【10種類以上!?】介護分野で外国人が就労可能な在留資格一覧とそれぞれの特徴を解説

介護業界で働ける在留資格一覧
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執筆者:申請取次行政書士 安藤祐樹

近年、介護業界で働く外国人の数は増加の一途をたどっており、新たに外国人の雇用を開始する介護施設の数も年々増加しています。しかし、外国人が介護分野で就労するための在留資格には、さまざまな種類があり、外国人の新規採用を検討する介護施設の担当者にとっては、在留資格ごとの採用の流れを把握するだけでも多くの時間を要するほど制度が複雑化しています。

この記事では、介護業界で就労可能な在留資格の種類やその特徴を詳しく解説します。「どの在留資格を持つ外国人を採用するのが最適なのか?」と悩む採用担当者の方にとって、役立つ情報を紹介します。ぜひ参考にしてください。

目次

介護業界で就労可能な在留資格は10種類以上

介護業界で就労可能な在留資格は10種類以上の画像

介護業界で就労可能な在留資格は10種類以上あります。在留資格の分類はさまざまありますが、この記事では、「介護の専門性が高い在留資格」「人手不足の解消に役立つ在留資格」「自由度の高い働き方が可能な在留資格」「その他介護業界で就労可能な在留資格」の4つにわけて12種類の在留資格をご紹介します。

介護の専門性が高い在留資格

介護の専門性の高い在留資格のイメージ

介護の専門性が高い在留資格には、「介護」「EPA介護福祉士」「EPA介護福祉士候補者」の3種類があります。在留資格「介護」と「EPA介護福祉士」は、介護福祉士の資格を保有している外国人が取得する在留資格です。「EPA介護福祉士候補者」は日本の介護福祉士の資格は保有していませんが、日本に入国する前に母国で看護課程を修了するか、介護士の認定を受けるなど、介護に関してある程度高い専門知識を持っています。

在留資格「介護」

在留資格「介護」は、高齢化が進行する日本社会において、質の高い介護人材を確保するために、2017年9月に創設されました。当初は介護福祉士養成施設を卒業した留学生を対象としていましたが、現在では実務経験ルートで介護福祉士資格を取得した外国人も対象となっています。そのため、変更許可の要件を満たせば、特定技能や技能実習からこの在留資格に移行することも可能です。

在留資格「介護」で日本に滞在する外国人は、基本的に介護福祉士の資格を有しているため、介護に関する専門知識や技術水準が高いことが最大の特徴です。この在留資格には在留期間更新の上限が設けられておらず、長期間の雇用継続も可能です。また、外国人本人にとっては、この在留資格で一定年数以上就労することで、永住許可の要件の一部を満たすことができるため、将来の永住許可を目指す上で非常に有効なステップアップの手段となり得ます。

また、在留資格「介護」は、介護業務に関する就労制限がないため、雇用する企業側にとっても業務の管理がしやすいことが特徴です。この在留資格を持つ外国人の多くは、既に日本に滞在している期間が長いため、生活上のサポートも必要最小限で済むことから、在留管理の難易度が低いという利点もあります。

なお、この在留資格で日本に滞在する外国人の数は、令和5年6月末時点で8,093人です。人数は年々増加していますが、高い専門性を持った外国人介護福祉士だけでは、介護業界全体の人手不足を埋めるほどの労働力の供給はありません。そのため、人手不足で外国人の雇用を検討している事業者は、他の在留資格を組み合わせた採用戦略を練ることで、良い結果につながる可能性が高まります。

在留資格「介護」のおもな特徴

  • 国家資格「介護福祉士」を持っており専門性が高い
  • 日本語能力が高く介護の指導業務に従事することもできる
  • 介護業務に関する就労制限がない
  • 行政手続きの負担や雇用する企業側が負う義務が少ない
  • 在留期間の更新に制限がないため長期雇用が可能
  • 専門性が高く転職も自由なので人材の確保が難しい
  • 福祉系の専門学校などに通う留学生の新卒採用など戦略的な採用活動が必要

在留資格「介護」制度の詳細

在留資格「介護」制度の詳細
制度の目的介護福祉士を取得した留学生などに日本社会で活躍してもらうため
受け入れ人数8,093人(令和5年6月末時点)
必要な資格介護福祉士
給与水準日本人と同等額またはそれ以上
受け入れ費用受け入れ方法により異なる
管理費等なし
日本語力日本語能力試験N2相当
介護の知識・技能介護福祉士試験合格水準
1度に付与される在留期間5年、3年、1年、3カ月のいずれか
在留期間の更新無制限
永住者への移行可否永住許可要件を満たせば可
他の在留資格への変更変更許可要件を満たせば可
家族の呼び寄せ可能(配偶者と子)
就業可能な施設限定なし
従事可能な業務介護業務全般可(訪問介護や夜勤、レクリエーション、物品管理含む)
従事させてはいけない業務介護と直接関係のない業務(調理、医療、営業、経営管理など)
主な採用ルート介護専門学校卒業生、特定技能からの変更など

EPA介護福祉士候補者(特定活動)

EPAとは、Economic Partnership Agreementの略称で「経済連携協定」のことです。現在、日本はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国それぞれの国と締結した経済連携協定に基づき介護福祉士候補者を受け入れています。

