日本の賃貸住宅を退去するときの原状回復と敷金|修理の費用はだれが払う?国のガイドラインの例

日本の賃貸住宅を退去するときの原状回復と敷金|修理の費用はだれが払う?国のガイドラインの例
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この記事は、NIPPON VISA & LIFE編集部が、国や自治体などの公的機関の情報をもとに作成しています。ルールや料金は、お住まいの市区町村によって違うことがあります。

アパートやマンションを出るとき、借りた人は、自分が壊したり汚したりした所を直す費用を払います。これを「原状回復」(げんじょうかいふく)といいます。ただし、ふつうに住んでいてできる汚れや、古くなったことによる傷みは、借りた人が払う必要はないというのが、国土交通省のガイドラインの考え方です。入居のときに支払った「敷金」(しききん)は、この費用などを引いた残りが返ってきます。

この記事では、ことばを次のように使います。

  • 貸す人:大家さん(賃貸人)や、大家さんから頼まれた管理会社
  • 借りる人:部屋を借りて住んでいるあなた(賃借人)
Table of Contents

まず結論:退去までの流れ

  1. 契約書を読み直す:退去の連絡のしかたと、退去のときの費用の決まり(「特約」)を確かめます。
  2. 早めに貸す人へ連絡する:退去の日と手続を確かめます。
  3. 部屋を掃除する:ごみを片づけ、台所の油汚れや、お風呂・トイレの水あか・カビを落とします。
  4. 退去の立会い:多くの場合、貸す人や管理会社といっしょに、部屋と設備を見て、直す所を確かめます。写真を撮り、メモを残しましょう。
  5. 精算:直す費用などが敷金から引かれ、残りが返ってきます。費用が敷金より多いときは、足りない分を払います。

引っ越し全体の手続(役所への届出・電気ガス水道・郵便の転送など)は、日本で引っ越すときの手続チェックリスト|転出届・転入届・在留カード・電気ガス水道・郵便の転送にまとめています。

(出典:国土交通省「賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」)

原状回復とは

民法(日本の基本的な法律)では、借りる人は、部屋を借りたあとにできた傷みを、契約が終わるときに元に戻す義務があります。ただし、次のものは除かれます。

  • 通常損耗(つうじょうそんもう):ふつうに使っていてできる傷みや汚れ
  • 経年変化(けいねんへんか):時間がたって古くなったことによる傷み

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」も、原状回復は「借りたときの状態にそのまま戻すことではない」と説明しています。借りる人が払うのは、わざと壊したり、不注意で傷つけたり、手入れを怠ったりしてできた傷みを直す費用です。ふつうの使い方による傷みを直す費用は、家賃に含まれていると考えます。

国土交通省のリーフレットの図「負担割合の考え方」。時間がたつと建物の価値は下がり、古くなった分とふつうに使ってできた傷みは家賃に含まれる部分、借りた人の不注意などによる傷みは借りた人の負担になることを示している
国土交通省のリーフレットの図「負担割合の考え方」。時間がたつと建物の価値は下がり、古くなった分とふつうに使ってできた傷みは家賃に含まれる部分、借りた人の不注意などによる傷みは借りた人の負担になることを示している
出典:国土交通省「賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」

(出典:e-Gov法令検索「民法」第621条、国土交通省「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』について」)

敷金が返ってくるしくみ

敷金は、家賃などの支払いを確かにするために、借りる人が貸す人に預けるお金です。民法では、部屋を返して契約が終わったとき、貸す人は、敷金からまだ払っていない家賃や原状回復の費用などを引いた残りを、借りる人に返さなければなりません。

  • 家賃の払い忘れなどがなく、部屋をきれいに使っていれば、敷金は返ってきます。
  • 使い方が悪くて部屋を傷つけたり、汚したり、設備を壊したりすると、退去のときに直す費用を求められるのが一般的です。
  • 直す費用が敷金より多いときは、足りない分を払う必要があります。

(出典:e-Gov法令検索「民法」第622条の2、国土交通省「賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」)

だれが払う? 費用の例

国土交通省のガイドラインは、次のような例を示しています(一般的な例です。契約の内容によって変わることがあります)。

場所貸す人が払う例(ふつうの傷み・古くなったもの)借りる人が払う例(不注意・手入れ不足など)
壁(クロス=壁紙)冷蔵庫やテレビの後ろの黒ずみ(電気ヤケ)、ポスターやカレンダーをとめた画びょう・ピンの穴(下地のボードの張替えがいらない程度のもの)、日光による色の変化、自分で付けたエアコンのビス穴タバコのヤニ・におい、重い物をかけるためのくぎ穴・ネジ穴(下地のボードの張替えが必要なもの)、落書き、手入れをしなかった台所の油汚れ、結露を放っておいて広がったカビ・シミ
床家具を置いた跡やへこみ、日光による畳やフローリングの色の変化引っ越しの作業でついたひっかき傷、カーペットに飲み物をこぼしたあと手入れをしなかったシミ・カビ
水回り・設備寿命による設備の故障、次の人のための浴槽などの取替え掃除を怠ったためのお風呂・トイレ・洗面台の水あか・カビ、換気扇やコンロまわりの油汚れ
ペット—飼っているペットがつけた柱や壁の傷・におい
鍵壊したりなくしたりしていないときの鍵の交換鍵をなくしたり壊したりしたときの交換
部屋全体専門業者のハウスクリーニング(借りる人がふつうに掃除をしていたとき)ふだんの掃除をしていなかったときの清掃費用

