で働く人は、原則として、会社が給料から住民税を引いて市区町村に納めます。これを「特別徴収」(とくべつちょうしゅう)といいます。この場合、自分で市区町村に納める必要はありません
- 特別徴収では、1年分の住民税を12回に分けて、6月から次の年の5月まで、毎月の給料から引きます。そのため、6月の給与明細で住民税の金額が変わることがあります
- 住民税は、前の年の給料などと、1月1日に住所があったかどうかで決まるので、日本で働き始めたばかりのころは、給与明細に住民税が出てこないことがあります
- 会社を辞めたときは、まだ納めていない住民税を、自分で納める(普通徴収)か、会社に最後の給料や退職金からまとめて引いてもらう方法があります
(出典:出入国在留管理庁「生活・就労ガイドブック」第8章 2 住民税、地方税法 第321条の5(e-Gov法令検索))
支給の欄の見方
残業代(割増賃金)
決められた時間を超えて働いたときは、残業代が支給の欄に入ります。法律で決められた割増の割合は、次のとおりです。
| 働いた時間 | 割増の割合 |
|---|---|
| 法定労働時間(原則1日8時間・1週間40時間)を超えたとき | 25%以上 |
| 法定労働時間を超えた時間が1か月60時間を超えたとき | 50%以上 |
| 法定休日に働いたとき | 35%以上 |
| 午後10時から午前5時までの深夜に働いたとき | 25%以上 |
残業代は、派遣社員・契約社員・パートタイム労働者・アルバイトにも払われなければなりません。勤怠の欄の残業の時間と、支給の欄の残業代を、自分の記録と比べてみてください。
(出典:出入国在留管理庁「生活・就労ガイドブック」第3章 2-2 労働時間・休憩・休日、2-3 時間外労働・休日労働)
困ったとき・よくある疑問
給与明細をもらえないときは?
日本に住んでいる人(居住者)に日本で給料を払う会社は、給料の金額などを書いた支払明細書を、給料を受け取る人に渡すことになっています(所得税法)。働く人が承諾すれば、紙ではなくデータ(メールや会社のシステムなど)で渡すこともできます。その場合でも、働く人が求めれば、会社は紙で渡さなければなりません。もらえないときは、まず会社に頼んでください。
手取りが思っていたより少ないのはなぜ?
手取りは、総支給額から社会保険料・所得税・住民税などを引いた金額です。求人票や契約書の給料の金額は、ふつう引かれる前の金額です。控除の欄の項目を1つずつ見て、何が引かれているかを確かめてください。分からない項目は会社に聞いてください。
給与明細はとっておいたほうがいい?
給料や残業代のことで会社と話し合うとき、自分の働いた時間や受け取った金額が分かる資料になります。源泉徴収票と一緒に、なくさないようにとっておくと安心です。
給料が払われない・計算がおかしいときは?
給料が払われない、残業代が払われないなど、働く条件の困りごとは、労働基準監督署や、厚生労働省の外国語の相談窓口に相談できます(下の「外国語で相談できる窓口」)。会社が倒産して給料が払えなくなったときは、国が払われなかった給料の一部を会社の代わりに払う制度(未払賃金の立替払)があります。
外国語で相談できる窓口
- 給料や働く時間など働く条件の困りごとは、厚生労働省の「外国人労働者向け相談ダイヤル」と「労働条件相談ほっとライン」に外国語で電話で相談できます。言語ごとの電話番号と曜日は、厚生労働省の「外国人労働者向け相談機関」のページで確かめてください
- 所得税など国の税金の一般的な相談は、国税局の「電話相談センター」で英語でも受け付けています。よくある質問は国税庁のホームページ(タックスアンサー)で調べられます
- 住民税のくわしいことは、住んでいる都道府県や市区町村に問い合わせてください
(出典:厚生労働省「外国人労働者向け相談機関」(確かめよう労働条件)、出入国在留管理庁「生活・就労ガイドブック」第8章 6 税金に関する問合せ先)

