不法就労助長罪とは?外国人を雇用するなら必ず知っておきたい入管法の罰則規定について解説

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執筆者:申請取次行政書士 安藤祐樹

ニュース番組などで「不法就労助長の疑いで会社経営者を逮捕」などの報道を目にしたことがある方も多いと思いますが、不法就労に関連する罰則は外国人に対するものだけではありません。日本政府は「世界一安全な日本」創造戦略2022において、年々巧妙化する不法就労の手口に対応すべく、不法就労を助長するブローカーや事業主の取り締まりを強化するという方針を示しています。

今後ますます強化されていく外国人雇用に関するさまざまな規制の中で、外国人労働者を有効に活用して安定的に事業を運営するためには「不法就労(助長)を避けるための知識」は、外国人を雇用する経営者にとって必須のものと言えるでしょう。

この記事では、初めて外国人を雇用する方でも安心して採用を進められるように、不法就労の判断基準や違反を避けるための対策について詳しく解説します。

目次

不法就労とは

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不法就労とは「入管法上違法な就労活動」の総称で、外国人本人の違法状態を意味します。不法就労に該当する違法行為にはいくつかのパターンがあり、それぞれ退去強制などの行政処分や刑事罰の規定が異なります。以下に、不法就労に該当する行為を3つに分類して解説します。

不法就労に該当する違法行為3パターン

1つ目は、不法滞在者が日本国内で就労活動を行う場合です。不法滞在者には「密入国などで不法に日本に上陸し在留する者」と「適法に日本に上陸し、許可された在留期間を過ぎても残留する者」が含まれます。どちらの場合も日本に合法的に滞在する権限を有していないため、たとえ就労活動を行っていない場合でも退去強制事由に該当します。このパターンの外国人は、日本に適法に滞在する在留資格を持っていないため、在留カードを所持していないか、偽造カードを所持していることになります。

2つ目は、就労可能な在留資格を持っていない外国人が資格外活動許可を受けずに就労する場合です。例えば、「留学」の在留資格で日本に滞在する留学生がアルバイトの許可を受けずに就労する場合や、学校を退学後、帰国までの間に資格外活動許可が失効した状態でアルバイトを継続する場合などが該当します。このパターンの不法就労を回避するためには、所持している在留カードの「就労制限の有無」や「資格外活動許可」の欄をしっかり確認することが重要です。

3つ目は、就労可能な在留資格を持っている外国人が許可された範囲を超えて就労活動を行う場合です。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で日本に滞在する外国人が工場のライン作業などに従事したり、「留学」の在留資格で日本に滞在する留学生が、資格外許可を受けた上で1週28時間制限を超えて就労する場合などが該当します。このパターンの不法就労を回避するためには、在留資格ごとの就労可能な業務範囲をしっかりと把握することが重要です。

巧妙化する不法就労の手口

警察庁、法務省、出入国在留管理庁、厚生労働省は、4省庁合同で不法就労の対策を実施しています。「不法就労等外国人対策の推進」という文書の中で、近年巧妙化する不法就労の態様として以下の事例が挙げられています。

  • 偽変造の在留カード等を駆使して、就労する事案
  • 国内外のブローカーが介在するものを含め、表面上は正規の在留資格を有するものの、その実態は在留資格に応じた活動を行うことなく、専ら単純労働に従事するなど、偽装滞在して就労する事案
  • 実際には条約上の難民に該当する事情がないにもかかわらず、濫用・誤用的に難民認定申請を行い、就労する事案
  • 技能実習生が、技能実習先から失踪し、SNS等を利用して他所で就労する事案
  • 留学生が中途退学処分を受けた後も帰国することなく残った在留期間を利用して、就労する事案