(出典:国土交通省「賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」第1章)

長く住んだ部屋は、負担が軽くなる

借りる人が払うことになる傷みでも、長く住んでいるほど、借りる人の負担は小さくなるのが一般的です。古くなった分は、すでに家賃として払っていると考えるからです。

  • 例えば、ガイドラインでは、壁のクロスやカーペットは「6年で価値が1円になる」ように計算する考え方を示しています。
  • ただし、鍵をなくしたときの交換や、掃除をしなかったための清掃費用などは、住んだ年数を考えないとしています。
  • 古くなった設備でも、わざと壊したり、落書きをしたりしたときは、元の使える状態に戻す費用を払うことがあります。

(出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」第1章)

契約書の「特約」に気をつける

契約書に「特約」(とくやく:ガイドラインとは別に決めた約束)があると、ガイドラインと違う負担になることがあります。例えば、「退去のときのハウスクリーニング費用」や「エアコンのクリーニング費用」を、使い方にかかわらず借りる人が払うという特約です。

  • 特約の内容を分かったうえで同意して契約したときは、特約に従って負担を決めるのが一般的です。
  • 契約する前に、退去のときの費用について、分からないことは不動産店にその場で聞きましょう。
  • すでに契約している人は、まず今の契約書の内容を確かめてください。

(出典:国土交通省「賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」、国土交通省「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』について」、国民生活センター「賃貸住宅の原状回復トラブルにご注意!」)

入居のとき・住んでいる間・退去のときにすること

入居のとき

  • 部屋に傷や汚れがないか、エアコンなどの設備が動くかを確かめます。できれば貸す人といっしょに、日付の分かる写真を撮り、メモを残しましょう。
  • 国土交通省は、入居のときと退去のときの部屋の状態を書き込む「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)」を、多くの言語で公開しています。
  • 前からあった傷や不具合は、管理会社や貸す人に知らせます。

住んでいる間

  • 設備が壊れたときや、雨漏り・水漏れがあったときは、すぐに貸す人に連絡します。住むために必要な修理は、原則として貸す人がすることになっています。
  • 自分で業者を探して修理を頼まないでください。勝手に頼むと、費用の一部を払うことになったり、トラブルになったりすることがあります。
  • 部屋のリフォームや、エアコンを付けるときは、前に貸す人の許可をもらいます。自分で付けたエアコンは、退去のときに取り外します。
  • カビやシミは、ほうっておいて広がると、借りる人の負担になることがあります。こまめに掃除と換気をしましょう。

退去のとき

  • 入居のときと同じように、写真を撮り、メモを残しながら部屋の状態を確かめます。
  • 精算の明細を受け取ったら、ガイドラインの考え方と比べて、分からない費用は貸す人に説明を求め、話し合いましょう。

(出典:国民生活センター「賃貸住宅退去時トラブルの対処法-入居時からできる対策-」、国土交通省「賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」、国土交通省「外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について」)

困ったとき・よくある質問

自分の国のことばで、原状回復のルールを読みたい

国土交通省は、リーフレット「賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」と、部屋の状態の確認リストを、14の言語(日本語・英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語・ベトナム語・ネパール語・タイ語・インドネシア語・ミャンマー語・カンボジア語・タガログ語・モンゴル語)で公開しています。「外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について」のページから読めます。

(出典:国土交通省「外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について」)

きれいに掃除して出たのに、クリーニング代を請求された

特約でハウスクリーニングが借りる人の負担になっていて、その内容を分かって同意して契約したときは、掃除をして出ても払うのが一般的です。特約がないときは、借りる人がふつうに掃除をしていれば、専門業者のハウスクリーニングは貸す人の負担というのがガイドラインの例です。まず契約書を確かめてください。

(出典:国土交通省「賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント」)

請求の金額に納得できない

まず、貸す人に費用の明細を見せてもらい、説明を求めて話し合いましょう。それでも解決しないときや、トラブルになったときは、消費者ホットライン「188」(近くの消費生活センターなどを案内する全国共通の電話番号)に相談できます。市区町村などの相談窓口でも、住まいの相談を受けていることがあります。188のくわしい使い方は、買い物や契約で困ったときの相談先|消費者ホットライン188・消費生活センター・クーリング・オフにまとめています。

(出典:国民生活センター「賃貸住宅の原状回復トラブルにご注意!」、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」第2章)

記事作成で参照した一次情報

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執筆

NIPPON VISA & LIFE編集部です。日本で暮らす外国人のみなさんに向けて、ごみ出し・交通・病院・役所の手続などの暮らしの情報と、入管・在留に関する公的機関の発表を、11言語でお届けしています。記事は、国や自治体などの公的機関の情報をもとに作成しています。

The NIPPON VISA & LIFE editorial team provides practical information for foreign residents in Japan — garbage sorting, transportation, hospitals and city hall procedures — as well as announcements from public agencies on immigration and residence, in 11 languages. Our articles are based on information from national and local government agencies.

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