EPA介護福祉士候補者の在留資格で日本に滞在する外国人の特徴としては、入国前に母国で看護課程を修了または各国の政府から介護士の認定を受けており一定程度の高い専門性を有していることなどがあります。

EPA介護福祉士候補者の日本語能力については、入国前の時点で、ベトナムはN3以上、インドネシアはN4程度以上、フィリピンはN5程度以上と大きく異なります。EPA介護福祉士候補者は在留期間の4年目に介護福祉士の国家試験を受けて合格すると、EPA介護福祉士または在留資格「介護」に移行して在留を継続することができますが、入国時点の日本語能力により試験合格率の違いが顕著です。

なお、EPA介護福祉士候補者は介護福祉士国家試験に不合格となった場合でも、在留期間を延長して1年後に再受験することが認められるほか、「介護福祉士国家試験の合格基準点の5割以上の得点であること」「すべての試験科目で得点があること」の要件を満たせば、特定技能の試験を受ける事なく特定技能1号への在留資格変更が認められます。

この制度の大きな特徴として、受け入れは必ずJICWELS(国際厚生事業団)を通して行うという点があります。EPA介護福祉士候補者の受け入れを希望する事業者は、JICWELSに対して求人登録申請を行い人材のあっせんを受けて雇用を開始します。

第35回介護福祉士国家試験結果(EPA関係)
ベトナム初受験96.8%
再受験91.3%
フィリピン初受験58.3%
再受験50.9%
インドネシア初受験67.3%
再受験59.9%
経済連携協定に基づく受入れの枠組み

引用:厚生労働省|経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れ概要[pdf]
(URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000639886.pdf

EPA介護福祉士候補者のおもな特徴

  • 入国時点で介護に関して一定以上の専門知識を持っている
  • 介護福祉士試験に不合格でも特定技能1号に変更できるため長期雇用可能
  • 公益社団法人JICWELSが受け入れ制度を一元管理しているため安心して利用できる
  • 初期費用が高い
  • 送出し国が3カ国(インドネシア、フィリピン、ベトナム)に限定される
  • 国によって入国時点の日本語力に大きな違いがある
  • 供給人数が少なく人手不足の解消目的で利用しにくい
  • 入管だけでなくJICWELSに対する届出があるため在留管理手続きが煩雑

EPA介護福祉士候補者制度の詳細

EPA介護福祉士候補者制度の詳細
制度の目的インドネシア、フィリピン、ベトナムとの経済連携協定に基づく介護福祉士候補者の受け入れ(人手不足の解消を目的とした制度ではない)
受け入れ人数年間600~700人程度
必要な資格母国で看護課程を修了など
給与水準日本人と同等額またはそれ以上
受け入れ費用総額60万円程度
管理費等滞在管理費として2万円/年額程度
日本語力ベトナムN3以上、インドネシアN4相当以上、フィリピンN5相当以上
介護の知識・技能母国で看護課程を修了または母国政府から介護士の認定を受けている
1度に付与される在留期間3年、1年、6カ月、3カ月または法務大臣が個々に指定する期間
在留期間の更新最大5年(4年+国家試験不合格時は1年延長可)
永住者への移行可否新規入国後引き続き10年在留の要件を満たさないため直接の移行は不可
他の在留資格への変更変更許可要件を満たせば可
家族の呼び寄せ原則不可
就業可能な施設参照:JICWELS|EPA 介護福祉士候補者受入れ機関・施設の要件
従事可能な業務介護(指定書に記載された活動)
従事させてはいけない業務介護と直接関係のない業務(調理、医療、営業、経営管理など)その他指定書で指定されていない活動
主な採用ルートJICWELSを通して紹介を受ける

EPA介護福祉士(特定活動)

「EPA介護福祉士」は、介護福祉士試験に合格したEPA介護福祉士候補者が取得する在留資格です。この在留資格で日本に滞在する外国人は、日本国内の施設で4年または5年間の就労経験があるため、介護福祉士としての高い専門性と日本語能力、そして豊富な実務経験を持つことが特徴です。

EPA介護福祉士は在留期間の更新回数に制限がなく、長期で雇用することが可能です。また、外国人本人にとっても、EPA介護福祉士の在留資格で一定年数以上就労することで、永住許可の要件の一部を満たすことができるため、将来永住許可を得て日本に長期的に滞在したい場合には、非常に有効な在留資格の選択肢となり得ます。

EPA介護福祉士と在留資格「介護」の違いは、国籍がインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国に限定される点、一度に付与される在留期間の違い、JICWELSの巡回訪問その他サポートの有無などがありますが、業務内容等に大きな違いはありません。

EPA介護福祉士のおもな特徴

  • 国家資格「介護福祉士」を持っており専門性が高い
  • 日本語能力が高く介護の指導業務に従事することもできる
  • 介護業務に関する就労制限がない
  • 介護施設での就労経験があるため即戦力になる
  • 在留期間の更新に制限がないため長期雇用が可能
  • JICWELSに滞在管理費等の費用を支払い続ける必要がある
  • 送出し国が3カ国(インドネシア、フィリピン、ベトナム)に限定される
  • 入管だけでなくJICWELSに対する届出があるため在留管理手続きが煩雑