参照元:出入国在留管理庁|不法就労等外国人対策の推進
(URL:https://www.moj.go.jp/isa/content/001418260.pdf

不法就労助長罪とは

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不法就労助長罪とは、「外国人に不法就労をさせた者」「不法就労をさせるために外国人を自己の支配下に置いた者」「業として不法就労のあっせんを行う者」を処罰するための罰則規定です。ここでいうあっせんを行う者とは、職業紹介業の許可を受けているかどうかに関わらず、不法就労を目的とした「仲介」「紹介」「調整」などを行う者を指します。

第七十三条の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者

引用:出入国管理及び難民認定法

不法就労と知らなくても処罰される可能性がある

入管法第七十三条の二第二項には、不法就労の助長行為を行った者は、過失がない場合を除き、不法就労であることを知らなかったとしても処罰を免れることはできないという規定があります。つまり、仮に雇用する外国人の活動が不法就労に該当してしまった場合、雇用者として必要な確認を怠っていると、たとえ故意でなくても雇用者側も不法就労助長罪で処罰される可能性があるということです。以下に、不法就労が発生した際に雇用者側に「過失があるとみなされる可能性が高い事例」を紹介します。

雇用者に過失があるとみなされる可能性が高い事例

  • 在留資格の有無を確認せずに在留資格のない外国人を雇用した場合
  • 在留資格の種類や許可の範囲を確認せずに許可範囲外の業務に従事させた場合
  • 在留資格の種類や許可の範囲を確認していたが、従事させることができる業務の範囲を勘違いして許可範囲外の業務に従事させた場合
  • 在留資格の種類や許可の範囲を確認していたが、適切な監督体制が確保できていないことにより、許可範囲外の業務に従事させた場合
  • 在留期間を把握していない状態で在留期間満了日を過ぎて働かせた場合
  • 在留期間を把握していたが、更新の確認をせず在留期間満了日を過ぎて働かせた場合

不法就労助長罪の具体的な事例

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新聞やニュース番組などで報道された不法就労助長罪に関連する事例を紹介します。メディアで報道される事件は、入管法違反の中でも特に悪質な事例が多いため、報道されていない軽微な処分事例も多く存在すると思いますが、警察庁や入管庁がどのような不法就労行為を問題視しているのか参考になるはずです。

飲食業者の不法就労助長事件

留学生らの不法就労助長か、ラーメンチェーン運営社長を逮捕…タイムカード使い分け

神戸市などでラーメンチェーン店「もっこす」を展開する「もっこすフーズ」(神戸市中央区)の店舗などでベトナム人留学生らを不法就労させたとして、兵庫県警は15日、同社社長の男(43)を入管難民法違反(不法就労助長)容疑で逮捕した。県警は認否を明らかにしていない。

発表では、社長は4~9月、ベトナム、中国両国籍の留学生の男女3人(22~31歳)を在留資格の法定時間(週28時間以内)を超えて店舗で働かせた疑い。労働時間が週50時間以上に及ぶケースもあった。県警に情報提供があり、10月に同社や店舗を捜索。3人のタイムカードがそれぞれ2枚ずつ見つかった。県警は、記録された勤務時間が28時間以内に収まるようにカードを使い分け、同社が常態的に長時間労働をさせていたとみて調べている。

引用|読売新聞オンライン

留学生の資格外活動許可の就労時間制限は、原則として、1週28時間が上限ですが、許可の範囲を超えて不法就労をさせていた事件です。複数のタイムカードが見つかったことから、不法就労を隠すために記録を改ざんする意図があったと考えられます。留学生の資格外活動許可について詳細なルールを知りたい方は、以下の記事をご確認ください。

食品製造業者の不法就労助長事件

カレーの中村屋、「人手不足」でネパール人を不法就労させた疑い

インドカレーで知られる「新宿中村屋」を展開する中村屋(東京都新宿区)について、警視庁は17日、外国人を不法に働かせたとして、埼玉工場(埼玉県久喜市)管理課の男性係長(52)を出入国管理法違反(不法就労助長)の疑いで書類送検し、発表した。法人としての同社も送検した。係長は「違法とわかっていた。慢性的な人手不足の解消を優先してしまった」と話したという。