EPA介護福祉士制度の詳細

EPA介護福祉士制度の詳細
制度の目的インドネシア、フィリピン、ベトナムとの経済連携協定に基づく介護福祉士候補者の受け入れ(人手不足の解消を目的とした制度ではない)
受け入れ人数不明(介護福祉士試験合格者は年間300~400人程度)
必要な資格介護福祉士
給与水準日本人と同等額またはそれ以上
受け入れ費用なし(原則介護福祉士候補者からの切り替えのため)
管理費等滞在管理費として1万円/年額程度
日本語力介護福祉士試験合格水準
介護の知識・技能介護福祉士試験合格水準
1度に付与される在留期間3年、1年、6カ月、3カ月または法務大臣が個々に指定する期間
在留期間の更新無制限
永住者への移行可否永住許可要件を満たせば可
他の在留資格への変更変更許可要件を満たせば可
家族の呼び寄せ可能(配偶者と子)
就業可能な施設限定なし
従事可能な業務介護(指定書に記載された活動)
従事させてはいけない業務介護と直接関係のない業務(調理、医療、営業、経営管理など)その他指定書で指定されていない活動
主な採用ルートEPA介護福祉士候補生が介護福祉士試験に合格してEPA介護福祉士に移行

人手不足の解消に役立つ在留資格

介護の人手不足解消に適した在留資格の画像

人手不足の解消に有効な在留資格には、「特定技能」と「技能実習」の制度があります。特定技能は、人手不足の業界で外国人材を確保するために非常に有効な手段です。技能実習は、制度がやや複雑ですが、人材の流出に悩む事業者にとって活用しやすい制度です。

特定技能1号(介護)

特定技能とは、人手不足が年々深刻化している日本社会において、生産性向上や国内人材確保のための取り組みを行ってもなお人材確保が困難な産業分野で、一定の専門性・技能を有している外国人を即戦力として受け入れることを目的として、2019年4月に創設された在留資格制度です。

特定技能には相当程度の知識・技能を有する者に許可を与える「特定技能1号」と、熟練した技能を有する者に許可を与える「特定技能2号」の制度が存在しますが、介護分野には従来より熟練労働者向けの制度として在留資格「介護」があったため、特定技能2号の制度は存在しません。

特定技能1号(介護)の主な受け入れルートとしては、「技能実習からの移行」「外国から直接受け入れる」「留学生からの在留資格変更」などがあります。特定技能の制度の特徴としては、人手不足の解消を目的としているため、在留資格「介護」のような高度な専門性を有しているわけではありませんが、その分、外国人材の確保は比較的容易で、「一定の専門性・技能」と「労働力の供給」のバランスを取った制度と言えます。

また、特定技能1号の大きな特徴として、特定技能1号で外国人を雇用する企業はその外国人に対して、職業生活上、日常生活上または社会生活上の支援をするという入管法上の義務を負うこととなります。この支援義務は出入国在留管理庁長官から登録を受けた「登録支援機関」という支援業務を請け負う事業者に委託をすることが可能ですが、委託をする場合は月々の費用が発生するため、「安く外国人を雇用したい」という目的で特定技能の制度を利用することはできません。

また、登録支援機関に支援を委託する場合でも、企業側は支援義務以外の義務をしっかりと理解し、自ら履行する必要があります。従事させてはいけない業務を把握するのはもちろん、多くの届出義務も課せられているため、在留管理の難易度は他の在留資格と比較して高いです。特定技能1号の外国人を雇用する場合は、企業自ら入管法の知識を高めて取り組むか、入管制度を深く理解している信頼できる登録支援機関を見つけることが重要です。

特定技能1号(介護)のおもな特徴

  • 人材の供給が多く、人手不足を解消できる
  • 一定の専門性・技能を有している
  • 技能実習から継続雇用できる
  • 職業紹介業者が登録支援機関を併設していることが多く採用を丸投げしやすい
  • 在留期間の上限が最大5年で介護福祉士に合格しない限り延長できない
  • 外国人に対する支援義務や各種届出義務があり手続きが煩雑
  • 登録支援機関に支援委託をする場合は委託費がかかる
  • 受入れ可能な人数に上限がある(日本人等の常勤の介護職員の総数を超えないこと)

特定技能1号(介護)の詳細

特定技能1号(介護)の詳細
制度の目的人手不足が深刻化している分野で一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れる
受け入れ人数36,719(令和6年6月末時点)
必要な資格「介護技能評価試験、日本語能力試験N4相当、介護日本語評価試験合格」または「技能実習2号を良好に修了する」
給与水準日本人と同等額またはそれ以上
受け入れ費用受け入れ方法により異なる
管理費等支援委託費(月額2~3万円程度)
※自社支援の場合は不要
日本語力日本語能力試験N4相当、介護日本語評価試験合格相当
介護の知識・技能介護技能評価試験合格水準
1度に付与される在留期間一年を超えない範囲内で法務大臣が指定する期間
在留期間の更新通算5年が上限
永住者への移行可否直接の移行は不可
他の在留資格への変更変更許可要件を満たせば可
家族の呼び寄せ原則不可
就業可能な施設介護福祉士国家試験の受験資格要件において「介護」の実務経験として認められる施設のうち、訪問系サービスを除く事業所
従事可能な業務介護業務(夜勤、レクリエーション、物品管理含む)のうち、訪問系サービスを除く業務
従事させてはいけない業務介護と直接関係のない業務(調理、医療、営業、経営など)
主な採用ルート外国から直接受け入れ、技能実習からの移行、留学生の採用など

技能実習(介護)

技能実習とは、開発途上地域などへの技術移転による国際協力を目的とした外国人の受け入れ制度です。本来は労働力の供給を目的とした制度ではありませんが、実態として人手不足の解消に活用されてきた経緯があります。平成22年の入管法改正以降、入国1年目から実習生に労働法令が適用されることとなり、その後も幾度かの法改正を経て、労働者としての位置づけがますます確立されていきました。また、2027年より人材確保と人材育成を目的とする「育成就労」の制度に移行することが確定しているため、今後も人手不足を解消するための制度として活用されていくでしょう。

技能実習の受け入れ制度には、「企業単独型」と「団体監理型」の2種類があります。それぞれに1号(1年目で技能を習得する期間)、2号(2~3年目で技能に習熟する期間)、3号(4~5年目で技能に熟達する期間)と、実習年数に応じた3種類の分類があります。多くの場合、介護分野で技能実習生を受け入れる際は、「団体監理型」を選択することになります。

団体監理型の技能実習の最大の特徴は、実習生の受け入れを「監理団体」という事業協同組合等が行う点です。介護施設などの事業者は、実習実施機関として実習生と有期労働契約を締結し、「技能実習計画」に基づいて、実習生に技能を習得させます。

また、技能実習制度には、介護施設の常勤職員の総数に応じて受け入れ可能な人数枠が設けられています。例えば、常勤介護職員数が25人の施設では、年間3人までの新規受け入れが可能であり、2~3年目の実習生を含めた総数は最大9名までとなります。 
※一般の実習実施者の場合

技能実習の人数枠

引用元:厚生労働省|技能実習「介護」における固有要件について
(URL:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000182392.pdf

技能実習(介護)のおもな特徴

  • 人材の供給が多く、人手不足を解消できる
  • 技能実習2号を良好に修了すると特定技能1号に移行できるため長期就労可能
  • 原則転籍不可の制度であるため人材定着の悩みが解消できる
  • 受け入れまでの初期費用が高い
  • 受け入れ可能な人数に上限枠がある
  • 育成就労に移行するため今後の制度変更の見通しが不透明
  • 実習実施機関になるための手続きや在留管理の手続きが煩雑
  • 申込みから受け入れ開始まで6カ月以上かかる

技能実習(介護)の詳細

技能実習(介護)の詳細
制度の目的人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識の移転による国際協力
受け入れ人数15,011人(令和4年6月末時点)
必要な資格日本語能力試験N4相当、同等業務従事経験(教育課程の修了、講習等の受講含む)
給与水準日本人と同等額またはそれ以上
受け入れ費用50~100万円程度
管理費等管理費、送出し管理費、組合会費(月額合計4~6万円程度)その他技能検定料など
日本語力日本語能力試験N4相当
※2年目はN3相当が求められる
介護の知識・技能前職の経歴、講習の受講歴等により異なる
1度に付与される在留期間1号は一年を超えない範囲内で法務大臣が指定
2号3号は二年を超えない範囲内で法務大臣が指定
在留期間の更新2号、3号への変更含め最大5年
永住者への移行可否直接の移行は不可
他の在留資格への変更原則不可(要件を満たせば特定技能1号、在留資格「介護」に変更可)
家族の呼び寄せ原則不可
就業可能な施設介護福祉士国家試験の受験資格要件において「介護」の実務経験として認められる施設のうち、訪問系サービスを除く施設で設立後3年を経過している事業所
従事可能な業務介護業務のうち訪問系サービスを除く業務
従事させてはいけない業務服薬の介助、単独での夜勤、介護と直接関係のない業務(調理、医療、営業、経営など)
主な採用ルート原則外国から直接受け入れ(団体監理型の場合、受け入れの主体は監理団体)※企業等は実習実施機関として実習生と有期労働契約を締結

自由度の高い雇用が可能な在留資格

自由度の高い働き方が可能な在留資格の画像

入管法には全29種類の在留資格が規定されていますが、その中で就労制限のない在留資格は「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つです。これらの在留資格は、一定の身分や地位に基づいて日本に滞在することが許可されており、「身分系在留資格」「地位等類型在留資格」などと呼ばれています。介護分野においても、これらの在留資格を持つ外国人が多く活躍しています。

永住者

永住者とは、法務大臣から「永住許可」を受けて日本に滞在する外国人のことです。この在留資格を持つ外国人は、入管法上の就労制限がないことはもちろん、在留期間の制限なく日本に滞在することが可能です。

永住者雇用の最大の利点は、事業者側にとって、外国人従業員に不法就労をさせてしまうリスクを最小限に抑えられることです。介護施設の業務は多岐にわたりますが、永住者の場合は、日本人従業員と同様に介護業務だけでなく、送迎や調理、買い出しなど、どのような業務にも従事させることができます。また、在留期間の定めがないため、うっかり在留期限を過ぎた外国人に就労させてしまうリスクもなくなります。