引用|朝日新聞DIGITAL

食品製造会社が、通訳者として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得したネパール人を、食品工場の作業員として不法に就労させた事件です。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で従事可能な業務の範囲について、詳細が知りたい方は以下の記事をご確認ください。

人材あっせん業者の不法就労助長事件

ベトナム人を無許可派遣の疑い、会社役員の男逮捕…300人以上を不法就労させたか

無許可で派遣会社を経営しベトナム人を不法就労させたとして、埼玉県警は22日、同県寄居町の会社役員の男(67)を労働者派遣法違反(無許可派遣)と入管難民法違反(不法就労助長)の両容疑で逮捕した。男は2016年からベトナム人300人以上を不法就労させていたとみられる。

捜査関係者によると、男は20年4月~22年10月、無許可で、就労条件を満たさない同国籍の男女8人を同県上里町の工場に派遣し、製本作業などをさせた疑い。

引用元:読売新聞オンライン

無許可で派遣会社を経営する男が、外国人労働者の違法なあっせんを繰り返し、工場などで不法就労させていた事件です。派遣された人の多くは偽造在留カードを使い、偽名で働いていたことが発覚しており、在留資格を持たない不法残留者であったと思われます。

日本語学校の不法就労助長事件

日本語学校不法就労助長 全員から不当寮費、労働に追われる日々

入管難民法違反(不法就労助長)の疑いで理事長の前原卓哉容疑者(47)とベトナム人留学生2人(資格外活動)が逮捕された日本語学校「東日本国際アカデミー」(栃木県足利市)。事件前と変わらず学校に通う留学生たちの暮らしぶりには、前原容疑者が同法で規制する週28時間を超えた就労斡旋を、たまたま見落としたとは思えない状況があった。彼らは寮として貸し出されたアパートに3人から6人で生活し不当な寮費を支払っていた。 

引用|産経新聞

留学生のアルバイトは原則として1週28時間が上限ですが、この時間を超える不法就労をあっせんし、帳簿の改ざんを指示していた事件です。また、2DKで家賃相場4万円程度の部屋に1人3万円で4人を同居させ、相場を大きく超えた合計12万円の寮費を不当に請求していたことも発覚しています。当該日本語学校は、事件発覚後、留学告示リストから抹消されたため、留学生の受け入れは停止されています。

技能実習の労働法違反事件

三菱自やパナ、外国人技能実習取り消し 新資格の受け入れもできない見通しに

外国人技能実習生に対して実習計画を逸脱した作業をさせたり、従業員に違法な長時間労働をさせたなどとして、法務省と厚生労働省は25日、三菱自動車(東京都港区)とパナソニック(大阪府門真市)など4社の実習生計136人の計画認定を取り消した。各社は5年間、実習生の新規受け入れができなくなり、4月に施行される改正出入国管理法で創設される新在留資格「特定技能」の外国人労働者の受け入れもできなくなる見込み。

引用|産経新聞

入管法の不法就労事件ではありませんが、大手企業が技能実習法と労働法に違反した事件です。この事件でパナソニックは労働基準法違反による罰金刑を受け、「技能実習」と「特定技能」の在留資格で新たに外国人を受け入れる資格が5年間停止されています。

不法就労助長罪のリスク回避のためにやるべきこと

不法就労助長罪を回避するために気を付けることの画像

不法就労助長罪で処罰されるリスクを回避するためには、入管法が何を不法就労と定義しているかを理解し、入管法に基づいて外国人に従事させる業務を慎重に決定することが重要です。そのためには、外国人が「どのような許可を受けて日本に滞在しているか」と「保有している在留資格でどのような活動が許されるか」の2点を正確に把握することが不可欠です。

在留カードを徹底的に確認する

在留カードを確認することで、その外国人の「在留資格の有無」「在留資格の種類」「就労の可否」「在留期間」などを把握し、従事させたいポジションに配属することが可能かどうかをある程度判断できます。また、本来は就労できない「留学」や「家族滞在」などの在留資格を持つ外国人が、入管庁からアルバイトの許可(資格外活動許可)を受けているかどうかも在留カードから確認することができます。在留カードを確認する際は、主に以下の点を確認します。