永住者の在留資格を持つ外国人の介護に関する専門性は人によってさまざまです。在留資格「介護」から永住許可を取得した永住者は介護福祉士の資格を保有し、長年の実務経験もあるため、高い専門性を持っています。しかし、大多数の永住者は介護業界での就労経験がないため、在留資格の種類から専門性を測ることは困難です。

永住者のおもな特徴

  • 在留期間が無制限なため長期雇用可能
  • 不法就労をさせてしまうリスクが少ない
  • 日本語能力が高い人が多い
  • 日本の労働環境に慣れている人が多い
  • 入管申請や届出など在留管理の手間が最小限
  • 就労制限がないため、待遇面で他業種との競争を強いられる
  • 大多数が既に日本で就労しているため新規採用の難易度が高い

永住者の詳細

永住者の詳細
制度の目的相当期間日本に在留した間の在留状況に問題がなく、将来にわたってその在留に問題がないことが想定される者に対して法務大臣が永住許可を与える制度
受け入れ人数891,569人(令和5年末時点)
※介護分野の従事者数は不明
必要な資格なし
給与水準特別な規定なし
受け入れ費用なし
管理費等なし
日本語力人により異なるが高い傾向あり
介護の知識・技能人により異なる
1度に付与される在留期間無制限
在留期間の更新なし
永住者への移行可否移行済み
他の在留資格への変更高度専門職2号への変更または永住許可取消し時などに変更の可能性あり
家族の呼び寄せ永住者の配偶者等、定住者などで呼び寄せ可
就業可能な施設制限なし
従事可能な業務制限なし
従事させてはいけない業務制限なし
主な採用ルート転職希望者の採用など

日本人の配偶者等

日本人の配偶者等とは、「日本人の配偶者」や「特別養子」、「日本人の子として出生した者」に与えられる在留資格です。「日本人の子として出生した者」とは、日本人の実子で日本国籍を選択しなかった者などが該当します。

日本人の配偶者等の在留資格を持つ外国人は、永住者と同様に就労可能な業務に制限がないため、雇用主側にとって不法就労をさせてしまうリスクを最小限に抑えることができます。ただし、この在留資格は永住者とは異なり在留期間が定められているため、一定期間ごとに在留期間の更新が必要です。日本人配偶者との婚姻の解消などが原因で在留資格の維持が困難になる場合もあるため、雇用する側も在留期限をしっかりと把握しておく必要があります。

なお、日本人の配偶者等の在留資格を持つ外国人が介護に関する専門知識を有している可能性は高くありません。ただし、この在留資格を持つ外国人は、比較的短い年数で永住許可の要件を満たすことができるため、長期的に雇用を継続できる可能性は十分にあります。

日本人の配偶者等のおもな特徴

  • 在留期間の更新に制限がないため長期雇用が可能
  • 不法就労をさせてしまうリスクが少ない
  • 入管申請や届出など在留管理の手間が最小限
  • 就労制限がないため、待遇面で他業種との競争を強いられる
  • 介護の専門知識や実務経験を持っている人が少ない

日本人の配偶者等の詳細

日本人の配偶者等の詳細
制度の目的日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者に与える在留の許可
受け入れ人数148,477人(令和5年末時点)
※介護分野の従事者数は不明
必要な資格なし
給与水準特別な規定なし
受け入れ費用なし
管理費等なし
日本語力過去の在留期間などにより異なる
介護の知識・技能人により異なる
1度に付与される在留期間5年、3年、1年、6カ月
在留期間の更新無制限
永住者への移行可否永住許可要件を満たせば可
他の在留資格への変更変更許可要件を満たせば可
家族の呼び寄せ定住者として未成年で未婚の実子の呼び寄せ可
就業可能な施設制限なし
従事可能な業務制限なし
従事させてはいけない業務制限なし
主な採用ルート転職希望者の採用など

永住者の配偶者等

永住者の配偶者等とは、「永住者等の配偶者」または「永住者等の子として日本で出生し、その後引き続き日本に在留している者」のことです。永住者等とは、「永住者」または「特別永住者」のことです。

永住者の配偶者等の在留資格は、日本人の配偶者等の在留資格と同様に就労制限がないため、雇用主側にとって不法就労をさせてしまうリスクを抑えることができます。この在留資格を持つ外国人は、日本人の配偶者等の在留資格と同様に、短い年数で永住許可の要件を満たすことができるため、長期的な雇用に繋がる可能性は十分にあります。

なお、永住者の配偶者等を日本人の配偶者等と比較すると、就労可能な業務範囲に違いはありませんが、永住者の配偶者等で在留する外国人は、夫婦間のコミュニケーションを母国語や英語で行っていることが多く、日本語能力があまり高くない場合もあります。

永住者の配偶者等のおもな特徴

  • 在留期間の更新に制限がないため長期雇用が可能
  • 不法就労をさせてしまうリスクが少ない
  • 入管申請や届出など在留管理の手間が最小限
  • 日本語能力に不安がある場合がある
  • 介護の専門知識や実務経験を持っている人が少ない

永住者の配偶者等の詳細

永住者の配偶者等の詳細
制度の目的永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者に与える在留の許可
受け入れ人数50,995(令和5年末時点)
※介護分野の従事者数は不明
必要な資格なし
給与水準特別な規定なし
受け入れ費用なし
管理費等なし
日本語力過去の在留期間などにより異なる
介護の知識・技能人により異なる
1度に付与される在留期間5年、3年、1年、6カ月
在留期間の更新無制限
永住者への移行可否永住許可要件を満たせば可
他の在留資格への変更変更許可要件を満たせば可
家族の呼び寄せ定住者として未成年で未婚の実子の呼び寄せ可
就業可能な施設制限なし
従事可能な業務制限なし
従事させてはいけない業務制限なし
主な採用ルート転職希望者の採用など

定住者

定住者の入管法上の定義は、「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」です。定住者の該当例として、「第三国定住難民」「日系2世・3世」「永住者などの扶養を受ける未成年で未婚の実子」などがあります。

定住者の在留資格も他の身分系在留資格と同様に就労制限がありません。雇用する側にとって不法就労をさせてしまうリスクを考えることなく業務に従事してもらうことが可能です。また、定住者の在留資格は在留期間の更新に制限がないため、労使間の条件が合えば長期的に活躍してもらうことも期待できます。

定住者のおもな特徴

  • 在留期間の更新に制限がないため長期雇用が可能
  • 不法就労をさせてしまうリスクが少ない
  • 入管申請や届出など在留管理の手間が最小限
  • 就労制限がないため、待遇面で他業種との競争を強いられる
  • 介護の専門知識や実務経験を持っている人が少ない

定住者の詳細

定住者の詳細
制度の目的法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める制度
受け入れ人数216,868人(令和5年末時点)
※介護分野の従事者数は不明
必要な資格なし
給与水準特別な規定なし
受け入れ費用なし
管理費等なし
日本語力過去の在留期間などにより異なる
介護の知識・技能人により異なる
1度に付与される在留期間5年、3年、1年、6カ月または5年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間
在留期間の更新無制限
永住者への移行可否永住許可要件を満たせば可
他の在留資格への変更変更許可要件を満たせば可
家族の呼び寄せ定住者として配偶者、未成年で未婚の実子の呼び寄せ可
就業可能な施設制限なし
従事可能な業務制限なし
従事させてはいけない業務制限なし
主な採用ルート転職希望者の採用など

その他介護業界で就労可能な在留資格

その他介護業界で就労可能な在留資格の画像

ここまで就労系と身分系の在留資格を紹介してきましたが、その他にも介護業務に従事可能な在留資格は存在します。介護分野で就労可能な在留資格はまだまだ多くありますが、その中でも在留数が多く、活用しやすいものと、今後在留数の増加が見込まれる在留資格を3つご紹介します。

在留資格「留学」

在留資格「留学」とは、日本国内の大学や専門学校、日本語学校などで教育を受ける活動を行う外国人が取得する在留資格のことです。「留学」の在留資格を持つ外国人が「資格外活動許可」を取得すると、週28時間以内(学則で定める長期休業期間中は1日8時間)に限り就労することが可能となります。資格外活動許可を受けた留学生は、風俗営業を除きどのような業務にも従事することができるため、介護分野でも幅広い仕事に就いてもらうことが可能です。
※時間単位での計測が困難な契約に基づいて就労する場合は別途個別許可が必要です。

福祉系の大学や介護の専門学校に在籍する留学生もこの在留資格を持って日本に滞在していることが多いため、介護に関する一定程度の専門知識を持っている場合もあります。また、大学生や専門学生は卒業後に就職することを希望している人が多いため、在留資格を「介護」や「特定技能1号」などに移行し、継続的な雇用に繋がる可能性もあります。

留学生を雇用する際に注意すべきこととして、週28時間の就労上限の計算は、一週間のうちどの曜日を起算日としても28時間以内に収まるようにしなければならないという点があります。また、留学生が退学や卒業をして教育機関の籍を失った場合、在学中に受けた資格外活動許可は効力を失うため、留学生を雇用する際は、教育機関の在籍状況についても継続的に把握する必要があります。

その他、外国人を雇用した事業主は、雇い入れ時と離職時にハローワークに「外国人雇用状況の届出」を提出する必要があります。昼間部の学校に通う留学生は、原則として雇用保険加入の対象外となりますが、例外的に雇用保険加入対象となる場合もあります。雇用保険加入対象の場合は、雇用保険被保険者資格取得届を提出することで、外国人雇用状況の届出についても実施したものとみなされます。雇用保険加入対象外の場合は、外国人雇用状況届出書を提出してください。

雇用保険の加入対象になる場合とならない場合の条件や外国人雇用状況の届出手続きの詳細については、以下の厚生労働省のウェブサイトをご確認ください。

参考:厚生労働省|被保険者に関する具体例
(URL:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000175909.pdf

参考:厚生労働省|外国人雇用状況の届出について
(URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html