  • 在留カードは本物か
  • 在留カードの顔写真は応募者と同一人物か(表面)
  • 在留資格の種類は何か(表面)
  • 在留期間の満了日は過ぎていないか(表面)
  • 就労不可の在留資格の場合、資格外活動許可を受けているか(裏面)
在留カード表面の画像
在留カード裏面の画像

在留カードの偽造を見分ける方法や各種の手続きについて詳細を知りたい方は、以下の記事をご確認ください。

在留資格の許可の範囲を正確に把握する

在留カードを確認すると、その外国人が「どのような在留資格で日本に滞在しているのか」など多くの情報を得ることができますが、在留カードの記載内容だけでは判断できないことがあります。

例えば、「その外国人に従事させることができる業務の範囲」や「雇用に際して在留資格変更許可申請が必要か」など、在留カードには記載されていない情報を把握し判断しなければならないことも多々あります。それらの疑問は、各在留資格の活動範囲を学習し、入管法を深く理解すれば高い精度で判断することができるようになりますが、短時間で知識を深めることは容易ではないため、まずは「就労資格証明書交付申請」を検討してみてください。

「就労資格証明書交付申請」とは、従事させる予定の業務がその外国人が保有する在留資格の活動範囲に該当するかどうかを、あらかじめ入管庁の審査を受けて証明書を取得する手続きのことです。事前に入管庁のお墨付きをもらうことで、その外国人を安心して雇用することができます。

ただし、「就労資格証明書交付申請」では、その外国人が有していない在留資格に対する該当性や雇用開始後の更新の可否などは判断できません。そのため、不安が残る場合は直接入管に問い合わせて質問するか、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

信頼できる紹介会社や専門家との繋がりを持つ

日本国外から外国人を呼び寄せて採用する場合、国内外の仲介事業者や各種の受け入れ団体などを介して採用することが一般的です。しかし、これらの事業者の中には、外国人を継続的に雇用する上で必要な情報について高い水準の知識を持つ事業者もいれば、サポート体制が整っていない事業者も存在します。

不法就労助長罪のリスクを回避するためには、外国人従業員の採用や配置転換の際に、不安に感じる点について気軽に相談でき、適切なアドバイスをしてくれる信頼できるパートナーを見つけることが重要です。

例えば、職業紹介事業者や特定技能登録支援機関、技能実習監理団体などを介して外国人を採用する場合は、雇用開始時にその外国人に「従事させて良い業務」と「従事させてはいけない業務」についてしっかり説明してくれるかどうかを事前に確認し、その上で関係を構築することが望ましいです。特に職業紹介事業者や特定技能登録支援機関は、法律上、外国人を雇用する企業等に対する助言・指導の義務を負っていないため、サポート体制の充実度には大きな差があります。行政書士や社会保険労務士などの専門家の活用も含め、外国人雇用特有のリスクを軽減するための体制づくりを意識して採用活動を行うことが非常に重要です。

不法就労(助長)により生じる法的リスク

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外国人に不法就労をさせると、雇用者と外国人の双方に刑事処分や行政処分のリスクが生じます。また、一度不法就労で処罰されると、他の法律に基づく許認可の手続きを行う際にも、過去の不法就労の事実が欠格事由に該当し、不許可の原因となる可能性があります。ここでは、不法就労によって生じるさまざまな法的リスクについて解説します。

雇用者(企業側)のリスク

雇用者側が不法就労に関与し、刑に処せられる場合、不法就労助長罪で処罰されることになります。不法就労助長罪の罰則は「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方」です。また、刑事処分以外にも、さまざまな行政処分を科されたり、許認可の際に欠格事由に該当するなど、多くの不利益が生じます。以下に、雇用者側に生じる不法就労助長の主な法的リスクを紹介します。