在留資格「留学」のおもな特徴

  • 介護業務以外(調理、清掃等)の仕事に従事してもらうことも可能
  • 日本在住歴が長い学生は日本語能力が高い
  • 福祉系学校に在籍する留学生などは一定の専門知識を有している
  • 1週間28時間の就労時間上限がある
  • 雇用保険の加入手続きがないため外国人雇用状況の届出を忘れないようにする必要がある
  • 風俗営業を除き業種の制限がないため、待遇面で他業種との競争を強いられる

在留資格「留学」の詳細

在留資格「留学」の詳細
制度の目的日本国内の学校等で教育を受ける活動を行う外国人を受け入れること
受け入れ人数340,883人(令和5年末時点)
必要な資格なし
給与水準特別な規定なし
受け入れ費用なし
管理費等なし
日本語力高い傾向あり
介護の知識・技能人により異なる
1度に付与される在留期間四年三月を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間
在留期間の更新回数の制限教育機関の種類により異なる
永住者への移行可否原則直接の移行は不可
他の在留資格への変更変更許可要件を満たせば可
家族の呼び寄せ大学、大学院等に在籍している場合は可能(配偶者と子)
就業可能な施設介護関係施設においては制限なし
従事可能な業務介護業務全般可能。介護と直接関係のない業務(調理、営業、清掃など)も可
従事させてはいけない業務1週間28時間の就労時間上限あり(学則で定める長期休業期間中は1日8時間)
※時間計測が困難な就労は、別途個別許可が必要
主な採用ルート職業紹介事業者、学校等からの紹介

家族滞在

家族滞在は、日本に在留する外国人(おもに就労系の活動を行う外国人)が扶養する配偶者または子に付与される在留資格です。この在留資格で日本に在留する外国人は、「資格外活動許可」を取得すると、週28時間以内に限り就労することが可能となります。家族滞在者が資格外活動許可を受けて就労する場合は、風俗営業を除きどのような業務にも従事することができるため、介護分野でも幅広い仕事に就いてもらうことが可能です。
※時間単位での計測が困難な契約に基づいて就労する場合は、別途個別許可が必要です。

家族滞在の在留資格は、扶養者となる外国人の在留資格に紐づいて付与されるため、扶養者の在留状況によって在留期間の長さや更新の可否が左右されます。他の在留資格と比べてやや不安定な性質を持つ点に注意が必要です。

家族滞在のおもな特徴

  • 介護業務以外(調理、清掃等)の仕事に従事してもらうことも可能
  • 1週間28時間の就労時間上限がある
  • 日本語能力が高くない場合が多い
  • 扶養者の事情により就労継続困難となる場合がある

家族滞在の詳細

家族滞在の詳細
制度の目的就労や留学のために日本に滞在する外国人が扶養する配偶者または子に在留を許可するための制度
受け入れ人数266,020人(令和5年末時点)
必要な資格なし
給与水準特別な規定なし
受け入れ費用なし
管理費等なし
日本語力人により異なる
介護の知識・技能人により異なる
1度に付与される在留期間五年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間
※基本的には扶養者の在留期間に準ずる
在留期間の更新回数の制限扶養者の在留資格の種類により異なる
永住者への移行可否扶養者の在留資格の種類により異なる
他の在留資格への変更変更許可要件を満たせば可
家族の呼び寄せ家族滞在者の家族に対する許可制度はない
就業可能な施設介護関係施設においては制限なし
従事可能な業務介護業務全般可能。介護と直接関係のない業務(調理、営業、清掃など)も可
従事させてはいけない業務1週間28時間の就労時間上限あり
※時間計測が困難な就労は、別途個別許可が必要
主な採用ルート職業紹介事業者、本人からの応募など

特定活動43号(日系四世)

特定活動43号は、日系四世の外国人に与えられる在留資格です。この在留資格を持つ外国人は、日本文化を学ぶ活動を行うことを前提に、生活資金を補うための就労活動を行うことも可能です。この在留資格を取得するための要件としては、日系四世であることに加えて、入国時の年齢が18歳以上35歳以下であること、日本側に無償で受け入れを支援するサポーターがいることなどがあります。

特定活動43号(日系四世)の在留期間は最大5年ですが、日本文化等を十分に理解し、日本での日常生
活に支障がないなど、一定の要件を満たせば「定住者」の在留資格への変更が認められます。

この在留資格を持つ外国人を雇用する際の利点としては、風俗営業を除き就労可能な業務の制限がないこと、入管法上の就労時間の制限がないことなどがあります。また、在留期間更新時に在留年数に応じた日本語能力の基準が設けられているため、日本語学習に意欲的な人が多いという特徴もあります。

特定活動43号(日系四世)のおもな特徴

  • 不法就労をさせてしまうリスクが少ない
  • 介護業務以外(調理、清掃等)の仕事に従事してもらうことも可能
  • 入管法上の就労時間制限がない
  • 本人の日本語学習意欲が高い傾向がある
  • 在留数が少なく人手不足の解消に活用しづらい
  • 有料の人材紹介が認められていないため独自に採用ルートを確保する必要がある
  • 日本語能力の要件を満たせない場合、短期間で帰国してしまう可能性がある

特定活動43号(日系四世)の詳細

家族滞在の詳細
制度の目的日本文化及び日本国における一般的な生活様式の理解を目的とする活動(日本語を習得する活動を含む。)並びにこれらの活動を行うために必要な資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動
受け入れ人数年間の受け入れ枠は4千人
必要な資格18歳以上30歳以下の場合、日本語能力試験N5相当以上
31歳以上35歳以下の場合、日本語能力試験N3相当以上
給与水準特別な規定なし
受け入れ費用なし
管理費等なし
日本語力人により異なる(N5相当~N2相当)
介護の知識・技能入国時点では低い場合が多い
1度に付与される在留期間1年または6カ月
在留期間の更新回数の制限最大5年(N2合格で定住者に移行の可能性あり)
永住者への移行可否直接の移行は想定されていない
他の在留資格への変更変更許可要件を満たせば可
家族の呼び寄せ原則不可
就業可能な施設介護関係施設においては制限なし
従事可能な業務介護業務全般可能。介護と直接関係のない業務(調理、営業、清掃など)も可
従事させてはいけない業務介護関係施設においては入管法上の制限なし
主な採用ルート本人からの応募、無料の職業紹介など

外国人材受入れの目的別おすすめ在留資格

外国人受入れの目的別おすすめ在留資格に関する画像

ここからは、介護分野で外国人材を採用する目的を、「知識・経験の豊富さ」「人手不足の解消」「業務の制限の少なさ」「日本語能力の高さ」の4つの分類に分けて、それぞれにおすすめの在留資格をご紹介します。

知識・経験が豊富な外国人材を採用したい

介護に関する知識や経験が豊富な外国人材を採用したい場合、以下の在留資格がおすすめです。現状では、介護福祉士の資格を持つ永住者は少ないですが、2024年現在、在留資格「介護」の制度が創設されてから7年が経過し、永住許可の要件を満たす介護福祉士保有者の数は年々増加しており、今後も緩やかに増え続けていくと考えられます。

  • 永住者(在留資格「介護」から永住者に移行した者)
  • 在留資格「介護」、EPA介護福祉士(特定活動)
  • EPA介護福祉士候補生(特定活動)、福祉系の大学や専門学校に在籍する留学生

人手不足を解消したい

人手不足の解消には、特定技能と技能実習の在留資格がおすすめです。これらの在留資格は、外国から直接介護人材を受け入れることができるため、計画的に受け入れを行えば、雇用者の希望するタイミングで人材を確保することが可能です。両制度を比較すると、介護分野においては、従事可能な業務の内容と受け入れ可能な人数を考慮すると、特定技能の方がやや使いやすい制度です。しかし、技能実習修了後に特定技能1号に容易に移行可能であることを考慮すると、技能実習の方が長期的に活躍してもらいやすい制度と言えます。EPA介護福祉士候補者(特定活動)は、全体の受け入れ人数が少ないため、介護業界全体の人手不足を補う制度とは言えませんが、日本国外から直接人材を受け入れ可能なため、国内人材の採用に悩む事業所にとっては、人手不足の解消に一定の効果があります。

  • 特定技能1号(介護)
  • 技能実習(介護)
  • EPA介護福祉士候補者(特定活動)

業務の制限が少ない外国人材を採用したい

業務範囲や就労時間の制限が少ない外国人を採用したい場合、以下の在留資格がおすすめです。永住者は、就労可能な業務や時間に制限がないことに加え、在留期間の更新も不要なため、雇用者側にとって最も安全に雇用できる在留資格と言えます。日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の3つは在留期間の期限があり、永住者と比べると若干在留管理の手間はかかるものの、就労可能な業務範囲に制限はありません。特定活動43号(日系四世)は、日本文化を学ぶ活動を継続することを前提に、業務範囲の制限を受けることなくフルタイムで就労できますが、2024年現在、在留人数はあまり多くありません。

  • 永住者
  • 日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者
  • 特定活動43号(日系四世)

日本語が上手な人を採用したい

日本語能力の高い外国人材を採用したい場合、以下の在留資格がおすすめです。在留資格「介護」やEPA介護福祉士(特定活動)の在留資格を持つ外国人は、介護福祉士試験に合格しているため、高い日本語能力と介護に関する専門知識の両方を兼ね備えています。大学生や専修学校の専門課程に通う学生は、入学時点で原則N2相当以上の日本語能力が必要なため、日本語能力だけに焦点を当てるなら、最も高い能力を持っていると言えるでしょう。永住者や日本人の配偶者等は、日本在留歴が長い人が多く、個人差はありますが、高い日本語能力を持つ傾向があります。

  • 在留資格「介護」、EPA介護福祉士(特定活動)
  • 留学生(大学生、専門学生)
  • 永住者、日本人の配偶者等

まとめ

この記事では、介護業界で就労可能な外国人の在留資格の種類とそれぞれの特徴について解説しました。介護分野は他の分野と比較して、外国人材を受け入れる際の選択肢が多く、事業所ごとの事情に合わせた最適な人材採用が求められます。外国人材の採用方法は多数ありますが、まずは「どのような特徴の外国人材を採用したいのか」を具体的に定めてから採用活動に取り組むことが、良い人材を獲得する上で重要です。

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執筆者

安藤祐樹のアバター 安藤祐樹 申請取次行政書士

きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。TOEIC850点。趣味はプログラミングと料理。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

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