  • 5年間「特定技能」で外国人の雇用ができなくなる・・・特定技能基準省令第二条第一項第四号ロ(5)
  • 5年間「技能実習」で外国人の雇用ができなくなる・・・技能実習法第十条第一項第二号
  • 5年間「特定技能1号」の登録支援機関として登録できなくなる・・・入管法第十九条の二十六第一項第二号
  • 5年間「技能実習」の監理団体の許可の取得ができなくなる・・・技能実習法第第二十六条第一項第四号
  • 無期限で申請取次の承認を受けることができなくなる・・・法律上の根拠規定なし(入管庁ウェブサイトに記載)
  • 5年間「有料職業紹介事業」の許可の取得ができなくなる・・・職業安定法第三十二条第一項第一号
  • 5年間「労働者派遣事業」の許可の取得ができなくなる・・・労働者派遣法第六条第一項第一号
  • 5年間「告示日本語教育機関」の適合基準を満たさなくなる・・・日本語教育機関の告示基準第一条第一項第四号ホ

外国人側のリスク

不法就労をした外国人には刑事罰が科されますが、処分の重さは不法就労に至った経緯や専従性によって異なります。不法就労に関連する刑事罰の規定は以下の通りです。

  • 在留資格のない外国人が不法就労した場合・・・3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金、または懲役もしくは禁錮および罰金を併科(不法残留罪、不法在留罪)
  • 何らかの在留資格を持つ外国人が不法就労を専ら行っていると明らかに認められる場合・・・3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金、または懲役もしくは禁錮および罰金を併科(専従資格外活動罪)
  • 何らかの在留資格を持つ外国人が専従資格外活動罪に該当しない範囲で不法就労を行っている場合・・・1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは200万円以下の罰金、または懲役もしくは禁錮および罰金を併科(非専従資格外活動罪)

また、不法就労をした外国人には、不法就労の内容に応じて行政処分が科されます。不法就労に関連する行政処分の規定は以下の通りです。

  • 在留資格のない外国人が不法就労した場合(不法残留罪、不法在留罪)・・・退去強制処分
  • 何らかの在留資格を持つ外国人が不法就労を専ら行っていると明らかに認められる場合(専従資格外活動罪)・・・在留資格取消処分、退去強制処分
  • 何らかの在留資格を持つ外国人が専従資格外活動罪に該当しない範囲で不法就労を行っている場合(非専従資格外活動罪)・・・資格外活動許可取消処分、禁固以上の刑に処せられた場合は退去強制処分

非専従資格外活動罪の場合は、即座に在留資格取消処分や退去強制処分事由に該当するわけではありませんが、禁固以上の刑に処せられた場合は退去強制処分事由に該当することとなります。また、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請の審査の際に非専従資格外活動が判明した場合は、在留状況の不良により不許可事由になり得ます。

まとめ

この記事では、外国人を雇用する企業の担当者が必ず知っておくべき不法就労の判断基準や違反を避けるための対策について解説しました。不法就労に関与すると、外国人の在留が継続できなくなるだけでなく、企業の営業許可など入管手続き以外の許認可にも影響し、事業計画の遂行が困難になる恐れがあります。

外国人材を活用して効率的に事業を運営するためには、不法就労助長罪についての知識を深めることが不可欠です。入管法の規定上、不法就労助長罪は「知らなかった」で処罰を免れることができないと定められているため、しっかりと情報収集を行い、外国人雇用にチャレンジすることが重要です。

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執筆者

安藤祐樹のアバター 安藤祐樹 申請取次行政書士

きさらぎ行政書士事務所代表。20代の頃に海外で複数の国を転々としながら農業や観光業などに従事し、多くの外国人と交流する。その経験を通じて、帰国後は日本で生活する外国人の異国での挑戦をサポートしたいと思い、行政書士の道を選ぶ。現在は入管業務を専門分野として活動中。TOEIC850点。趣味はプログラミングと料理。愛知県行政書士会所属(登録番号22200630号)

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